葬儀業界って未熟なんですよ、なので葬儀屋さんの内輪の事情を少々

「葬儀社というのは大きな勘違いの業界だ」と、これまでの経験から私は思っています。個人でもすぐに企業並みの年商に届くため「いっぱしの企業」のような気持ちになってしまうところが多く、会社も業界も熟成されないまま体裁だけは先に進んでしまうのです。

葬儀社が葬儀に求めるもの

そもそも、古くから葬儀の仕事をやろうなんて、儲かる以外に何が発心になるんでしょうか。戦前もそうだし、戦後も、誰も好き好んで死体を触ろうなんて思わない。今でこそ葬儀の話をできる時代ですが、少し前まで「縁起が悪い」と言われる世界だったんですから。

既存の葬儀社のほとんどが親の代からの引き継ぎですし、後継者である子供がその忌み嫌われる世界に入る代償は富裕層への仲間入りしかないと感じます。人に使われるよりは、社長と呼ばれる道を選択するでしょうね。もともと、ボンボンなんだから。

仕事の内容を追求すれば奥深いところはあると思います。ですが、そこまでしなくても葬儀社の経営はできます。葬儀の仕事はできるかではなく、知ってるかが大きなポイントで、経験値がものを言う世界です。

なので、売上はある。利益もある。従業員もいる。身内も葬儀に関わっている。そこに群がってくる魑魅魍魎との軽薄な世界が生まれてくるのです。人柄ではなく、儲けさせてくれる人が社長であり、親方の世界が。

でも、理念も必要ですよね

って事で、社訓や理念を掲げるようになるのですが、どうも後付けの感が拭えない。ふと世の中を見渡すと、電話対応の大切さを目にして講習に行かせてみたり、新人教育にはマニュアルが必要だなと思えば作成したりする。業者への依頼ではなく結構自前が多いのですが…

世間体を気にして青年会議所や商工会に加入したりするんですが、団体側にすれば豊富な資金を元に会費を納めてくれる人間が増えることを歓迎しているだけで、おそらく、企業としての体裁比べでは見下しているメンバーも多いのではないでしょうか。

日本経済の根本を担っている職業でない事は理解している。でもそこは、にわか金持ちとしてのプライドもある。そんな気持ちが揺れ動くのでしょうか、欲望を包み隠すように、真似事のような理念を消費者にもアピールしだす。一番好きなのは理念より現ナマですけどね。

群れるモノたち

職を求める者・葬具販売業者・その他の仕入先、その全てが会社(自分)の金を取りにくるとでも思っているのでしょうか、ご機嫌を伺わないとまず話にならない。「あいつは好きだけど、こいつは好かない」この分かれ目が収入の差になります。

この価値観を決めるのは、自分の考えに同調してくれる人間がまず一番。素直に言うことを聞く者でないと、賃金や代金を支払っている意味がないのです。あとは、社長にない、社長にできないところが人並み以上の技術や商品であれば評価につながります。

業界では古くから司会者・飾り付けの人員・接待をする献茶婦などを専門とする個人を、現金支払いで日雇い依頼する環境が出来上がっていました。技術を売りにする者・ご機嫌取りを売りにする者・あとは色仕掛けで取り入る者もいて、まさに魑魅魍魎です。

彼らは現金収入で、社員よりも高額な日当を持って帰るので社員の不満も納めないといけない。ある程度の技術と優れたコミュニケーション力が普通なのです。それに劣る者は技術を磨けばいいのですが、安易な方法を選択する傾向が強く、ここにも葬儀屋らしさが溢れてます。

勘違いするもう一つの要因

葬儀社の年商は一件あたりの売上単価が高いため、企業と勘違いするのが大きなポイントです。1件あたり150万円の平均売上があるとすれば、月間施行件数10件で1千5百万円。年間で1億8千万円になります。他に付帯する売上なども含めると約2億円です。

個人の葬儀社でも、月に10件の施行があれば年間売上として2億円に届くのです。大手企業から見ればまだまだですが、一個人の商店として見れば驚異の売り上げです。この中から商品原価率25%として5千万円。固定経費・その他を控除してもかなりの利益があります。

