寝台搬送から検証する悪どい葬儀屋の交渉術

黒のストレッチャー
黒のストレッチャー

葬儀屋の担当者は手練れです。喪家の不安な心理状態をうまく煽って、自分のペースに持ち込みます。なぜ? そりゃ、仕事を他社に流さず、いかに見積りを優位に進めるかとの理由で布石を打つからですよ。乗せられてはいけません。冷静に行きましょう。

互助会の会員、葬儀はその会館でと思っているケース

一つ目は同地区の互助会とよく似た、紛らわしい名前の業者に、遺族が勘違いをして寝台搬送を依頼してしまったケースです。この業者も、会員の勘違いを狙ったところもあったので、まんまと引っかかってしまったのです。

通夜、告別式は葬儀会館で行うつもりで、自宅を安置場所に選んだのですが、ドライアイスの処置を終え、枕飾りをセットし、お線香をあげて、さあ、葬儀の話をとなった時に、その業者が互助会と違う事に初めて気づいたのです。業者にすれば、想定内の話で、あとは言葉たくみに取り込むだけです。

葬儀会館の場所も同じようなところにある。互助会の会員証も使える。葬儀費用は互助会より安い。そんな事を言ってかなりのプレッシャーをかけてきます。ただ、この業者の背景というか、良くない素性を遺族は知っていたので丁重に断り続けました。

ぼったくり価格とは、この事を言うんですよ皆さん

すると、その業者は「うちでしないなら、寝台搬送料とドライアイス、枕飾りで8万円支払ってもらう」と言い出したのです。寝台搬送は、深夜加算を入れても2万円を超えることはない。ドライアイスも高くて1万円。枕飾りも仮にぼったくりで2万円としてもありえない。

普通は自社施行以外、無駄な費用負担がかかるのを避けるために枕飾りを勝手に組んだりしません。また、寝台搬送を依頼した業者で葬儀を行う場合は、寝台搬送や最初のドライアイスも枕飾りも、プランに含まれるケースが多いのです。互助会なら会員証のプランに含まれます。

結局、遺族は8万円を支払い、この業者を断りました。搬送業者が病院で、「◯◯社の誰々と申します」といえば防げたのですが、あえて言わない。白い搬送用の服を羽織っていたら、どこも同じに見えますので、遺族には気付かれないところを狙っているからです。

病院専属の葬儀屋の場合

霊安室におもむろに入って来て、寝台搬送の準備をするからと、これまた業者名を告げずに遺族を慌てる環境にまず追い込む。「あれ、誰かが電話してくれて、もう葬儀屋さんが来てくれはったんや」と、その場にいる誰しもが勘違いをするんです。(先ほどの白衣の魔術です)

担当者は「おかえり先は会館ですね?」と一言。初めてのことで要領が分からない遺族たちは自分たちのイメージしている葬儀会館と思ってしまいます。これも作戦。そう思うように、敢えて会館としか言わない。自宅と言われた場合、応援部隊が先に行って待ってます。

業者名がバレるような際どいところを聞かれると、「荷物など、準備はよろしいですか?」などと、意識を別のことろへ持っていきます。病院の人を待たせてはいけない。遺族にはそんな心理もありますから余計に焦るのです。そこを、悪どい病院専属の葬儀業者は心得てます。

連れて行った先は

まあ、皆さん初めての事ですから、別の車で寝台車に付いて会館まで行く場合、ほとんどテールランプしか見ていないんじゃないかと思いますし、寝台車に同乗していると、余計にわからないもんです。で、そのまま霊安室に到着。

安置してドライアイスを当てる。すると、疑問が湧いてきて「おたく、◯◯葬儀社さんやね?」と、ついに確信が。あらら、あちらの葬儀社をご希望でしたか? よろしければ移動いたしましょうかと、遺族の勘違いを優しくフォローするいい葬儀屋さんに変身するのです。

そう言いながらも、ドライアイスを当てる手は止めず、ボソボソと「せっかくご安置したのに、また動かすのはかわいそうですねぇ」、「ご病気でご苦労されてきて、ようやくゆっくりとお休みいただけたのに…」なんて、己がやっていながら、故人への同情心を煽るのです。

彼らはツボを知っています。そのうちに子供さんあたりから「もうええやん。何回も動かしたらかわいそうやんか」なんて、若干の苛立ちを含んだ言葉が出てくるのを。そりゃそうです、数日前からの急な呼び出しや看病で、相当の疲れが溜まってます。で、皆さん落ちるんです。

これは私の話ではありませんよ(笑い)

これはごく一部の業者です。ただ、どれが?と言われても皆さんには区別はつかない。心理状態にゆとりがないので、普段なら気付いても、死を現実にした時には焦りや不安もあるので見分けがつきにくい。時間の経過と共に、じんわりと分かってくる感じですかね。

現在でも、病院専属の搬送葬儀社は存在しています。昔ほど荒くたい事はしませんが、施行誘致の一つの窓口として機能している以上、そこから他社へ施行を流すという事は、彼らには死活問題なので重要なのです。

また、8万円を請求したような、悪どい葬儀屋はどこにでもいます。社長が悪どいのか、社員が悪どいのかわかりませんが、(ここは、社長が悪どい…)スキあらば引っ張りこもうと、そのような思考回路になっていますし、そんな性質なんで変わりようがない。

もちろん、真摯に葬儀に取り組んでいる者もいます。遺族を案じ、精一杯のサービスを提供してくれます。悪どい葬儀屋も、自社の施行となればクレームを避けたいので、一応、真面目にやりますし、その微笑みは真摯に取り組む担当者のように爽やかで、見分けはつきません。

慌てない、慌てない

とにかく、慌てない事です。病院は、病院内に遺族が揃ったら早く出したいだけなんで、揃っても段取りが確認できるまで、病室や霊安室に集合しなければ時間的ゆとりは作れます。食堂やロビーで打ち合わせをしてから上がればいいと思うのです。

葬儀社への寝台搬送の依頼は仕方がないとしても、一旦、安置してから葬儀の内容を決めたら、サインをせず、通夜と葬儀の日時だけは空けておいて、仮見積りとしておくとかですね、葬儀社側からしたら面倒な話ですが、皆さんにその権利はあります。葬儀社としては「次の施行」の段取りを常に考えているので、入ったら早く出したいのです。病院と一緒。

心配せんでも、あんたのとこで葬儀するから。ぐらいの気持ちで対応すればいいと思うのです。ま、そのゆとりを作るためには、自宅へ安置するのが一番です。自宅死亡の場合で伺っても、こちらの方が落ち着いています。やはり、ホームとアウェイでは気持ちが違いますので。

火葬場が取れなかったり、検視に回ってしまったりして、葬儀が先にズレる事なんて普通です。言い方は失礼で申し訳ないですが、亡くなってしまった以上、そこから慌てても仕方がないのです。なので、それぞれの業者の都合に乗せられないよう、しっかり腰を据えて自宅で迎え撃つのが最良の方法だと、私はアドバイスします。

そのあたりは参考になると思いますので、よければ、私の伯母の葬儀の記事を読んでみてください。

実録! 親戚の葬儀から見える今どきの葬儀事情 第1部「警察編」
病院での死亡と違い、自宅死亡の場合は警察の鑑識がやってきます。死亡事案の背後には何があるのか?警察の事情とは?その時、どのように対応すればいいのかを考えてみます。

シェアする

トップへ戻る