実録! 親戚の葬儀から見える今どきの葬儀事情 第3部「見積り編」

笑顔で握手する子供
笑顔で握手する子供

第1部「警察篇」、第2部「葬儀篇」に続いて、今回は、第3部として見積りにおける、現在の葬儀業界の”事情”を探ってみる。今回は、強烈な担当者がやってきた。強気な見積もり姿勢から見える葬儀業界の事情を探ってみます。

ゆる〜〜い、見積もり担当者が登場

第1部「警察篇」、第2部「葬儀篇」に続いて、今回は、第3部として見積りにおける、現在の葬儀業界の”事情”を探ってみる。

午後8時過ぎに、第一候補の葬儀会館の見積り担当者がやってきた。伯父の家の前の道はとても狭く、車がすれ違うことができない。一方通行ではないが、大抵は大通りからその細い道へ入ってくるのが通常で、そのまま抜けることはできる。が、今回は、予想しない方向から入ってきた。入ってきにくい逆の抜ける方からブ〜ンとやってきたのだ。

その瞬間、「こいつ、ダメだわ」と再認識した。何事にも”センス”というのは必要で、例えば、車の走行雰囲気、停止場所、停止方法、降りてからの対応、周りへの配慮など、醸し出すところはいくらでもある。ブログ開設当初の記事にも書いたが、喪家宅へお邪魔する際、玄関先の揃っている靴を見ても、私ならわざわざ片付けるフリでもする。アピールのために。

葬儀社が気をつけなければならないのは、何も電話対応だけではないのですよ。喪家に伺う際にも、その周辺に遺族・親族が通行しているかもしれないし、後々、お世話になる町会の方もいる。どんな方が近辺を通行しているかわからない。普段見慣れない車は、印象に残りやすく、目が行きやすい。そんなところにも配慮は必要なんです。

もっと、ビンビンにアンテナ張れよ!

今回は自家用車で来たが、社名入りの会社の車ならなおさらだ。どこで自分の言動を見られているかを常に意識しないといけない。これがわかってない奴は、仕事もゆるいと、三日坊主は思っています。枕飾りやドライアイスを下すために家の前に止めるのはわかるが、下ろし終えたら車は有料の駐車場にでも入れて、家の前は喪家のために空けておくべきです。

案の定、絵に描いたような担当者が来た。「ちょっと、中の状態を確認させていただきます」ときた。フムフム。いいよ。いいよ。今回は、死亡場所すら彼らは電話で確認していない。
すでに最初からつまづいているのですよ、君たちは。そんな中、故人の状況を見たら何かを気づいてくれるかなぁとの、淡い期待を持ちながら喪主と長男を紹介した。

と言うのも、自宅死亡なのにすでに湯灌をすませて着替えも済んでいる。葬儀社を手配していないのにドライアイスの処置がされている。でも、枕飾りは無い。病院から寝台搬送されたなら着替えとドライアイスは理解できるが、通常はありえない。身内に葬儀屋がいるのか?知り合いに葬儀屋がいるのか?でも、中途半端。「んっ?何かおかしい」と感じないといけない。

が、彼は拍子抜けするほど全てをスルーした。こちらの地雷を踏まずに家の中で長男と話し始めている。仕方がないので話しに加わり「ま、とりあえず、前回の内容に沿って見積りしてもらえますか」と伝えた。おそらくここは、金額を合わせてくることはなさそうなので、決裂しそうなのは見えているから、時間の無駄。なら、さっさと儀式を済ませようじゃないか。

担当者に知識がない、経験値がない、能力がないのは、ある意味で武器にもなると感じた

この葬儀社、事業引き継ぎ当初に何やら会員を募集していたのは知っていた。私の中では、加入時に小額の入会金を支払うか、もしくは無料のタイプだと思っていたが、結構、本格的に積み立てシステムを行っていた。12万円なり、18万円なりのコースがあり、月掛金で銀行引き落としだという。おまんとこ、なんちゃって互助会か!?

口を挟まないと決めていたので、その都度、アドバイスをすることに。「え〜と、こちらの18万円の会員証が満期でありまして、この会員証には祭壇が…」よく聞く、互助会パターン。そこで、「約款とか契約内容がわかるもの、持ってきた?」と言うと、持ってきていないと堂々という。ほっ?じゃ、何を信用してその内容と金額について了承するの?

