今更ながら、何かおかしい葬儀の常識ついて掘り下げて説明してみようと思う、寝台編

アメリカ車のフロントイラスト
アメリカ車のフロントイラスト

葬儀業界には不思議な常識が結構あります。制度上のものや、風習上のものなど、一般から見れば「?」と思う事が正しい常識として通用しているところもあります。そんなところを一つずつ改めて考えてみます。

寝台車料金の仕組み

現在、ほとんどの方が自宅以外で死亡されます。この比率は平均で約80%ほど。地域により数値にばらつきがありますが、多いところでも自宅死亡は25%程度。厚労省が「自宅でのみとり」の推進を図っているとはいえ、まだまだ病院で亡くなるというスタイルは変わらないのです。

有料老人ホームなどで死亡後、その施設内で葬儀をできるところもありますが、数にすれば一握り程度。費用面から言っても全ての人に当てはまるケースではありません。となるとですね、死亡後、自宅へ帰るのか葬儀会館(式場)へ直接搬送するのか、いずれにしてもまず寝台車が必要になります。

主に葬儀社が所有する車両で搬送するケースがほとんどですが、寝台搬送専門業者へ葬儀社が委託しているところもあります。

料金構成は、寝台車の車庫(基地)から病院などの目的地まで走行する事を空走距離といい、ここは通常、何も積んでいないので料金には加算されません。

病院から目的地(自宅や葬儀会館など)まで走行する事を実走距離といい、多くは10kmまでを基本料金として、以降、10kmごとに距離加算をするケースがほとんどです。

で、目的地(自宅や葬儀会館・式場)へ搬送後、車庫(基地)まで戻るために走行する際、これもまた何も積んでいないので空走距離となり本来は料金がかかりません。

しかし、大阪から東京までなどの長距離搬送を依頼した場合、業者によってはこの空走距離においても料金に含めて請求してくるケースもあります。

貨物(遺体)を積んで走る距離が500kmとして、高いところ(東京の寝台搬送業者など)でも20万円前後でいけます。ところが同じ距離を何も積まず、同じような時間をかけて「タダ」で帰ってこないといけない状況になると、葬儀屋によっては1.5倍ほどの金額でふっかけてくるものもいます。行きは20万円、帰りは10万円となって、大阪から東京までの搬送料金が片道料金30万円って感じです。

その実態は

で、肝心なところですが、これらの料金は各社が国土交通大臣に届出を行った料金表に基づいた金額なので、寝台車運賃を無料もしくはダンピング、アッピングして搬送することは違法という事です。届け出た料金表に沿って請求しなければいけないという事です。

もう一つ問題は、タクシーのようにメーターが設置されてないので請求行為がアバウトなのです。運転者が目視で距離を計算し、請求するので利用者側でチェックする機能がないのです。タクシーに乗車した時には、カチカチと上がるメーターを気にしながら「あっ、ここでいいです」なんて言って、少し手前でも降りるのに寝台車ではなすがまま。

同乗者がいないケース(遺体だけを積んで走る)では確認する事もできないし、仮に同乗するケースでも、いちいちスタート距離と目的地到着距離を伝えるなんて事もない。遺族も言われるがままに請求された金額を支払っています。

タクシーと寝台車の違い

関西で有名なMKタクシーではホームページ上で運賃をシミュレーションできます。

MKタクシーホームページより

同じ距離を寝台車で搬送すると10kmまでは基本料金なので、安いところで13,000円〜15,000円ほど、高いところで17,000円前後でしょうか。タクシーや宅配便などと比べてかなり高額な設定です。

逆に11km走った場合、1kmごとの刻みではないので20kmまでの料金を請求されます。このはみ出した1kmを空走距離に掘り込んでしまえば基本料金内で収まるのですが、この処理は葬儀社によって様々です。

これ以外に深夜の搬送では深夜加算料金がありますし、「ちょっと家(会社)の前で止まってあげたい」なんて言われて寝台車を待機させると待機料金がかかりますが、ほとんどの葬儀屋では請求していないと見ます。

