小さなお葬式と互助会の関係

ちょっと、やりたい放題の商品展開を見せる葬儀紹介業者。葬儀の現場から求められるニーズと違い、目新しさがアピールポイントとして一番大切なところ。そんな発想から生まれる商品はもはや葬儀と呼べないものもありますが、大丈夫?

小さなお葬式さん、状況変化ですか?

最近、ネットで小さなお葬式の「早割」なる「掛け捨て保険型割引サービス」を見かけますね。500円の加入料金で最大割引が66,000円安くなるという。

1年後、2年後と割引が大きくなり、3年と30日まで最大割引料金が適用されるという。2年を過ぎた後、継続申し込み期間中に再申し込みをすると、最大割引の特典が更に3年延長できるとあります。

確かに小さなお葬式は、葬儀業界にとっての「盲点」を突いたビジネスモデルを構築したという点では「やるなぁ~」と思いますし、それを許したのは「葬儀業界の体質の古さ」が原因にあると感じます。

ただ、葬儀の紹介だけをするスタイルは今に始まった訳ではなく、結構古くからあります。「看板」で施行を受注し「施行」は別会社が行うなんて関東ではよくある話で、特に目新しいものでもありません。現在の紹介業者は、単なる葬儀ブローカーの成功例です。

この小さなお葬式。2013年2月14日発売のダイヤモンド社では

『葬儀業界を震撼させる買収劇が密かに成立したことが、週刊ダイヤモンド編集部の取材で分かった。買収されたのは、事業開始からわずか3年で葬儀業界4位の葬儀施行件数(年間)を獲得した「小さなお葬式」ブランドのユニクエスト・オンライン。買収したのは、売上高で業界2位のアルファクラブグループだ。
 買収契約が締結されたのは1月18日。買収金額は10数億円と見られる。買収されたユニクエスト・オンラインの田中智也社長は近く退任し、同社が展開するリフォーム事業を切り出して、その経営に専念するという。』

と報道されていました。

事実はどうなっているのか詳細は見えてきませんが、設立から5年。現在も田中智也社長は、資本的なポジションは不明ですが在任しています。なぜ、このような葬儀紹介業者が台頭できたのか、このポイントを両者の事情から見てみたいと思います。

互助会について

互助会は戦後に始まった組織で、当初は、費用のかかる冠婚葬祭を多くの人で助け合う「相互互助」の精神がモットーでした。残念ながら、現在の互助会は助け合うというより、吸い上げるような組織になってしまっています。決して安くないので、そう感じるのです。

設立当初は「冠婚」がメインであり、その挙式をあげる場所を確保するのが一番主要な事でした。冠婚に付帯する貸衣装や料理、引き出物が大きな売上です。葬儀なんて全く関心がない時代で、葬儀部門へ行かされる者は「メイン」に乗っていない事になります。

それがやがて冠婚の施行数が伸びず、誰も「互助会なんかで結婚式をしない」時代がやってきました。すると、それまで売上の屋台骨だった冠婚が廃れて、代わりに葬儀の売上が大きくなっていきます。それでも、主体は冠婚であり、葬儀はあくまでもお荷物的な存在です。

売上比率が変わってもその考えは人事にも残っており、やはりメインは冠婚であり、支配人なりその会員を獲得する支社の支社長が偉い!みたいなところはあります。葬儀だけを行い、冠婚は手がけない互助会ももちろんありますが、後発の互助会会社が多いです。

 互助会と一般の葬儀社、資金力の差はデカイ

一般の葬儀社にしても、家族同士での事業。代々に渡る地元業者という存在が主流でした。そこへ独立の意思を持ち、病院営業をメインに会社を大きくしたところもありましたが、やはり互助会とは事業資金を集める手法が違う。

大阪で霊柩自動車の許認可事業を独占していた葬儀社では、売上ベースがある中での葬祭事業ですからまだマシですが、通常は銀行からの借り入れが主体であり、当然返済があります。その資金を、割賦販売による前受金で賄える互助会との差は歴然です。負けますよ、そら。