個人事業としては十分すぎる資金が、その言動を違う方向へと導いてしまう。業界の将来を憂い、赤の他人の後継者を育てるなんて話は一切ない。支払いは最低限で、利益は最大に、そして利益は一族のためにってのが価値観ですから。

もちろん慈善事業ではありませんので、企業として利益を追求し、その利益が社員の生活を向上させ、社会的な存在意義を求める事になにも間違いはありません。ただ、多くの葬儀社は理念と行動が逆になっており、未成熟な業界の体質は改善されないのが実情です。

化かしあいの世界です

葬儀という世界観の中にうごめく大きな力はこのような背景から生まれていると、長らく業界を見てきて私は思っています。レアものと思えるほどの単位ですが、真摯に取り組んでいる者もいます。ま、社長級ではほとんどお見かけしたことはないですけどネ。

その良識ある担当者だけの意思だけではどうにもならない背景が業界にはあるという事。その担当者も、年月と妥協という「生きる術」を利用してしまうと気持ちを失っていくということ。そんな背景をまずお伝えしたかったのです。

これからお葬儀の流れに沿って、一つ一つの場面で葬儀屋さんは何を思い、何を行動するのかを自分の経験を元に場面ごとに綴っていこうと思っています。

次のアドバイス記事

施行依頼があった時に担当者が考える事
待機中にかかってきた電話の内容で、葬儀社が一番に考える事は「施行になるのかどうか」です。寝台搬送のみで終わる事もあり、せっかく搬送依頼が入ったのですからここは何とか施行につなげたいところです。

アドバイス記事一覧

お葬式の流れに沿ってポイントを説明する記事ガイドです
お葬式の費用を構成する項目別に、葬儀社側の思惑と皆さんが置かれる状況を説明するため「葬儀アドバイス」としてカテゴリーにまとめたものを再編しました。

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コメント

  1. 三日坊主 より:

    SECRET: 0
    PASS:
    >セルフ葬儀研究所所長LAWさん
    ご返信遅れまして申し訳有りません。
    ご丁寧なコメントに感謝いたします。
    ご承知のように、葬儀を取り巻く環境は業界側の情報は多いのですが、消費者が本当にほしい「正確」なものは、まだまだ不足していると感じています。
    かといって、皆さんがセルフで葬儀を行えるのも難しい環境にはありますね。
    「心意気」を持った葬儀社さんがめっきり減りましたし、故人に「触れる」ことを避けたい方も実際多いですし…
    これからも拙い文章で発信いたしますのでよろしくお願いいたします。
    それにしても、お母様で600万円、お父様で346万円と…
    ほんと、上得意様ですね(≧∇≦)

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    PASS:
    三日坊主様
    本当にためになるお話、どうもありがとうございます。
    公益社さんでも200億行かない業界ですね。私の知っている葬儀社さんは1昨年に1億を超えましたが、顧客にあまりお金を遣わさないのが売りです。
    本業ひと月800万円強ですが、常勤4人、+自社別部門で応援で月に12本ぐらいはさばいています。1件平均66万円です。直葬も入れているので、家族葬、一般葬で7件80+付帯業務ぐらいでしょうか・・・
    会館葬儀平均150万円はさほど高くは思えません。でも、その葬儀社と素人が値段だけで比較すると会館葬儀を使わず、安くて良心的な業者を使うと思います。
    なので、名古屋T社や新規参入会社が既存の会社から嫌がらせを受けるのも分るような気がします。
    私の家では母のとき600万円、父のとき346万円出して父のときで葬儀社には200万円強出したので、まだまだ上客ですね。
    今なら、私がセルフでやります。総額12万円で都内瑞江葬儀所を使って直葬をあげ、お別れの会は会費制で、総額15万円でやり切ります。
    因みに所沢に火葬式7万8000円の葬儀社があります。そちらに頼んでも火葬込で20万以内で収まります。
    私のような考えが、これから冷や汗書くほど増えると考えます。
    もし、お時間がございましたら前橋のあんしんサポートさん(NPO)のHPをご覧ください。
    長文失礼いたしました。

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