有志ある葬儀社の社長様、「葬儀・教義パンフレット」を取り入れていただけないでしょうか

向い面に向かって座る背後から見た銅像
向い面に向かって座る背後から見た銅像

今、宗教の在り方を考える機運が高まっていると思う

ご存知のように、Amazonが販売する「お寺さん便」の問題について、宗門側、消費者側ともに賛否両論の意見が飛び交っている。お布施をサービスの対価として提示する事になるのではないか、お布施に対する考え方が間違っているとの指摘が宗教界から上がっている。

この問題を考える時、販売者の思惑に、それぞれの業界が乗せられてしまっている背景を鑑みる必要があります。

販売事業者の”みんれび”は、これまでにもお寺さん便を含む葬儀サービスをネット上で紹介、販売してきました。後発であるこの会社は、「世の中にある不透明なことを透明にしたい」を理念に葬儀に手をつけた。そう、もう既に先駆者は成功を得ているこのジャンルに。

この形態は、古くは、葬儀サポートセンターを始めとして、小さなお葬式あたりが皆さんもよくご存知だと思います。みれんびが進める、葬儀・お花・お墓・お寺さんなどをネット上で紹介し、利益を得る、この後発事業をなんとかトップに持っていきたいというIT起業家の戦略が、今、葬儀の軽薄化、宗教の商品化により一層、拍車をかけようとしています。

その起爆剤として利用したのが、今回のAmazonで販売を開始した「お寺さん便」だと、三日坊主は見ています。

葬儀紹介業者の流れを時系列で見てみると

2003年07月 アクトインディ株式会社が「葬儀サポートセンター」を開始。

2006年08月 株式会社ユニクスト・オンラインが「葬儀本.com関西版」を開始。

2009年06月 株式会社みれんびが「葬儀レビ」を開始。

2009年09月 イオンライフ株式会社が「イオンのお葬式」を開始。

2009年10月 株式会社ユニクスト・オンラインが「小さなお葬式」を開始。

2013年08月 株式会社みれんびが「シンプルなお葬式」を開始。

2014年12月 アクトインディ株式会社が葬儀サポートセンター事業終了。

アクトインディ株式会社が「葬儀サポートセンター」を始めた頃は、葬儀社側にも余裕感といいますか、そんな事業が受け入れられるとは思っていなかったのが事実でしょう。

現在と違い、葬儀サポートセンターが当初、重点を置いていたのは、「いい葬儀、いい担当者を提供できる場を発信したい」との思いが強かったようですが、消費者は逆に金額で葬儀を選択するという文化を作り出してしまった。

葬儀業界の皆さんは、「なんかやっとるなぁ」ぐらいに思っていたその流れは、あっという間に一部の消費者に受け入れられ、葬儀価格の下落に拍車がかかり、葬儀の形態そのものを否定する事に業者も消費者も疑問を抱かなくなってきました。

2009年頃、葬儀業界では「密葬」という言葉が使われていた頃です。葬儀社の売上げはやや下降傾向の兆しを見せてはいたものの、まだまだ、消費者が主導権を握る状態ではなく、葬儀屋さんに任せてという環境。葬儀費用への関心も高まってきた頃、葬儀社を退職し独立を試みた者が乱立し、「家族葬専門葬儀社(やがて直葬専門業者になるが)」が増え始めたのもこの頃です。

葬儀紹介業者と個人葬儀社のつながり

水面下で着々と進行していたこの葬儀紹介事業は、そんな独立まもなく、仕事が入ってこない葬儀屋さんにとっても非常にありがたい存在でした。独立した彼らの多くは、IT環境には慣れていません。パソコンで文章を作るくらいはなんとかなっても、ホームページ作成などはとても無理な彼達にとって、ネット紹介事業者に登録する事は助かる存在でした。

これらの紹介事業者の前にネット上でうごめいていた動きは、2008年10月末現在には3万5千を超える団体が認証されたNPO法人です。葬儀の相談を窓口に、「安心・安価」な葬儀を模索、研究する団体がその背景に葬儀社と結託、もしくは、葬儀社そのものがNPO法人を設立しているケースも多かったのです。

垢抜けしない見栄えの悪いホームページ。それでも消費者からアクセスを得て申し込みや相談を受けた背景には”非営利活動法人”という、一見、ボランティア的な活動と勘違いするネーミングに乗せられた方も多いと思います。

「家族葬を考える会」とか「葬儀費用を考える会」なんてよく分からない法人活動を行いながら、独立系の葬儀屋さんたちとネットワークを形成していきます。
この活動をおそらく遠巻きに(ネット上では目の前ですが)見ていたIT起業家にとって、参入するためのハードルはとても低く見えた事でしょう。

葬儀業界への異業種の参入が加速化

イオンが葬儀に参入したのは2009年9月です。社員の方の経験が元で葬儀を研究し、3年ほどで準備を終えて開業した。となると、2006年頃にはその機運が高まっており、2007年中にはそこそこの概要ができていた可能性が高いと考えます。

