老後資金を狙う終活ビジネス、日本ライフ協会破綻で思うこと

司法界を示す天秤
司法界を示す天秤

公益財団法人日本ライフ協会が破綻したが、このようなカネ集め集団の崩壊のたびに、それを信用した消費者が泣かされる。法整備は、いつも被害者が出てからしか行われない。しかも、公益財団法人と聞けば消費者は信用するよ。

相変わらずこの国は、被害者が出てからしか法整備しない

公益財団法人日本ライフ協会(3月18日付で一般財団法人)が破綻した。ことの発端は、「みまもり家族事業」プランを公益財団法人としては三者契約(契約者・協会・士業)でなければいけないところを、お国に内緒で勝手に、日本ライフ協会と契約者の間で結ぶ二者契約(違反行為)を行っていたことに始まる。

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公益法人を監督する内閣府の公益認定等委員会は、毎年、事業者から事業報告や財務諸表を提出させチェックするが、協会には13年に立ち入り検査をしながらも状況を見抜けず、報告内容の照会を始めたのは15年1月からでしかないという。結果、契約方法の違反行為を見抜けず、預託金を同協会の代表理事が不正流用し、負債額が12億円以上となってしまった。

三者契約だと、弁護士、司法書士、行政書士などが契約者からの預託金を供託し管理するので、資金の支出が必要になった時、士業がチェックを行い協会独自で支出を行うことができない仕組みになっているが、二者契約の場合、預託金を管理運営するのが協会独自の判断となってしまい、資金の出し入れ(ほとんど出しっぱなしだが)も自由に行われてしまう。

同協会の代表理事が別のNPO法人の代表も務め、そこへの不正融資を行ったりもしていた結果、正規の三者契約で預託契約を結んだ方までもが被害を受けることになってしまう。各自に返還される金額は、預託金の4割ほどになるのではないかとも言われていますし、施設への入居における保証業務までも放棄されてしまうので、退去しなければいけない事態に。

「みまもり家族事業」
病院への入院や福祉施設・賃貸住宅への入居に際して必要となる「身元保証」、自宅や福祉施設、病院生活で必要となる「暮らしのサポート」、危篤や訃報を受けた時の駆けつけ等の「万一の時の支援」、ご希望通りのエンディングを実現する「葬送支援」と、家族代わりとなって日本ライフ協会が行います。

一般社団法人「えにしの会」が引き受けようとしたが

【魚拓】日本ライフ協会、解散へ 自力再建を断念、事業は譲渡:朝日新聞デジタル
- 2016年3月30日 08:14 - ウェブ魚拓

福岡市中央区に本部を置く一般社団法人えにしの会 川鍋代表によると、

えにしの会は設立4年目で職員10人。東京、横浜、京都、福岡、小倉(北九州市)、熊本、鹿児島に事業所があり、協会と同様に高齢者らの身元保証などの支援を手がける。会員は約350人という。

そもそも、負債総額は12億円超、会員2600人の事業をこのような小さな事業所が引き受ける事に問題というか、無理があったと思います。えにしの会が、事業譲渡を受けるためにとりあえず必要だった資金は3000万円だという。その資金を融資などでも賄えず、事業継承を断念した。見込みが甘いというか、なんというか。

仮に、この資金を用意できたとしても、負債額12億円超と運転資金を考えると、3000万円を用意できないところが引き継いだところですぐに破綻することは目に見えていたし、第二、第三の被害者を生まなかったのは、不幸中の幸いか。

この、えにしの会でも二者契約、三者契約両方で受けており、この法人は、一般社団法人なので二者契約が違反になることはないが、3000万円を用意できない団体が、果たして二者契約を行っていて大丈夫なのだろうか?

この法人の契約における相関図を引用し、下記に記しておきます。

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さて、このような終活事業はどうなるのか

今回の件を受けて国は法的整備に乗り出すという。

「遅いわ!」

こういった商法で被害者が出て、社会問題にならないと国は動かないし、動けない。消費者自らがリスクを承知の上で投資を行うなら、その責は消費者にもありますが、今回の場合は監督庁にも責任は大きいと思うのです。

互助会も設立運営当初、問題が起きた時に法整備を行ったが、この時は潰れなかった。今は、財務体質が弱い、弱小互助会も多いがまだ表面化していない。互助会が破綻した場合、他の互助会が会社・会員ともに吸収してきたが、これからはこれも難しい場合も出てくる。

何せ吸収する側にも余力がない上、破綻する側の互助会に、あまりにも自己資金が残っていないケースが想定されるからです。そのため、経済産業省が監督するとは言っても、互助会が壊滅的に破綻した場合、国が面倒を見てくれる訳でもない。

怪しい行動をする団体はまだあります

終活コンサルタント関係では、このように預託金まで預かるケースは無いが、無法地帯であることにはかわりない。自前の規格で資格を乱発し、講習費、試験料、そして年に一度の更新料を支払わされる一般人の「終活コンサルタント」資格って、何の意味があるのか?