「おたくとこは、互助会なの? その会員は共済なの?」いえ、生前に予約積み立ていただいている分ですときた。互助会でも無い、共済でも無い、無免許・無許可でお金を集めちゃ法律違反じゃろがと突っ込んでみると、相変わらず、生前の予約でと言ってくる。
でもね、勝手にお金を集めたらそれは出資法違反だよ。

どうやら、親元の互助会でのシステムを流用して、その許認可の元、会員を募っている様子なので、会員証の発行元を問いただすと、会員証はすでに発行しているのでこちらにあるでしょうとぬかしてきた。ちゃいますやん。誰の名前でお金を集めてんのんって聞いとんねん。何を聞いても答えが返ってこないので、ほっておくことにする。話にならんちゅうやつですわ。

堂々と、無知をさらけ出せるあなたは素晴らしい

各項目を埋めてくれと見積りを進める。「霊柩車は、タクシーと同じで、全国統一料金なんですよ」との言葉に三日坊主はつい突っ込んでしまった。霊柩車は全国統一なん?「ハイっ」と明るく答える彼の言動に感動すら覚える。霊柩車は車両の仕様によっても料金は違うし、管轄するエリアへ登録申請している料金がベースになる。タクシーも全国統一ではないんですが…おもろいこと言うね、君。はい、ザブトン1枚。

以前は消費税5%の時代だったが、今回は8%。増税に合わせて一部の葬具・商品も値上げしとる。平棺(合板の一番お手頃な棺。現在は布棺が主流なので、火葬のみなどの葬儀で使用される廉価版)でさえ5万円以上し、込では無い。骨壷も、その他一切の項目についても、ほぼ有料となっている。

つまらない説明を聞きながら、時折、突っ込んでみるが、返しの返答もまたつまらないので時間の無駄と反省し、見積りの仕上がりを待つことにした。一応、概算が出たのでみると、親族40人の家族葬、供養は、通夜、当日とも50個用意で予備を準備する。料理はこの担当者の説明では、通夜と当日の仕上げ料理の目安として、一人当たり1万円を見ておけという。

通夜の料理で3千円、当日で5千円、飲料で通夜・当日で各千円、それらを合計して1万円との説明。まだそこにサービス料名目で飲食の合計金額に10%が加算される。それらを含めて出された合計金額が約130万円。いっぱしですやん。そこから既払い済みの掛金を差し引いての額を負担しろとの事。

ちょっとイジってみる

「供養と料理は別で、葬儀にかかる基本料金というか、負担額を40万か、かかっても50万円くらいで予算配分できるかな?」と聞いてみると、速攻で「私では無理です」との返事。じゃ、あなた以外なら、喪家に事情があって予算を合わせて施行できるのかと突っ込むと、これも無理ですと即答。ふ〜〜ん。いけない葬儀担当者のお手本になる人だね、君は。

こういう時は、少なくとも”考慮する”という行動を取らないとダメだよ。例えば、花の締め切りが終わっていて、到底、今から追加なんてムリだわと思っていても、そこで即答しちゃどんなに気の長い、温厚な人でも気分悪くするよ。相手の要望をいったん受け止めて、それに対して誠意を持って対応していますって雰囲気出さないと。本当、君素晴らしいね。

で、彼はなぜこのような対応をするのか分析してみた。一つには、素人でも見積り対応できるように会社が”幅”をもたせていない事。イレギュラーに対応させるには、そこそこ経験値がなければ対応できない。それを可能にするには、相当の期間を教育という、即利益を生み出さない投資をしなければならないため、商品単価表に沿った内容しか対応しないようにしている。

二つ目には、直葬などの葬儀が増えているため、葬儀プランの設定単価を上げざるをえない状況にあるということです。例えば、数年前までは、150万円前後を売上目標としていた場合、時折、飛び込む金銭的事情がある葬儀での施行を行う時に、総額で50万円でも80万円でも可能だったのは、平均単価の下落を取り返せる高額な施行も時にはあったからです。

ところが、最近の葬儀は10万円前後から入ってくる。最低単価が、あまりにも下落しすぎて以前のような50万円から80万円の施行をボンボン受けていると、より一層の平均単価の下落を招くのです。10万円と50〜80万円を加算していては、これまでの形態を維持できないので、10万円に130万円〜を加算したい背景があると、三日坊主は見ました。

自分たちで蒔いた種ですよ、この今の状況は

施行単価が下落しだした当初、参列者の減少がまず最初に引き金になった訳です。密葬から家族葬に言葉が変わり、限定された環境で人が集まらなくなる。香典を辞退する事が流行りだして供養も出ない。料理も出ない。葬儀がミニマム化していったのです。すると、60万円も
100万円も祭壇や葬具にかけるのが、”もったいない”という雰囲気になったのです。

