葬儀屋の全国制覇?ティアさん、そりゃムリだぎゃ

チェスをする男
チェスをする男

葬儀業界は戦国時代。乱世の統一に燃える事業者も数多くいる。その理念は、争いのない平和な国を作りたいと願ったような崇高なものだろうか。自身の欲望を満たすための活動なのか、それとも投資家に対する経済活動でしかないのか。そして、消費者はそのような事を求めているのだろうか。

全国制覇なんて言葉を使う葬儀社はどうかなと感じる

全国展開を狙っている葬儀社はありますが、葬儀という業種では全国制覇はありえない。まず、基本的に葬儀は物売りの商売ではないので、提供するサービス品質を統一化する事は不可能です。近年この傾向は強く、これまでの葬具貸し出し業から脱却してサービス業となってからは顕著です。

企業理念を叩き込み、マニュアル・研修と、最低限のレベルを形成してそれを統一できたとしても、その作業を行うのはあくまでも人間であり、個々のスキルレベルにバラつきがあるのは性格の違いの数ほどあって当然で、これをどう統一化するのか。当然、そこそこのところで妥協しないといけなくなる。

細かな事を言うと、その時の担当者の体調や精神状態によっても施行レベルに変化は出ます。社員に対して24時間管理・監視する訳にもいかない仕事です。まして、当社専任担当者がお世話をいたします。何てのを売りにしている以上、逆に言えば、任せっきりと言う事でもあります。その個人の感覚に任せてしまっている以上、バラつきをどう管理するのか。

演者と同じく、個性によって相手方の受ける印象は違う訳です。同じ役を別の演者がやっても、その評価に違いが出るように、同じサービスでも行う人員によっては評価が変わるという事です。また、これを数値化しにくいという問題があります。一つの喪家にふた通りのサービスを同じ環境、状況下で提供する事は不可能だからです。

おじいちゃんの時に担当してくれた方が、おばあちゃんの時にも担当したからといって同じ評価を受けるとは言い切れないのです。喪家の経験値も違いますし、心理状態も違う、同じ条件で比べる事が無理な以上、不可能と言わざるをえません。

俺は野心を抱いているぜ!と聞こえるんですケド

一部の葬儀関係者の方の中には、全国制覇なんてワードを使う方もいますが、それは事業としての観点であって、葬儀を儀式として見ていない話ではないかと思うのです。野心家としての欲望であって、果たしてそれを実現する事が社会に貢献する事になるのだろうか。

それは単に、己の欲望を解決したいがための言動ではないのか。生活に利便性を与え、社会に貢献し、強いては地球環境にも優しい事業なのかと問われれば否と答えるしかない。あくまでも起業家と投資家のマネーゲームの対象であって、文化を継承する事業ではないと思う。

どうも、後発の葬儀社でちょっとうまくいったり、評価されたりすると調子に乗っちゃうんですかね。大手互助会に対抗するための唯一の手法ではないのかとも感じる。既存の葬儀社のやり方を否定し、起業するが、成長するにつれて結局は同じ穴の狢である事は否定する。

ティアにしても、この会社と提携しているエスケイアイという通信機器販売(要は、携帯電話屋さん)も、葬祭に対してキレイな言葉、理念を掲げるが果たして本音はどこにあるのだろう。

この両社の関係性は、名古屋の大手葬儀社で古くに行われてきた「下請け制度」を単に踏襲しているだけのようにも見えるし、業務委託によってティアの施行をフォローしたり、会員を募るのは互助会会員募集と全く同じだと感じるのです。

ティアの企業理念

生涯スローガン

目指せ!日本で一番「ありがとう」と言われる葬儀社

社是

透明さの中から地域社会への貢献を促し最終儀式の涙(TEAR)を和らげる事で企業のレゾンデートル(存在理由)を確立する

「哀悼と感動のセレモニー」

物売りでもなく、押し売りでもなく「儀式を尊厳する形と洗練された心の追求」を忘れない姿勢で取り組む事とデスケアを通じて社会貢献する事を事業の基本理念とする

当社は、「哀悼と感動のセレモニー」を経営理念として定めています。全てはお客様ありきであり、亡くなった方のデスケアを通じて、社会に貢献すること。常にお客様の立場に立って、大切な方の葬儀を司ること。そのことを忘れず、心掛け続けることを謳っています。

※「儀式を尊厳する形」
各宗派にそった正式な宗教用具・式典知識を学び、実行する。

※「洗練された心の追求」
常にお客様の立場に立ち、きめ細やかな目配り、心配りを実践する。仕事には慣れても悲しみに慣れる事なく、弔う心を持ち続けて携わる。

ティアさん、大阪は南海電鉄さんのおかげですよね

大阪にも幾つかのティア会館があるが、これも単に商売好きな南海電鉄が、自社の路線活用の一環として阪急電鉄の「エテルノ」を模したフランチャイズ形式での結果であって、互いの思惑と利害関係がマッチングしたとしか言えない。

阪急の葬祭部門エテルノは、開設当初、運営会社と施設だけを建設し、施行に関しては外部葬儀社に委託していた。阪急ブランドで葬儀は行うが、実際に担当しているのはその辺の葬儀屋である。この形式にしても生協(コープ)葬儀と変わらない。

阪急にすれば、葬儀事業の崇高さを求めるのではなく、最終形態として霊園開発事業を行い、そこへ電車に乗ってくれればいいだけなのです。宝塚歌劇団、阪急百貨店と同じく、小林商法のアイデンティティに立って事業活動を行っているだけにしか過ぎない。

マジで全国制覇するつもりなんですか?