互助会では、一ヶ月に2億の新規会員の売上があったとしたら、次月はその2億に新規2億ですよ。その次は4億に2億が積み上がっていくのです。毎月、毎月そんな感じで積み上がっていく資金なら、何億って会館もすぐに建てることができますよね。

年間、数百億円の売り上げを上げる互助会だけど、利益を会員に還元するって話も聞かないし、会員証に含まれる内容で葬儀を全てできない。相互互助の象徴とする「豪華な葬儀会館」を会員が共有して使用するにしても、一般価格より安いけど、結構な料金です。 

やったもん勝ち

人は誰にでも平等にチャンスはあると思います。互助会を批判していた、その時代の葬儀屋さんの社長にも何百億円の売上を上げる葬儀社になるチャンスはあったのです。

その方が、葬儀の技術を生かしながら、誰よりも早く互助会のシステム(昔の頼母子講と同じですが)を考えて実行すれば、業界トップの葬儀社になっていたかもしれません。

小さなお葬式もそうです。いい、悪いは別として、停滞していた業界、封鎖間のある業界を別角度からアプローチする事で、それまでの「老舗」の葬儀屋さんを「手玉」に取ったんですから、これも葬儀業界にいた誰もがやれるチャンスはあったんです。

そんな小さなお葬式が「早割」を販売するのを見て、一瞬「飛行機か!」と一人突っ込みをしながら考えました。

業界の浮雲児みたいに持ち上げられてたけど、小さなお葬式も伸び悩みしてる? 互助会の影響? 共済保険の活用? 生命保険を立ち上げたくらいですからこれぐらいの保険システム持ってきますよね。互助会が売れないから一口単価を下げたのか?

考える葬儀屋さん(この方の記事は本当に鋭くて、タメになりますm(_ _)m)でも「いつもの小さなお葬式の記事」でご指摘されていました。引用させていただきます。

『結婚式の紹介を始めたのは互助会に買収されたからでは・・・
お葬式もそうですが買収元への紹介をしてたら問題だと思います。小さなお葬式が買収元へ依頼している?』

本当のところの狙いは

アルファクラブグループが買収したとすれば、古くから、玉姫グループ・平安グループなど、派がありますから当然、互助会グループ間で共有するでしょう。私は、ほんとはそこが買収の狙いだろうと思います。過去の共済保険も、現在の生命保険も同じく共有していますから。

互助会の売上も伸び悩む、施行件数も減っていく、そんな状況でいくら単価が安くとも他社に「ボンボン」持っていかれるくらいなら、目障りだし、え~い、買っちゃえってなりますよね。サイト上から受注をできるシステムを一発持っていれば、この分野も抑え込めますから。

同じ式場で葬儀をしても、その窓口が違うだけで葬儀料金が全く違う。もちろん、施行内容は大きく違いますが、会館使用料なんて互助会会員の方が高く支払うケースも出てきます。そんな矛盾を抱えても、やっていくんですね互助会は。

 仁義なき戦いの行方

互助会同士でもお互いのテリトリーを侵食する時代になりました。移籍施行から自社施行の確保のために、他互助会エリアに葬儀会館をポンポンと建設しています。消費者の知らない裏側の事情で死を取り合うために様々な思惑が交差する。

そんな仁義なき戦いの中に出てきた、無視できない紹介業者を買収してみたけど、案外、無駄な買い物だったんじゃないでしょうか。手中に収めても、似たようなヤカラは次から次へと出てくるし、イオンもいますから。さすがにこれは買収できない。

買収した事で、件数は伸びても当然、低い単価の施行が増えるし平均単価はグンと下がります。それを見てまた慌てて修正をする。そんな会社ですよ、互助会は。先を見ない。潤沢な資金をそんなところへ惜しげも無く投資しても潰れないんですから。

そんなにお金が余っているなら、葬儀の文化継承のためにも使ってくださいよ。希薄な葬儀を売りにするネット紹介業者を言うことを聞く立場に収めたのなら、彼らのITスキルの高さを使って、そこから「葬儀はここを大切にしないとダメですよ」と、葬送儀礼の大切さを訴えてほしいのです。航空券予約のようなネーミングの保険なんか販売せずに…

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