そこへ、仕事が取れるなら葬送儀礼なんてクソ食らえ的な魑魅魍魎が、喪主や喪家の精神的、金銭的負担を和らげようと考えた一部の独立系個人葬儀屋さんが、良心的な金額で葬儀を受けてくれるようになり、それをヒントに、安価で良心的な葬儀をネットで受注し、仕事のない葬儀屋に販売すれば大きなビジネスになると考えた葬儀紹介業社などが登場。

そんな彼ら守銭奴的電子技能野心家は、IT起業家は、金額で葬儀を選択するという文化を創造してしまい、「ネットで葬儀なんか大したことないで」と思って、軽く見ていた古い体質の、儲けていても家内事業から脱皮できない葬儀屋連中は、気がつけばそこからの仕事の受注比率がそこそこある事に気がつき、こぞって登録するというバカげた現象が起こっている。

いつの間にか葬儀屋の上座に鎮座して、受注先の葬儀社として施行内容を精査されたり、その紹介業者の「講習」なんかにも強制的に参加させられる始末。要は、「あなたたちは仕事を受注する術も知らないし、サービス業としてなっていないんだよ。私たちが教えてあげるから、定めるスキルレベルを維持してくれるかなぁ」と言われているのと同じですよ。

「ほれ、うちにはこんなに顧客がいるぞ。仕事回してやろうか? 手数料そこそこ取るけど受ける? 」なんて、状況によって葬儀商品の定義や主流の主導権を取られちゃってるんですよ。
これ、葬儀業界も宗教界も同じです。

彼らは、火葬のみの葬儀を”直葬”なんて定義付けて、シャレ感を出して罪悪感を軽減してみたり、1日葬として、通夜なんてやらなくていいんですよぉ、当日集まっていただいた方が、お仕事で忙しい喪主や遺族の皆さんの負担が軽減されますし。という、涙が出るほどの気遣いを持ったポリシーのない商品を、葬儀として販売し、金儲けの道具の葬儀屋さんという下請けに依頼しているだけですよ。

その結果、訪れている問題

葬儀のミニマム化によって、葬儀単価の下落が始まった時に”値段で葬儀を選択する”という、安易な文化を創造する事に加担した、一部の葬儀屋さんと葬儀紹介業社によって、逆に「そこそこの金額で葬儀を行いたい」という事を無理にしているのです。単価の下落を件数で補おうと、自分で自分の首を絞めるような事を推奨した結果、30〜40万円では葬儀ができない現象が生まれています。

ネット上での葬儀受注業社のホームページをみてください。きちんと葬儀を行いたいと、家族葬を選択すると、小さなお葬式で488,000円(税込)、イオンでも498,000円(税込)。
これに供養返礼品、飲食などは別料金なのは、今回の葬儀でも同じです。ただ、スタートの金額が、最低でも約50万円かかるという事を、皆さんはどうお考えになりますか?

これは盲点です。確かにサイト上の説明のように全国的な平均価格を150万円とか200万円近くを例にとれば、「安く感じる」とは思いますが、最低金額の引き上げを起こしているのも現実です。これ以下の金額で葬儀を行う場合、1日葬になるか、極端な火葬式・直葬という選択肢しかないのです。

これらのサイトでは、丁寧な言葉で「丁重」とか「安心」、そして「定額追加料金なし」との言葉が出てきますが、三日坊主の翻訳を通せば、それらはすべて、「まともな葬儀をしたければ50万以上出してね」としか聞こえない。その金額が出せないなら、まともじゃないけど
1日葬とか、直葬とかあるから、そっちを選択してねとしか思えない世界になっています。

そんな葬儀業界で働くと、今回のような担当者も増えるでしょうし、専門業社としての自負も感じない。やってやる的な言動はダメですが、金銭的に負担が大きい喪家に対して、なんとかしてあげようという気概はもうなくなっています。すべてがビジネスとして割り切った、融通の利かない世界。それが、なんかおかしいと感じるのです。

あんたら、もうちょっとやる気ないんか?と…

実録! 親戚の葬儀から見える今どきの葬儀事情 第4部「見積り後編」に続きます。(現在、葬儀が進行中なのと、執筆を同時進行していますから、まだリンクできません。しばらくお待ち下さい)

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