ネットで見かける「葬儀紹介業者」について考える

お金の山
お金の山

葬儀紹介業者の実態

ネットで葬儀を紹介する業者は、大きく分けると葬儀社自らが施行誘致のために運営し、グループもしくは懇意にしている者同士がネットワークを形成し、それらの業者しか紹介しない、いわゆる宣伝・誘致活動として運営しているところと、全国的に葬儀社を登録させ、サイト上で葬儀の受付だけをして紹介手数料を稼ぐタイプに分かれます。

葬儀社が自らの施行誘致の窓口として運営している場合、「お葬儀の無料相談」や「お葬式のQ&A」みたいに、いかにも葬儀に関する疑問に答えるためのサイトを装い、結局は自社、もしくは登録グループに都合のいいアンサーでしかない事も多いのです。

消費者にとって不利益なのは、葬儀社グループの商品構成や、葬儀に関する考え方を一方的に押し付けられてしまう事になります。自分が相談した内容が歪んで返ってくるという結果になります。これでは相談ではなく、相談の時点で葬儀を申し込んでいるようなもんです。

リベートの存在の影響

方や、葬儀施行を一切せず、葬儀社を紹介するだけの業者の場合、登録する葬儀社は全国に広がり、消費者の身近なところで葬儀を行う事ができるのですが、ここには設定された商品それぞれに対して「リベート」が発生しているため、相談は無料のように感じますが、葬儀代金にきっちりと含まれています。

葬儀社側から見れば、かなりの利益を持っていかれる事になるので、紹介業者がぼちぼちと出だした頃は、紹介・依頼されたプラン以外の商品をやたら売り込んできたり、サイト上の内容と実際の施行内容に大きな相違があったりと、トラブルも結構多かったのです。

最近では施行内容のチェックを厳しくし、申し込みと内容が違う、請求金額が違うなどのトラブルが発生した場合、以降の紹介をされなくなったり、登録を抹消するなどのペナルティが設けられ、このような「被害」は少なくなったと聞きます。

非営利活動なら安心なのか?

NPO法人や一般社団法人などで相談を行っているところも同じで、これらは一見すると「非営利活動」を行っているボランティア団体のようにも感じるのですが、消費者に対して非営利の意味を勘違いするように利用している、とも言える胡散臭い団体も数多く存在します。この一般社団法人やNPO法人についての説明は以下の記事にあります。

またまた葬儀業界が、めんどくさい状態になってきている
ズルイヤツが多いですサイト上で「一般社団法人・葬儀」と検索してみてください。ワンサカ出てくると思います。過去、流行したNPO法人が現在は一般...

このような団体もリンク先を辿っていけば、グループを形成している葬儀社が見えます。真正面を向いてNPOだからこそできるサービスを定額で提供しているところも存在していますが、私が知る限りでは1社ぐらいでしょうか。

他は、利益を得るための商活動をちょっと見えにくくするための手段として利用しているだけであり、終活資格乱発なんて平気でやります。これも終活=葬儀を考える、その葬儀を付き合いのある葬儀社やグループを構成する葬儀社に流すための資格でもありますから。

ネット紹介業者の脅威

これら紹介業者の台頭は、既存の葬儀社にとっては「脅威」でした。これほど世の中に受けるとは思っていなかったのです。

最初は「ネットで葬式なんか申し込むわけないやろ」などと静観していた業界も、消費者の人気が上がるにつれ、自社にもサイト上の商品構成や商品名のような葬儀をできるかどうか問い合わせも増えてきます。

そうなると、家族葬や小さなお葬式のプランを組み直さない事には、どうしてもサイト紹介業者の方に目が向いてしまいますので、お葬式そのものが流れてしまって施行が入ってきません。そして… 当初は批判していた業者たちも、いつの間にか「加盟」しているのが現実です。

様々な懐具合の事情

施行単価が安くても、何もせず会館を空けているよりは施行をしている方が無駄がない、助かるというのが本音です。でも、これこそがネットでの葬祭ビジネスを立ち上げた人たちの思惑通りなんです。何十年と経営してきた業者、業界が、葬儀の素人が始めたネットビジネスに乗せられ、受注を受ける事になり立場が逆転しています。

最終的に無視できない存在なら買い取ってしまえって訳でしょうか、家族葬専門の紹介をしている小さなお葬式も近年、大手互助会に会社に買収されたニュースがありましたね。足元でチョロチョロやっていた頃は相手にしていなかったのでしょうが、ちょっと目障りな存在になってきた途端に買い取っちゃったのですから。

全国的に葬儀単価の下落が加速する中、互助会でもこういった施行も他社に持っていかれるぐらいなら、多少施行単価が下がっても件数を稼ぐためのアイテムにしかないという事です。消費者側から見れば、どことどこが繋がっているのか不明なのです。既存の葬儀屋さんが信頼できないから紹介業者を利用しているのに、結果、既存の業者で施行する事になります。

でも、この場合デメリットばかりではないんです。ストレートに既存業者にお葬式をお願いするよりも、同じ施設、同じ祭壇などを利用しながら安くなる事もあります。また、既存の葬儀社に大きな刺激を与えたこともメリットと思います。複雑でしょ… 葬祭業界の背景は。

こういったシステムを利用するときは商品プランをよく確認することが大切です。また、お葬式を依頼する会社と施行をする会社が違うため、何か問題が起きたときに、どちらのブランドが責任を取るのか明確になっていないケースも多く不安が残ります。

ネットの葬儀社って安心?

このように消費者にとって、葬祭業界の思惑が見えないため安心してお葬式を行う環境は整っていません。その為に、葬儀社とお葬式の内容について折衝する、消費者寄りのコーディネーターが本来必要なのですが、残念ながら紹介業者と葬儀社をコーディネートをする人間はいても、消費者側に立つ側の人間はいません。

葬儀社側の担当者がコーディネーターとしての役目を兼務している場合、売上を上げる会社側の意向を無視する訳にもいきませんし、いいお葬式を行ないたいという、担当者個人の気持ちの問題といいますか、性といいますか、その間で悩む事もあると感じます。

「行いたいお葬式の内容」を、適正な価格で不要な商品を省き、安心して満足のいくお葬式を執り行う。そのためには紹介業者の文言を鵜呑みにするのではなく、それを理解するためにも消費者が賢くなる必要があります。

消費者の立場から見て、法律には法律の専門家である「弁護士」があり、税金のことなら「税理士」に相談をする、帳簿・記帳についての相談なら「会計士」、登記や専門的な書類作成を依頼するなら「行政書士」など、いろいろな専門職の方がいますが、お葬式には消費者側に立った専門家がいません。

もちろん、国家資格的な制度もない、免許も必要のない世界ですから、あったとしてもとてもうさん臭いのです。

葬儀紹介業者、終活サポート業者など、これら第二、第三の漁夫の利を得ようとする業者を制限する法律もないので、葬儀業界全体には、このような監視する機能もそろそろ必要なのかもしれませんねぇ…

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