ビジネスとして実現に向けて考えた場合、品質レベルを極端に落とせば可能かもしれませんが、それでは地域で高いスキルを誇る葬儀社には勝てない。物販を行う会社でも、衣料や化粧品などでは同じ商品規格で可能だとは思うが、食料や飲食業の場合、微妙に味付けを変えたりしないと受け入れられない。

全国的なネットワークといえば互助会を想像しますが、これとて、同一会社・同一ブランドによる全国制覇は無理でしょう。別会社による同一経営者のケース(ベルコ・セレマ・東京友の会・玉姫グループ)ではそこそこ制覇していますが、まだ抜けている地域も沢山ある。

やはり、各地域には競争相手がいるし、地域に根ざした老舗の葬儀社もいる。それらも同じように野心を持って、邪魔をするならいつでも寝首でもかいてやろうかと虎視眈眈と狙っている訳ですから、そんなに簡単にはいかない。

それでもやろうと思えば、あとは強迫観念しかない

その会社なりの最低限の施行内容の基準を取り決め、集客・営業・販売・施行の流れで人的スキルを平均化しようと考えた場合、それぞれに対する成果を評価対象として、それをクリアしない場合、解雇する、離職せざるを得ないという基準を持ち込んでいるところもある。

実際に互助会の中には、月間契約会員数をクリアしない場合、辞めざるをえない環境に置かれる事もあります。獲得するためにその方法が一番最善だと思って行動させているのに、その方法を利用する事を拒絶されたら、取れる訳がない。

実際、私も同じ空間にいて見てきた経験がありますが、月間目標成績を残せない人間に対して、その原因を分析もせず、次月、それ以上の結果を求めたところで、「辞めろ」と言っているようなもんですから、誠に理不尽なやり方です。

だが、こんな事をやったところで、能力のある人材が残る訳でもない。要領のいい、抜け道を探し出すヤツが得をする、そんな会社にしかならない。と、いう事は、そんな人材が主たるポジションにいるところなんて、全国制覇ができる訳がない。

企業は人なりと言うが、この業界は企業は金なり、利益は創業者一族なり、利益を供与してやる相手はお城の堀と同じで、城主を守るためにしか存在しない。それぐらいの感覚で見ても言い過ぎではないと思う。

オンリーワンはブランドではなく、死者の尊厳です

今年度のフューネラルビジネスフェアで、ティアの社長 冨安 徳久氏は『全国制覇への挑戦 オンリーワンブランド「ティア」の実現を目指して』と題して講演を行われるそうですが、このようなものに参加する気にはなれない。

本当に秘訣と言われるネタは誰も話さないし、仮に話したところで理解レベルによってその効果は変わってくる。真の意味を理解しない事には全くもって意味のないモノになってしまうからである。そんな講習よりも大切なヒントは、お客様の言動の中に溢れかえっていると、私は思う。

「観じる」事ができない限り、いくら目の前を過ぎて行こうがそれは単に風景でしか過ぎない。日常の事務所内に張り出された「訓告」や「掲示」などと同じで、一度見たら興味や関心を持たない。お客様からの言動を教科書としない限り、その会社においては社員が成長する事はない。

果たして、ティアと云う会社はそのような会社なのだろうか。もちろん、冨安社長は自社でクリアできているからこそ、人前で話せるのだろうと思うし、多くの社員さんが御社で働く事に生きがいを感じていらっしゃるのだろう。でも、そんな気持ちを集めて事業を行えるのは、せいぜい、社長の息吹を感じながら活動できる範囲ではないだろうか。

世間の求めているモノとは

世間の多くの消費者は、起業家の夢を見たい訳ではなく、お手頃な価格で故人の尊厳を大切にしながらも、安心して葬送儀礼が行える環境を求めています。そういう意味においては、ティアの場合、少し安く提供できれば、それこそが改革だと思うのですがいかがでしょうか。

祭壇周り品が「ティアの会」会員であればお安く感じますが、オプション品での湯灌は会員であってもなくても8万円とは、結構な金額だと業界人としては思います。他の商品に関してどのような項目があり、それがいくらなのか。そのような配慮は必要ではないかと拝見していて思いました。ネット紹介業者の方がそこらへんは親切に見えます。

葬儀にかかる費用が出産助成金と同等の約40万円である程度賄える事は大切だと思っていますし、これを国が助成する制度を設けるべきとも思っていますが、現在、このような制度がない以上、もう少し安くなければ魅力がない。30万円ほどで葬儀というものがきっちり行え、香典で、飲食や返礼品を賄えれればベストではないかと思うのです。

古くから名古屋という地区は改革に燃えるところではないかと思うのです。一時期話題になった、「祭壇葬具の値段を細分化し、消費者がそれを選択できる」という事で、それまでの葬儀社からの押し付け一方だった祭壇が予算に応じてカタログから選べるという事がニュースになりました。が、すぐに消えてしまった。

そうならない情熱を持ち、業界を改革しようと立ち上がった訳ですから、もっと違うアプローチをしてくださるのかと期待しております。

ただ、現状のシステムでは既存の葬儀社と遜色がないので、全国で同じようなレベルを維持しようと思ったら、冨安社長のクローンを何体作らなければいけないのだろう。

となると、全国制覇の夢は、もう少し未来でないとできないのではないでしょうか。ティアに限らず、全国の葬儀社の社長さん、いかがですか。

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