すでに1997年 5月1日には阪急電鉄が葬祭会館「エテルノ西宮」オープンしており、またネット上には2003年07月からアクトインディ株式会社が「葬儀サポートセンター」を開始しておりましたので、時代背景的には異業種が参入しやすい雰囲気が整っておりました。

阪急電鉄は、施設などのハードを担当し、葬儀自体は業者に委託の形をとりました。自社でハードもソフトもとなると、それをできる人間が育つのに非常に時間がかかるので、ハードルが高い。葬儀の業務に参入するという点において、ソフト面を既存の葬儀社に委託した事で特に難しさはなかったのではないでしょうか。(品質の統一化の問題はあるが)

イオンの子会社になったダイエーの創業者中内功氏は、流通業界の革命をモットーに下町のスーパーから成り上がった方ですが、この方が「葬儀をしたい」と言った時、経済界の方々から「小売屋が葬儀なんて」と蔑まされたように言われていたのですが、そのDNAが、子会社となってもイオンの中で、先代の遺言として残っていたのかと私は思っています。

このような葬儀業界の流れがAmazonのお坊さん便に繋がってきています。

葬儀そのものに参入した、阪急電鉄や南海電鉄は、ハード面を自社の資金で賄い、葬儀を行うためのソフト部分は、外注委託、もしくは南海電鉄とティアのように、どこかの葬儀社とフランチャイズ契約を結び、施行をカバーします。

この二社があまりネット上でとやかく言われないのは、”葬儀社”だからです。自ら葬儀施行を行っているので、趣旨の違った主張であっても、その影響の及ぶ範囲が限られているからです。この二社が仮に「宗教は不要、お布施は定額で」と、いくら叫ぼうがそれを支持するのはごく一部の方に限定される。

しかし、ネット上で葬儀を紹介する”小さなお葬式”や、”シンプルなお葬式”などは、あまりにも情報拡散が早すぎて影響が大きすぎる。消費者のニーズと彼らは言うが、ニーズは消費者に潜在する、要求、商品・サービスに対する不満などを引っ張り出すきっかけさえあれば、それがあたかも基準になってしまうきらいがある。ニーズを作り出してしまう可能性がある。

その延長線上で起きた今回のAmazonお寺さん便の問題。せめぎ合うIT業界の中での事業拡大のための手法に、死と葬儀と宗教を利用してはいけないと強く思います。

葬儀業界の社長様、今こそ宗教を大切にしませんか

お布施の概念を改めて申し上げる必要はありませんが、その法施(財施)行為を楯に、自浄努力をおざなりにしているお寺様も一部には存在します。お寺様の財務事情も背景にあるとは思います。また、葬儀社も、お寺様を利用して利益を得るための”商品”と言えるような付き合いをしているところもあります。

いいお寺様、そうでないお寺様も混在する。いい葬儀社、そうでない葬儀社も混在する。そして、そうでない両者を商品として、また自社の利益のために利用しょうとするIT起業家もいる。

そんな連中に、主導権を持って行かれていいのですか?
何十年も地域のために貢献し、代々受け継いできたその信用を守り続ける努力も全て否定される”商行為”の商品ライアップに、”御社の名前をぶら下げる事”が目標ではなかったはずです。

宗教を否定する事は、すなわち葬儀も否定する事です。
お寺様が定額なら、葬儀も定額でとなります。もう既に直葬という形でそれは始まっています。

葬儀社が自社で会館を立てるリスクも負わず、葬儀を施行するための人員確保、教育などもしなくていい。人のフンドシで自分たちの”形のない企画商品”を販売し、その”カスリ”を取る事を、”ITビジネス”だ、という方々の下請けでいいんですか?

今こそ、葬儀の本義を原点に戻すべき、大切にするべきではないでしょうか。
布教、お布施などの問題は、お寺様にお任せするべきであり、葬儀社が携わることではない。
葬儀社は、本来、宗教ありきの葬儀の原点であった葬儀組の時代のそれぞれの関係性を、最初の一歩を、大切にするべきと思うのです。

宗教(仏教)の存在

いろいろとご教授いただいている、仏教の関係者の方のフェイスブック上の「☆僧侶の説明責任と信仰☆」というテーマのコメントの中で

「仏教が、お経の意味が「わからない」「見えない」のはあなたに責任があるので、わかりたい、見たい、と思えば自分の足で歩くしかないのです。」

とおっしゃっている部分が、宗教(仏教)と私たちの関係を説明していると思いますし、本来、宗教(仏教)は、お寺様ではなく、その向こうにある、見えない世界観の中に存在するものであるという事をはっきりとおっしゃっているように私は感じます。

お寺様がすなわち宗教(仏教)と考える、感じるのは、乏しい心で見る私たちの”色メガネ”なんですね。だから、お寺様にお布施を渡す事に悩んだり、抵抗があったり、その加減に不満を言ったりする。仏教の場合、人間(在家)と人間(お寺様)の付き合いではなく、人間と仏様(如来、菩薩)の付き合いなんですよね本来の姿は。

