納棺に関連する商品の単価や裏側の話

今やAmazonで棺も購入できる環境になりましたが、昔はどこにも売っていない商品ばかりだったので、葬儀屋さんの専売価格でしたが情報がオープンになることはいい事です。そんな納棺に関する商品から葬儀屋さんを分析します。

棺の値打ち

納棺に使用する「棺」ですが、葬儀セットプランであるとかコースプランによく含まれる、「込棺(セット内)」扱いとして一番安い棺は、私が葬儀社に勤務した頃では「プリント棺」というものがよく使われていました。

このプリント棺、当時は折りたたみ式のもので上下左右の側板を「パタン」と立てて、その固定にプラスチック製のピンを打ち込んで使用します。これ、ホームセンターなどで売っている三段ボックスのような素材でできていまして、非常に貧素なものでした。

現在はほとんど使われていないプリント棺ですが、今は「込棺」として「桐(張り)棺」が主流となっているようです。この桐棺もこれまでのプリント棺と見えない部分の素材は同じで、表面に桐材を薄くしたものを貼っています。

見た目はプリント棺と違い、天然の木目が出ていますので、パッと見た感じではムクの板を使っているようにも見えます。ただ、ムク板だと材料費がかかりますので、合板を素材として表面を綺麗に仕上げるという手法です。

当時の仕入価格と売価

プリント棺で8千円前後。現在、主流となっている「布棺」も1万円前後で仕入れているもので、昔も今も仕入れ金額に関してはそれほど違いはありません。ま、この辺りはネットでも購入できるようになってきましたので、一般の方もおおよその金額はわかると思います。

企業努力により、材料費等が上がってくるとそれまで合板を使っていたものを、今度は木材チップを固めた合板に切り替える。棺の材料を木材からパルプに変更するなどを行い、仕入れ金額がそれほど高騰してはいないのです。

では、販売価格を見てみるとどうかですが、これも私が葬儀の仕事を始めた当時とあまり変わらないですね。安いので3万円、5万円、7万円そして10万円以上になってくるんですが、種類はかなり増えました。

高級棺というジャンルのものとしては、当然「桐・檜」などの天然素材でムク板でできたものを言います。当然、木目なども気にして使用しますので、材料の無駄も出るため高くなります。家を建てる時の「柱」と同じ木材で、用途が違うだけですから当然ですよね。

あと、「漆」といっても天然漆ではなく、カシュー塗装した棺もありまして、20万円~40万円くらいを目安として販売価格を設定していますね。

カシュー塗料(自然乾燥)は、1948年(昭和23年)にカシュー株式会社が発明し、特許を取得したものです。

滅多に出ません、無垢材の棺なんて

私が30年近い業界の中で無垢の檜でできた棺を使用したのを一度だけ見たことがあります。その店で100万円の設定でした。全国ではもっと売れているかもしれませんが、統計を取っている訳でもなく、またその情報もありませんので存じません。

通常の棺の仕入れ原価の設定としては、私が行ってきた限りでは15%前後を目安として高くても20%まででした。この設定は、葬儀社各社によって違いますので、善意のある業者さんなら、同じ棺でも安く提供してくれるでしょう。

ちなみに余談ですが、棺を作った余材料で木製の経机や写真立てなどを作っています。最初に自宅に帰った時に、ローソクや線香をあげるための「台」といえばわかるでしょうか。

納棺商品の品質と価格

白装束(経帷子・佛衣ともいいます)は仕入れの安い商品です。神道用などでしか男性用、女性用くらいの区別しかなく、通常は男女兼用の一手だけでサイズ別に用意しているのは稀です。生地は化学繊維であるサテン生地が主流で、正絹で作っている物は高価です。

販売価格は葬儀屋さん得意の一万円刻みか、奇数設定。1万円・3万円・5万円って感じです。何もこんなところまで、お布施や香典の慣習を持ち込まなくてもいいと思うんですけど、律儀に法則は守ります。

棺に敷く「棺布団」も同じような生地で、これも棺の中にセットで入っていている物もあるのですが、無料の布団を使うのは福祉での葬儀の時。それ以外、売れるなら、はい1万円です。

納棺することにも大変な費用がかかる。付いているものでも売ってくる、葬儀屋さんの設定がいやらしいので、ほんと葬儀ってお金がかかりますよね。

その他の商品

杖とか編笠なども使用する地域もありますし、その他に角塔婆、塔婆、七枚塔婆や墓標なども必要な地域もあり、大きさも高さも地域によりバラバラです。

墓標の材質は主にモミで太さ3.5寸角(約10cm)、高さは四尺から七尺ほどで、これは無垢の木材なので仕入れが結構高いんです。ですので販売価格も当然高い。だいたい倍売りくらいが目安でした。

これにお寺さんが墨で直接法名・戒名を書くのですが、書き損じた時は最悪です。お寺さんに請求するわけにもいかず、喪家が再度購入することになります。

必要な物を見分ける力が必要

ざっと、納棺時に用意する商品についてお話しいたしましたが、これ以外にもお葬式には様々なお金がかかります。か けようと思えばいくでも可能です。バブルの時代にはほんとありえないようなことに金をかけてました。

参列の方の「往路」・「帰路」を分けるだけのために、山門から式場入り口まで仕切りのために樹木を移植した事もあったぐらいですから。

今は、家族葬というキーワードで消費者側は「安くなっている」と感じていますし、業者側は「高品位な家族葬」を目指して金額を上げたい意向がありますので、葬儀費用の攻防に新たな商品を開発しています。

商品が増えて、消費者にとって必要な魅力あるものならば歓迎ですが、そうでないものまで、さも必要なようにトークしながら販売してきます。(だいたい、葬儀屋さんが考える商品とかってダサい、意味のないもののが多いんです)

要、不要を考えるのは消費者側にとって難しいものです。そういった事を考えていただける機会にこのブログがなればありがたいと思っています。

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