棺? 柩? 納棺にまつわる話

故人を収める「棺」。納棺されると「柩」。「霊柩車に乗せるのは「棺」?「柩」? 今回は、そんな棺と納棺に関する話から葬儀屋さんの言動を分析してみます。

「棺」と「柩」の使い分け

棺にご遺体を収めると「棺」は「柩」に表記が変わるとも言います。ところが、すでに納棺されているけど「出柩」とは表現しない。霊柩車も、何も乗せていない状態で「霊車」とは表現しない。棺台はいつでも棺台。文章的に齟齬をきたすとも言われるけど。なぜ?

そんな疑問の解決にヒントになるような経験があります。私が葬儀の仕事についた頃、地方での仕事も多く、その村では出棺の際に「輿(こし・ひつぎ)」と呼ぶ係がありました。棺を納めて墓まで移動する道具を担当する役目です。

この輿、棺を大きくしたような形と寸法で、材質はヒノキ。側面には窓があり、その窓には「御簾(みす)」(よく神社やお寺の中にかかっているすだれのような物)がかけられ、四方を「欄干(らんかん)」で装飾し、天井には龍の彫刻が鎮座していました。

今の霊柩車の原型って感じの物です。これを第八車と同じような作りの土台に乗せ、出棺の際に棺を収めて、墓へ向けて葬列を組んで進んでいくのです。霊柩車で行ける道でも慣習でこちらを使います。

当時、私の知る第八車の車輪にはゴム製のタイヤがついていました。自転車と同じスポークを張った車輪で、クッション性を考えてなのかなと思いましたが、その時には木で車輪を作れる方がいなくなっていて代用していたとのことです。

葬列に見る棺と柩

この村には古くから葬儀の際に「葬列の役割」というものがありまして、「位牌(いはい)」・「四本旗(しほんばた)」・「天蓋(てんがい)」などの役割を決めて、故人に近い方から主な物を持たせ、葬列を組んで親族が墓まで葬送する習わしです。

その中のひとつに「輿方」と呼ばれるものがありました。「こしかた」とは呼ばず、これも「ひつぎ」と呼んでいました。古くから変わらない名称だそうで、この村だけでなく、他府県の村でもこの役割があるところでは「ひつぎ」と呼んでいました。

輿の前身は、棺そのものに竹を二本、上に通してサラシで巻きつけて固定し、四隅を親族が担いで進む昔の「籠(かご)」のようなスタイルだったそうです。担ぐということでは「神輿」も「輿」も同じ意味です。

それが時代とともに担ぐ時代から、棺を収めて押し進む「輿(ひつぎ)」になり、自動車で運ぶ時代になって、輿の装飾部分を豪華にして乗せたような霊柩車に変わりましたが、輿は、人が入った柩を運ぶ第八車という事で、進化した霊柩車に柩の字は残ったのではと思います。

さて、そんな時代背景があり、納棺には地方の風習や宗教的な慣習があるのですが、最近ではおざなりにされていることも多いと感じます。

儀式も重んじていただければ

物販には意欲はあっても、習わしには意欲がない葬儀屋さんって感じでしょうか。まず、担当者自らが着物や洋服を着せ替える事をほとんどしない、というかできない。だから、湯灌業者なりに全てを振ってしまう。すると湯灌料金がかかるわけです。

業者が行う「湯灌」という儀式については、下手な葬儀担当者より故人に対する威厳や納棺に対する習わしなどを重きにおき、丁寧な所作と作業で喪家側の評価もかなり高いのです。お値段以上の価値を感じている方も多いのです。

「長い間の入院生活でお風呂にも入ってなかった(湯灌=お風呂ではないですが)から、こんなに綺麗にしてもらって故人も喜んでいる」という声をよく聞きました。

経帷子(きょうかたびら)とも言いますが

白装束(経帷子とも佛衣とも呼びます)を着せることも納棺の際に大切なことなのですが、これも着せるのではなく上から掛ける事が多くてですね、ちょっと頑張れば着せれるのにしない。湯灌を受注できなかった時には特に着せてあげないといけないのに、しない。

宗派により用いない事もありますが、宗派上、必要と説明して販売したなら、やはり着せてあげてください。担当さん。

こんなひとつの事例ですが、良き担当者なのかそうでないのかは、ちょっとした所作でわかります。言葉巧みに、物事をはぐらかす担当者にはご注意ください。そんな人でも多くの喪家は感謝するので、本人は勘違いするのではないでしょうか。

こんな担当者には気をつけて①

「んっ?」と思う事例。故人が自宅に帰ってきた時に、タイミングを合わせたかのように一人でやってきた担当者がひとこと。「それでは皆さんで、お布団に移してあげてください」と。これ、口先ばかりの典型です。

丁寧に話してますが、遺族は初めての方も多いのです。大切な方だから自分たちで寝かしてあげようとの気持ちから行動に移されますが、どうすればいいか分からないんです。

担当者が主になって「私が頭の側を抱きかかえますので、皆さんは足元をお持ちいただけますか」って言えないの? 結局、人をアゴで使ってるようにしか私には聞こえませんでしたが。

こんな担当者には気をつけて②

別担当者、装束を着せ替えようとやってみるが、故人が大きすぎてできなかった時にひとこと。「あんまり無理すると装束が破れそうですね… どうされます? 上から掛けますか?」

はぁ? 破れないように着せ替える「術」をお持ちじゃないのですか葬祭ディレクターさん。

面倒くさい事を、破れそうですがって言葉に変えて、自分の技量の都合に合わせた結果に誘導する話術だけは一級ですね。湯灌の方なら着せ替えてますよ。技術ありますから。

こんなところ注目して見てください

ドライアイスを処置する際に綿花などで包んで当てるのですが、この包む時に畳や床に直接、綿花を平げたりしないこと。直接置いている担当者はダメです。だって、足で歩いているところに顔を擦り付けるようなものでしょう。気遣いは必要ですよ。

また、三分の一以上、昇華して小さくなったものでも平気な顔をして使う担当者はダメですね。小さなドライアイスでは「申し訳ない」、「効果が」と考えてくれる担当者ならキチンとしてますから。こんなところにも気遣いがあると思います。

いかなるところでも担当者が「丁寧な仕事」をする人は安心できますし、「手を抜く」ヤツは口先ばかりで動かない。そんなヤツは経験を積んでいくと、喪家がわからないことをいいことに自分のペースに持っていきます。

ちょと努力したり、頑張ればリクエストにお応えできるのに、気持ちがないので「面倒だ」と感じたら反射的に「体が動く」のではなく「言葉」で動きます。

こんな人に任せて「いいお葬式」ができる訳ないと私は思っていますので、遠慮せず担当者を変えてもらえるよう葬儀社に言いましょう。その方が、その担当者のためにもなりますので。

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