そして、その行為をサービスとか商品と定義したりして、そこを争点にして話していること自体が間違っているんですよ。本来、その仏様の教え(法)や、意義(教義)に感謝の気持ちを行為で表すのがお布施です。

仮にお付き合いのお寺様が、その行為に、多いとは言わないでしょうが(笑)、少ないとか言うお寺様だったら「人と人の付き合いでは無い。仏様にお供えするのに多いとか少ないは無いでしょう」と言えるぐらい、自分自身(信仰)の言動に責任を持つべきだと思います

だから、どんなものでもいいのです。あなたが「そうしたい」と思った加減が、お布施の目安です。心が救われた。業績が回復した。家庭が円満になった。健康で毎日いられる。そんな事を宗教(仏教)とのご縁で感じられたなら、それが機縁だと思うのです。

最初の一歩、「葬儀・教義リーフレット」を作りませんか

無宗教者、肯定派、否定派、信仰に熱心な方、そうでない方、故人の死を悲しんでいる方、義理で参列している方、健康な方、体を患っている方、自分の葬儀に関心のある方、葬儀には全く関心の無い方、悩みを持つ方、会社に不満を持つ方、家族の仲が悪い方、親子の関係がうまくいっていない方、恋人と別れた方、友人を事故で亡くした方…

もっと、もっと、書ききれないほど人の気持ちがあり、人の心の在りようは様々だと思うのです。葬儀の場には、そんな方々が集まります。

そこへ宗教者が登場し、死の意味、生死観、宗教の意義、教義についてなどを、ほんの数分間、法話として話されるお寺様もいれば、全く法話を行わない方もいます。
法話をされるお寺様にしても、わずかな時間では多くの事を伝えきれないと思うのです。

仏縁は何がきっかけで始まるかは人それぞれです。身内の死で初めて感じる人もいるでしょうし、生活、事業などで苦しみを感じている方が”神頼み”ではないが、すがる気持ちでご縁が始まる方もいるでしょう。それをたまたま目の前に現れたお寺様を通じて、きっかけになる行為を葬儀社が大切にするべきだと思うのです。そして、この行為も法施です。

葬儀社の社長様へ、興味を持っていただければ作成してください

まず、お寺様のされる法義、作法、経典などを目に見える形にしませんか。仏式で通夜・葬儀に行われる読経を掲載し、その経典の意義を説明する「葬儀・教義パンフレット」を作成しませんか。

おかみそり(帰敬式)をされる場合なら、その作法の意味をコメントする。下炬(あこ)引導、表白や御書拝読の意味、宗派の成り立ち、その教義の根本にあるテーマ、本山の位置、その宗派の考える葬儀のあり方、それらを”見てもらえるパンフレット”を作って、通夜・葬儀で皆さんに渡し、持ち帰っていただけるようなものを作るべきだと思うのです。

そして、お寺様にお願いして法話を通夜の前、葬儀の前に行っていただき、その説明がパンフレットに記されている旨を伝える事で、これから始まる法義の意味がより一層、身近なものになりますし、”一緒に供養を行う”事に繋がると考えるのです。

「葬儀・教義パンフレット」を粗供養の代わりに作成し、皆さんにお渡ししてもいいのです。
宗門に費用の負担を強いるのではなく、葬儀社、葬儀関連業者がスポンサーになって作成してもいいと思うのです。そして、監修は、本山にお願いしてお墨付きにするべきです。

特に粗供養なら製品原価は低く設定できると考えますから、葬儀社にも利益のあることです。
お茶やタオルを販売するよりも利益も多いと思います。法施をしながら会社も不利益を被らない、そして、仏教に触れる最初の機会でもある葬儀を大切にする事にもつながると思うのですがいかがでしょうか。

そんな小さな事からでも宗教(仏教)を大切に守っていかなかったら、葬儀業界の将来はますます先細りしますよ。

宗教を否定し、その意義を不要とする風潮が加速すれば、最終的に葬儀も必要ない事なんです。お寺様との人間のお付き合いは別にして、葬儀の原点にある宗教、特に日本は圧倒的に仏教が多いのですから、その原点を大切にしている葬儀社が生き残っていくのではないか、また、そうであってほしいと願います。

死と葬儀と宗教を商品として販売する紹介業者の下請けから脱却するべきです。
そんな業者との差別化を図るには、会館をいくら豪華にしてもダメです。
ソフトは、イオンでもわかるように、2年もあれば素人でもできるのが葬儀の業務です。
フランチャイズもありますから、業務追行に困るわけでもありません。

「やっぱり葬儀屋さんにお願いしてよかったわ」と言われる葬儀社になるために、下請けに加盟するより、地道に活動する。

うさぎとかめの話を思い出していただければ… と思います。

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