東洋経済オンラインの記事は、全ベルコ労働組合の追い風になるのか

記者・カメラマンの写真
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東洋経済新報社。ご承知のように会社四季報などを発行する経済を専門とするところで、今回、東洋経済オンラインで互助会の雇用形態についての記事が出た。経済専門家から見てこの問題はどのように見えるのだろうか。

働き方改革にとっては大事な裁判ですよ、皆さん!

流れとしておさらいしますが、連合全ベルコ労働組合裁判闘争支援対策チームの第一回対策会議のまとめによると、原告の言い分は

2014年夏、ベルコ本社がいう業務委託先の支部代理店従業員から連合北海道が相談を受け、聞き取り調査を重ねた結果、その労働条件は極めて劣悪で違法性が高いことが判明しただけではなく、支部代理店そのものがベルコ本社の支配下にあり、「応諾自由の無い」指示命令を受けていることや「自己の判断で事業を営む存在」でないことなどが判明し、労働環境改善の為に労働組合結成の準備を進めていました。

しかし、2015年1月初旬、ベルコ本社が労働組合結成の動きを知るところとなり、支部代理店との業務委託契約の打ち切りをちらつかせながら組合結成を妨害し、労働組合結成の中心的人物2名を知るやいなや、2名が勤務する支部代理店との契約期間満了まで半年を残して業務委託契約を打ち切るとともに会社清算を強要、そして業務継承店への従業員の雇用継続については、労働組合役員2名のみを雇用継続とはせずに実質的な解雇としました。

となり、この件について現在も係争中なのです。

え〜っと、従業員の方いますか〜

このような業務委託契約は、契約主側としては、やったらやった分だけの報酬を支払う事で、頑張る者への支援が強固になり、モチベーションを上げる効果もあるとしています。事実、これまでの葬儀業界では、周りの人以上に頑張っているのに正当に評価されにくいところもあったので、ある意味では効果的と言えるかもしれない。

また、古くから葬儀業界には契約書を交わすとまでいかずとも、電話一本で臨時に雇用する司会者や飾り付け・撤収要員などの「応援」の存在もありましたから、その環境や土壌は慣習的に存在していました。また、その応援業務を生業とする者を取りまとめる組織もありました。いわゆるあんこクラブ・献茶クラブという存在です。

その発展形として、「業務全てを任せるからルールはこれでね」となるのは経営者側からすれば当然の発想かもしれないし、細かな決まり事を取り決めないと変な下請けには任せられないしね。また、関西では無いけど、中部・関東方面では葬儀そのものを受注会社の名義で施行する、いわゆる二次受け施行業者もいますしね。

う〜ん、でもねぇ…

とは言え、業務委託契約として、特に今回のような日々継続的に業務を受託する個人請負の場合、契約が存在しないと自らの存在も失ってしまう。労働者としての立場も弱く、またこれを社員と言っていいものかどうか。葬儀の担当をしてくれている方が、屋号を借りた個人商店主であり代理店主となる訳です。

自らの職場環境は建築関係によくあるような、いわゆる個人による一人社長状態。受けているのが法人でない限り、健康保険・年金に自ら加入して支払うことになり、休業補償や有給もなければ労働における時間制限もない。収入面では一件やっていくらの世界に身を置くことになる訳です。

また、そこで一緒に働いてくれる人員の募集にしてもその業務委託契約者が行う訳で、その時に「私のとこ、業務委託契約なんで来年は親元と契約がなくなれば解散なんですが、それでもいいですか?」なんて詳しく説明するのかなぁ。

働くという純粋な観点から見ると、こんな不安定な親方に孫雇用されたら、真面目に葬儀の仕事をしたいと考えて入ってくる方にとっては理不尽な話ですよね。運悪く、力のない業務委託契約者の従業員?になったがために、今回のようにこれまであった職場が突如無くなり、職を失って路頭に迷う事にもなりかねない訳ですから。

今回は雇用形態の是非もあるけど、その請負者もその従業員も「うちのルールに従って真面目にやってたか?」ってところもある意味では争点であり、その真面目って何?ってところも判断基準になるんでしょうね…

記者が投げかけた一石はどのような波紋を起こすのだろう

記事にあるような内容が批判ではなく、事実なら公になる事も仕方がない。知る権利は誰にでもあるし、消費者保護の観点から言えば、監督官庁の経産省も事実確認に乗り出しても不思議じゃないんですけどー 聞こえてますかー 経産省さーん。

これからの働き方を、政府や大臣が何やら自分たちの都合のいいように解釈して画策しているけど、生きる事に不自由しない人達に対しては、儲け方改革とか天下り先改革とかが改悪されない限り、この人達は真っ当な考え方をしないだろうな。

私たち一人一人が、これからの社会における働き方を考えるって事は、自分や家族の生活と安全を考える事につながります。間もなく取りまとめられる「働き方改革実行計画」に対しても大きな問題提起になると思うので、この訴訟や記事をより多くの方が他人事と思わず、明日は我が身の問題と捉えて考えていただきたいですね。

同計画には、個人請負の普及に向けた検討・対策が盛り込まれるそうですから、無関心でいると近い将来には、一部の経営陣と一族、そして政界・官僚・財界・投資家の家族のみが正規雇用なんて世界が実現するかもですよ。聞こえてますか厚労省さーん。

と言う事で、この波紋がせめて記者の思い描く形のままで届くことを願っております。

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