また、乗車前には点検をしなければいけませんし、業務終了後にも点検は必要です。なので寝台日報にはこの時間も記入しなければいけません。出発時間前に10分、業務終了後に10分と、点検もしていないのに出発時間、基地到着時間に足して業務終了時間に記入する葬儀社もかなり多いのです。

このようにタクシーと違い、運賃計測メーターもない。申請許可された運賃であるにもかかわらず、国もそれを厳しくチェックしない。業者任せの料金請求管理で、その業者も管理は徹底していない。こんなユル〜い環境の中、皆さんは運賃を支払ってます。

”10kmまで搬送料金無料です”は違法です

葬儀社もそうですし、葬儀を紹介するサイト業者にしても「10kmまで寝台搬送料金は無料」と表記しています。これは法律上、違反行為になります。グリーンナンバーは無料で走行する事はできません。また、割引や上乗せ請求も違法です。

自社の寝台車であっても葬儀料金から寝台搬送料金を支払う事が業者には必要で、なので厳密に言えば見積書・請求書には葬儀一式40万円ではなく、葬儀38.5万円、寝台搬送料金1.5万円としなければ営業表記上の言い訳が立たないのです。(寝台車・霊柩車も含めて構成したプランが40万円というのが葬儀社の言い分)

だから、先ほどの1kmオーバーした距離加算を請求する業者も申請に基づいてというより「10kmまで無料で走ってんだから」と数千円を請求するケースも多いのです。(ガソリン代もらっとこかって感じです)

子会社で寝台車や霊柩車の車両部門を持ち、母体の葬儀社から子会社へ料金を支払う何て事をきっちりやっているところって、よほどの利益が出るからするだけで本体事業の利益の迂回のためです。私が見てきた中では、経理上そんな事もしていない業者も多かった。

多くは子会社もないし、自分のところの寝台車って感覚なので料金に関しては無頓着なんです。そんな葬儀社は、送迎バスも白バスで堂々と無料搬送していました。無料だから白ナンバーでもいいんだって理由で…

でも、白ナンバーの寝台車や送迎バスなどで料金を請求する事も、無料で搬送する事も同様に違法です。厳密に言えば「道路運送法に規定された営業類似行為の禁止に抵触する」可能性があるという事で、グリーンナンバーで営業する業者のシノギの邪魔をしちゃダメですよって事です。

寝台車のご利用はお気をつけて

このような環境が実態なのです。しかし、寝台車を依頼した葬儀社で葬儀を依頼するならそれほど気にする必要はありません。多くの業者は10kmまで無料というグレー表示をしてくれています。ありがたい事です。

逆に、このようなアバウトな環境を厳しく突っ込むと消費者の方が不利になります。制度の厳守は業界にとってはいい事ですが、タクシーや宅配便とは大きくかけ離れた高額な料金が請求されてしまいます。

そこは全く見直されませんし、国も「高いんちゃうか?」とも言わない。タクシーやバスに関してはうるさいほど、会社の存続に関わるほど関与してくるのに貨物搬送に関してはあまり関心がないのです。

なぜか? 生きている人を運ぶ事は安全に適正に行わないと大きな問題になるからです。事故を起こせば訴訟問題などにも発展し、その結果、制度上の問題も指摘されかねないためです。

で、気をつけていただきたいのは、とりあえず寝台車を依頼して葬儀は別の業者で行うというケースの場合、高額な金額を請求されるのが実態で、その時の請求は11kmの1km切り捨てなんて絶対しないという事です。一回こっきり。しかも自分のところでしないならって事で寝台搬送料金という感覚ではなく、人件費としての色合いが強いのです。

なので併せて、これまた葬儀を依頼する業者には無料として含まれている初回ドライアイス料金も、「ご遺体の保全のために」と強く勧めて売りつけてきます。だって、持って帰っても半分くらいの大きさに昇華してしまうので使い物にならないからです。

病院から勧められ、慌てているからその指示に従って依頼し、その結果、数万円も支払ってしまった。とならないよう気をつけてください。それと予備知識として、入院先と自宅や葬儀会館までの距離も事前に頭に入れておいた方がいいと思います。

シェアする

トップへ戻る