ふと思った、葬儀屋が見積もりをする時の気持ちを書くべきと

葬儀の小話

私が担当していた頃の話

あなたの目の前にやってきた葬儀屋さん。親切そうに見えるその人は、何を考えながら見積りを進めるのか。そんな小噺を一つ。

担当者にとって売上は至上命令です。なんでもいい訳じゃない。施主の「どの辺り」が希望かわからないから、まずは軽く流れを説明しながら商品の種類と金額をさりげなく振ります。

例えば、納棺の前には湯灌という儀式があるんですが、と振れば、納棺師の影響でみなさん良い方のイメージが浮かぶんです。絶対に必要ではないのですがと言えば安心するんです。

湯灌自体の金額は一定でも佛衣には1万円・3万円・5万円とバリエーションがあるとしましょう。説明を端折って5万円の物しかないとも言えないから、担当者はどう売るのか。

テレビやネットの情報で「売られる」・「高い」と言うイメージが根底にあるので、それをまず払拭しなければなりません。

「家族葬」とか「小さな」とかの金額が減少するイメージも、担当者の立場で言えば払拭したい事です。この攻防がすでに始まっているのです。

でも、まだ金額は言わないの

担当者としては売上もそうですが、販売率も大事なのです。バカな葬儀屋の社長が考えたノルマで、何をどれだけ売っているかに縛られるんです。

最悪、湯灌自体が売れなくても着替えに業者を呼ぶ。色々と理由をつけて必要性を訴えます。着替えだけなので湯灌よりも安いけど、これで売れたら率は達成です。

ひどい担当は、この着替えを喪家がしなけれななりませんと言うんです。私どもではできない。だから必要です。なんて言い切る奴もいます。

必要となる諸経費、祭壇やセット費用に含まれないもの(大体、販売ノルマのある商品はセット以外です)の意義や歴史を交えて必要性を訴えるのです。

バリエーションがあるものはさりげなく金額と種類を言います。そういった各項目の詳細をまずは大まかに説明しながら、施主の頭の中にイメージと安心を植え付けていくんです。

いよいよ、言う時がキター

ここまでくると皆さん少し疲れています。気持ちは早く終わってほしい。別にそのタイミングを狙っている訳ではないのですが、ここからセットプラン(祭壇)を決めていきます。

この時、担当者は三種類提示してきます。昔でいうと松竹梅です。中には決め打ちでこれしかありませんとか、これが最低金額ですをやる奴もいますが、それは要注意です。

売上が常にトップだった奴がいたんですが、そいつのセットプラン(祭壇)のカタログは100万円からしか載ってなかった。クレームはフル無視。そりゃ、トップになるよ。

先ほどの佛衣でも、1・3・5万円がありますがどれにしますか?と聞かれたら、ほとんどの方はハンを付いたように「真ん中で」と答えます。わからないし、無難だと思うから。

なので、メインのセットプラン(祭壇)も三種類提示します。この時、何がポイントかというと、あなたに提示される金額の中心レベルなんです。

「30万円・40万円・50万円」とするのか、「40万円・50万円・60万円」や「50万円・60万円・70万円」など、この中心値があなたに売りたい金額です。

これは商品構成によりけりなんですが、この時点で、あなたのところでは総額いくらまでなら大丈夫だろうと目安はついています。あとは、あっちを上げたらこっちを下げてをやるだけ。

一滴でも越えると、それはクレームになるんです

私はいつも、その喪家独自のストーリを作る事を考えていました。台本は、この方は何をしたいのかという故人に対する「想い」です。

それをしてあげたいと願う、その方が求めるギリの線はどこなのかはとても大事な事で、これが高すぎても、中途半端に安くてもそれは不満になるんです。

「いくらでも出してやりたい」と思う気落ちは皆さんあります。もう今は、最後に、これしかできないから悔いのないようにしたい。その気持ちから実際に出せる人は出すんです。

心を容器に例えるならば、その淵いっぱいのところまで出して頂く。表面張力でこぼれ落ちそうなところをグッと我慢しているところまで。これはボッタクリではなく、満足であり納得。

見積もりで大事にしていたのは、その皆さんの心の容器の大きさ、その色を推し量る事です。中にはバカで欲通しい担当もやってきます。何も考えず簡単にギリの線を超えてしまうのです。

すると求められるレベルが上がっているのに自分では対処できない、超えれない設定にしてしまった事でクレームとなる。これがぼったくりです。

最後に

事前にMAX出せる金額を決めておく事です。そこから1割引いた金額を担当者に伝えたら、彼はそれを元に少しでも上げようとするでしょう。

最終的に少しオーバーした総額を言ってくると思います。なら即答せず、もう一度見直してもらいましょう。変更できるならグレードを変えてもらって、当初の予算に持っていく。

最後にサインを求められたら、葬儀の日時は決定事項として、「一応、親戚の長老の施主(金主)の了承を得てからの返事でいいですか」とお願いしてみてください。

若い施主ならともかく、いや、アンタの年齢なら決めれるやろという場合、うるさい兄弟がいるんでと言えば引き下がります。

葬儀屋の担当の立場で言うと、サインをさせるのは逃さないため。そして内容を変更させないため。でも、裁判になっても意味はない話。

最終的に皆さんで確認をして、それぞれが分担する金額があるなら了承をしてもらい。遺産を元に行うならそれも了承してもらっておく事。

下世話な話。内輪でお金で揉めるのはよくあります。急にでしゃばってくる義兄弟とか。世話してないけど、世話をした事が遺産の分配に効果があると思ってるような人は必ずいます。

料理もたくさん要らない。お返しも質素でいいと口を挟んでくる親戚。いざその場になって遠慮するのかと思えば、香典は少ないけど一番に座って最後まで一族で食べまくります。

もう無いの? 足らんって恥ずかしいで。いやいやいや、アンタや要らんて言うたんは…
葬儀の場で一番怖いのは担当者でなく、身内にいる事をお忘れなく。

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