社会全体にモワッとした不安感がある限り、終活という言葉は生き残るんだろうなと感じます

終活事業社の行動指針にも変化が出ている。これまでの得意先だった葬儀関連事業者や一般人の人気にも陰りが見え始め、これから先もうまく鵜飼いの鵜を増やし続けられるかどうかが運命の分かれ道です。

延命してますな、終活事業

終活というワードが意外と長生きしていて、未だに高額な費用を支払ってもコーディネーターに登録する人が絶えません。これらの資格は国家資格と呼べるものではなく、全て一般社団法人などが任意に検定し発行するもので、葬儀・相続・保険・介護・お墓などに関する知識を数時間の講習を受けて、「薄く幅広く得る」事で取得し、相談者へのアドバイスを行います。

このような団体が設立された当初は、葬儀社や葬儀に関連する事業者の登録が多く、自社施行誘致への一つのチャンネルとして自分の死に興味や関心を持ってもらって、最終的に死を迎えた時に「相談に行った葬儀屋さんに依頼しよう」ってところを狙えると思ったんでしょうが、消費者の心は浮気者ですから思うように落ちてこなかったんでしょうね。

ところが最近は、弁護士・司法書士・ファイナンシャルプランナーはもちろんの事、保険・介護・医療関係者も講習に参加し資格を得る傾向があります。これらの方々は葬儀関係者と違い、生きている方の問題を専門として、生きている間に相談に乗り解決する人たちです。

士業においては、これまで死を迎えることで起きうる問題と、死後に起きる問題に関して相談に乗れることと言えば「紛争解決」でした。問題が起きてから初めて関わることができたのですが、終活資格は広く浅い知識によって、問題が起きる前から悩み事に関わることができるのです。

また、保険・介護・医療関係者においては、より幅広い相談に乗れる事によって他社との差別化も図れますし、何より、より深いコミュニケーションが構築できるのです。そして、生きている間の問題も死後の問題にも乗れるので事業性の拡張が見込めます。やろうと思えば葬儀屋さんも可能ですし、そうなれば施行獲得能力はかなり高いのです。

時流にうまく乗る人が勝ちです

これまで葬儀業者の対応力の低い狭いテリトリーだった死後の問題が、終活という言葉によってこの垣根を簡単に崩してくれました。そして、葬儀社もその分野を特化しようと工夫することもなく、ただ施行を求めるだけの本性が新たな隙間産業を生み出し、進化させつつある状況にあります。

終活資格を発行する団体のやり手の方は、この傾向を察知し企業関係者、特に保険・医療・介護関係者への資格取得を勧め、自社の事業に有利な点を強調し、順調に鵜飼いの鵜を増やしています。資格自体は価値がないものだけど、その知識を右から左へ伝えるだけで期限付きの資格商法が生き延びるなんて、まるで錬金術師のような手腕ですな。

残念ながら、こういった嗅覚が葬儀業界にはないんですよね。豊富な資金をぶち込んでガンガンやるのは得意だけど、社会的なニーズを生み出すのは葬儀屋さんには本当にできないんです。だから、葬儀紹介ブローカーや終活資格事業者にすぐ上に乗られてコントロールされてしまうんですねぇ。

社会全体に蔓延するモワッとした老後への不安感が有る限り、この終活商法はまだまだ生き残る可能性は高いですし、あのやり手の女史はうまく、したたかに生きていらっしゃるなと見ております。

シェアする

トップへ戻る