自団体の構成員として囲い込んだこのような人達に対して、その団体が日本ライフ協会と同じ事業を始め、積極的に加入を勧めた場合、その団体の終活資格を持つ構成員と、その人に関わる人達、そして、終活資格で万一、事業的な事を始めていたら、その受講者までもが被害者となる可能性がとても高いのです。

あくまでも被害者が出てから法整備を行い、その後に加入した人はその恩恵を受ける図式。
今回も同様のケースで処理をされ、被害にあった方の救済は難しいと思います。

葬儀社の人間でも、そんなところで発行する資格を取得し、堂々と名乗ってみたりする人いますが、こんな資格は、国家資格でもないし、あくまでも「内輪の資格」なんで、全葬連で制定しても十分間に合うようなもの。なぜ、受講しようとするのかわからない。

深く考えず行動していると、騒動に加担する行為になりますよ。(受講した時点で、団体の利益確保と行動に同意している事になってますから)

さあ、どうします

「やはり」というのが、率直な感想です。高齢者の資金を狙ったこのような不徳な事業者は、葬儀ビジネス、公益ビジネス、資格ビジネスに潜在し、それらに対する規制を、もっと厳しくするべきではと感じます。

以前から、NPO法人、一般社団(財団)法人など、いかにも「非営利活動」を行って、公共のボランティア活動のごとく、自分たちの事業モデルをスレスレの表現で宣伝している事業に警鐘を鳴らしてきました。まして今回のように、公益社団(財団)法人という、内閣府のお墨付きなんて付いていると、ストレートに信用してしまいますよね

またまた葬儀業界が、めんどくさい状態になってきている
ズルイヤツが多いですサイト上で「一般社団法人・葬儀」と検索してみてください。ワンサカ出てくると思います。過去、流行したNPO法人が現在は一般...
終活詐欺にご注意を!
海外からも、日本における終活が注目されているらしい 新たなビジネスジャンルとして終活に群がってくる業者が増えている。遺品整理業者や貴金...

現在の大手葬儀社も、今回の財団もそうですが、その実態は、カリスマ個人事業主が代表を務め、その親族が役員を構成する。一族は高給を受け取り、そこで働く人たちは、その一族のために身を粉にして働く。そして、一番厄介なのは、このような法人組織では、監査が効かないということです。いわゆる「逆らえない」空気が満タンなんです。

今回の日本ライフ協会の事案は、高齢者にとって死活問題とも言える部分で、入院や老人ホームなどの入居に関して、身元保証がなければ受け入れない事業所が多く、そのために「公益財団法人」という、一般社団(財団)法人とは違うレベルでの事業だと思い、信用の上に成り立った契約が破綻したのです。

今回を機に法整備がされる様子ですが、早急に制定しないと、これら未曾有の無法地帯に蠢めく終活ビジネス事業者が、一般社団(財団)法人であっても高齢者の老後資金を預託することは簡単です。そして、預託金を自由に自分の事業に使ってしまい、また破綻する。

そろそろ、国家資格にするべきではないでしょうか

諸外国のようなポジションにするべきだと思います。遺体保全に関する衛生法規の知識を持ち、日本ではあまり行われないエンバーミングの知識、技術も兼ね備えた葬儀事業者がまず国家資格として制定されるべきではないかと思うのです。その資格者を責任者に持たない「終活事業者」は、活動できないようにするべきではないでしょうか。

士業が入ったからといって、これが全て安全とも言えないが(よく使い込んでいるので)、国家的な資格に対する、制限された行動指針を法的遵守させる環境が、見える世界につながると思うのですが。(これはできる。これはできない。法的な規制)

要は、現在の葬儀社、葬儀関連業者、終活事業者、ネット事業者、そのどれもが法的な規制がないので、誰でも「葬儀と名の付く事業」を行うことができる。そして、若干の抜け道を使えば、その葬儀に結びつける、葬儀関連事業を行うことができるという環境なのです。

結局は、事業者の良心によってかろうじて保たれている状況で、昔から悪い奴はいっぱいいるから気をつけよう。でも、どれが、悪い人なの?って、消費者には見えにくいのです。

そして、宗教が根底にある葬儀がほとんどなのに、施行誘致のために葬送儀礼をおざなりにしてしまう葬儀社が増えるのです。プロフェッショナルを創出していくべきです。

喉元過ぎればの事案にならない事と、政治的な背景やつながり、その他の事情によって、大切な事が湾曲されて、業者にとって都合のいい法律制定はご遠慮願います。安倍さん。

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