葬儀屋さんが未だに進化しないポイント『焼香編』あなたは右利き? 左利き?

焼香するという行為一つ取っても、葬儀屋さんや業界が常識と思う事は世間とズレがあるように思います。右手でつまむのは当たり前かもしれないですが、世の中にはそう感じない人もいるんです。

焼香道具すら疑問はない作りです

仏式での葬儀では、香炉に火種を置きその中へ香をくべ焼香するのですが、この時多くの方が気にするのは「焼香の回数や、やり方って?」と言うところがポイントになっています。

葬儀の担当者も、進行係(自称司会者)も、「本日の宗派は○○宗ですので、焼香は1回で結構です」などと開式前に説明し、祭壇前に出てきたらこっちに頭を下げて一礼してとか、焼香が終わったら席に戻ってくださいね、なんて話します。

焼香の道具は、古くは白の陶器で大きな香炉と蓋つきの香入れが主流で、イラストのような一体型も使われていました。その後、木の台の小さなくぼみに単体の香炉と抹香入れが乗っていて、左が香炉、右が香と固定されている葬具もありました。

また、器にこだわりが出た時代があって、○○焼きだ何だとか言って葬具を販売する会社が葬儀屋さんに売り込んで来んできた事もありました。そんな高級焼香具はこだわりすぎて、どちらが香炉かわかりにくい色目と形状をしているのもあったのです。

ですが、焼香の道具は多くは、右が香入れという前提で製作されているものも多いのです。

掴んだら熱いっすよ!

それらの焼香具を使って、葬儀屋さんは真ん中に香炉を置いて右側に抹香を置きます。香をつまみやすいようにと考えるのか、右側の香入れを少し手前に下げて置きます。右手で香をつまんで香炉に入れるからと、何の疑問も抱かずそうやります。

最近は参列者も減っているのでそんなに気にはなりませんが、そこそこの人数が来るとお葬式の場が初めてって方の割合も高くなります。中には焼香する事が初めての方も実際にはいます。そんな方が焼香所の前に立ってふと考え込み、何を思ったか火種を掴もうとします。

そう、その方は左利きだったのです。

香炉と香、どっちが主役ではなく、つい自然に左手で掴む先に香炉があり、先の方がくべた香が燃えずに残っているものを見て「これをつまむのね」と、何の疑問も抱かず行動します。

おそらく左手で右側にある香を摘もうとすると、手の動作が逆に動く(交差する感じ)と考えて違和感を持ち、「こっちか⁈」と、自然と手がそちらに行ってしまうんでしょう。

これは実際にあった事で、当時、参列者を見ていて、焼香を躊躇している方が危うく火種を掴もうとしているオーラーを感じて歩み寄り、「どうぞ右側の香を香炉にくべてください」と声をかけて火傷をせずに済んだのです。

その時初めて、葬儀屋さんの常識っておかしなもんだと反省し、それ以降は香炉と香を縦に並べて置く事にしたのです。下から上に行動するなら間違いは減るだろうと思ったのです。

まだ変わってません

そんな経験を葬具を製作する会社に話して、右利きでも左利きでも迷わない焼香具を作ってみたらと提案したのが20年ほど前でしたが、先日も参列した際に、未だに真ん中に香炉、右側に香を置いている場に遭遇し、葬儀屋さんの常識って代わり映えしないもんだねぇと、ある意味で化石発見ほどのインパクトを感じてきました。

葬儀屋さんがあたり前と思っている事が当たり前ではないのですが、関係者の中にはそんな疑問を感じ取らない方も多く、それが後輩に伝わり生き残っていく。

本当は、見栄えのいいものばかり求めるのではなく、そんなところにこそ配慮が必要な仕事だと思うのですが、葬儀屋さんの常識は何十年と変わらないもんだなあと実感しました。

こんな事を意識したからって相手に伝わるものでもないし、それ自体がビジネスの売り文句にもならないけど、そんな配慮の心は会社の根本に息づいて他の言動にも現れると私は思っていますし、葬儀屋さんの一番大切なところじゃないかなと感じるのは昭和なんでしょうかね。

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