ちょっと注目している互助会、レックさん

窓から一点を見つめる猫
窓から一点を見つめる猫

兵庫県に株式会社レックという会社がある。元は、関西新生活互助会という互助会なのだが、ここの事業展開が面白い。廃れゆく結婚式を盛り上げるその力で、葬儀の尊厳、葬送儀礼の文化を盛り上げていくリーダーになってほしいなぁ…なんて、一人、勝手に想像しております。

勝手に想像しておりますので、よろしくです

先日、ちょっと気になる事業を見かけて、サイトをググっていったら、「あれ、この会社はレックさんがやっていたの?」と初めてわかり、ちょっと驚きを持ったので推察してみました。

株式会社レックの代表取締役は高橋 泉氏。この方、三田市で島川商店を営んでいた島川久子氏の娘さまで、久子氏がご主人を亡くされた後、立ち上げた互助会(関西新生活互助会)に短大卒業後に入社、退職、再入社後、平成元年に株式会社レックを立ち上げた。沿革から推測すると、このあたりから、それまでの親のラインとは違う事業展開を進めてきたように思える。

互助会事業者は、親が創業し、子が引き継ぐケースが圧倒的で、現在、二代目、三代目への事業継承が進んでいる時代でもある。役員や関連会社の責任者には身内を重点的に置いて、他人は、ほぼ受け入れない。執行役員制度を設けているところもあるが、定年に近いくらい勤めてようやく任命される程度で、外部の参画を極端に嫌う傾向がある。

身内でも他人でも裏切りはあるのがこの世の常と言えるだろうが、戦国時代でもあるまいしってぐらい、なかなか他人を信用しない。そのためなのか、事業形態は親のスタイルを継承しつつも、親でもある創業者に押さえつけられる事を嫌うからなのか、ちょっと自分らしさを出したいと考えるのか、何億とかけてほとんど採算の取れない結婚式場を作ったりする。

ちょっとピントがズレているというか、身内同士の揉め事、そして、親子の甘えが存在する中で、外見上は、いっぱしの企業的なボリュームとイメージを持っているけど、やっぱり体質は葬儀屋ってところですね。進言を申し上げるなんてできる雰囲気はないし、嫌われるよりも、おとなしく言われた事をやっておこうなんて会社の体質が生まれるだけです。

これまでの事業スタイル

レックの事業スタイルは、女性目線が生きているのか、それまでの互助会とは少し趣が違う事業分野が多いのも特徴とみる。これまでの互助会の事業展開では、会員を集めるためのポイント(冠婚葬祭施設・営業所)を作り、店長などの責任者を募り、その施設を使った見学会に お客さん(非会員)をぶち込んで、誘致して、営業担当者が猛烈にアピールする。

そういう営業活動の中で、入会へつなげる&その方のネットワークに乗り、新たなつながりを作っていくという、なんといますか、ガァーーっとやって、ネチネチとしつこくつきまとうって感じかな。商品内容を見直すとか、提供約款を時代に合わせていくなんてのはさておき、とにかく会員を集める事に腐心するし、金を使う。

売りは、冠婚葬祭の施行のみであり、古い内容の約款を、提供する際のチグハグさは言葉で包み込んでフォロー。モットーは、会員入会者を増やせー!、互助会解約者を減らせー!、契約を取れない奴は辞めてしまえー!、って感じですかね。今日は右だが、明日は左。朝夕には価値観が変化するというほどの、経営トップの思いつき スピード感ある経営が売りです。

高橋氏と直接、話をさせていただいた事がないし、お仕事を共にした事がないので、人間性は全くわからないのですが、この路線とは一線を画していると感じる部分がある。三田市にある「メモリアルハウスけやきの森」は、ハウス形式の家族葬を狙った式場で、立地も良く、イメージ戦略的にも「そこで葬儀をしたい」と思わせるところからも、そう感じるのである。

よく考えてらっしゃると思いますケド

時代的には、消費者の使用するワードが密葬から家族葬へ移り変わってきた頃なので、タイミングも良かったし、初期投資も大型会館を建設するのと違い抑えられる。万一、使用方向を変更する事態になっても、ハウス形式(戸建)なので解体も楽だし、費用も少なくて済む。要は、メンテナンス費用、転用費用など、すべてにおいてやりやすいのである。

けやきの森の高稼働を横目に見ながらも、古くからの互助会は、この時期でもイケイケの雰囲気を満載でやってきた。これより後にできたベルコの「シティホール新三田」は、大型のホールを建てて、これまでの会員販売、施行を狙ったが、稼働率は思ったほど上がらない。そして、こんな大きな建物は潰しが利かない。この視点の違いが注目する点でもある。

でかいホールを作れば、多くの人が集まるなんて妄想は通用しない。時代はミニマムに舵が切られているにもかかわらず、ミスマッチングするリスクが高い。こんな会館の責任者にさせられたらたまったもんじゃないだろうね。「立派な会館を作ったのに、施行が増えないのは館長の責任だ!」なんて言われても、いや、いや、意見を聞いてくれませんやんと。

マネーパワーに対抗するのは、アイデア

レックの年商は、三田市・神戸市北区・西宮市・篠山市周辺地域を中心とした事業規模と、主要都市に点在する小さなブライダル拠点を合わせて112億円。互助会大手のところで、北海道から九州まで事業を展開して年商600億(最近580億と目にしたが、少しダウン傾向なんすか?)とか言ってますから、事業規模から言えば、結構、売上げているように思う。

冠婚のフラッグシップ式場は、「サンパレス六甲」だと思うのですが、(このイメージは古くからの互助会の匂いを少し感じる。)この匂いを感じる部分、おそらく創業者でもあるお母様の意思を尊重した、事業の始まりというか、アイデンティティを残しておこうとの気持ちがあるのか、あえて、当時のイメージをかすかに残しているのではないかとも推察する。

逆に、ここ以外の事業を見てみると、日本で初めて、婚礼デザインアルバムを販売した「ラヴィ・ファクトリー」事業部、低価格で行える「小さな結婚式」など、それまでの互助会のイメージとは違う事業スタイルを、全国の主要な都市に展開するなど、お母様の時代から、子の時代へ、ご自身の感性で、時代のニーズを取り入れた事業展開の変換を感じるところがある。

冠婚を見捨てる傾向があると言っても、過言でもない互助会の状況でありながら、どちらかというと、葬儀、葬儀していない点もちょっと違いを感じる。互助会会員を集める → 施行を行う→ 再加入という流れではなく、魅力ある冠婚葬祭の施行をアピール→ 誘致増加→ 施行までに加入と、どちらかといえば、施行をしたら、たまたま互助会だったくらいの印象である。

おっさんの感性では、この先はムリ、ムリ

豪華で、非日常な空間を提供している新しい施設でも、経営における考え方が、一昔前のブルトーザー型の会員募集経営(前受金をウッハ、ウッハ集めて建ててやったぜ! 洒落た建物だろう。これなら互助会でも若い人は使うんじゃ!と、心の中の声が聞こえてきそうな…)だとすれば、それは、古い感性というものではないだろか。

施設の新旧にかかわらず、やり方がどうしても互助会、約款提供に縛られているというか、そこからしか出ていないだろうと思える発想力、イメージに見えるという事です。金に物言わせて、ドーン、ドーンと事業ポイントを広げていくのとは違い、いかにニーズをつかみ、その商品を開発し、提供するか、そこが大きな違いだと思えてくるのである。

京都にある互助会大手の、本当に京都らしい場所に立つ、豪華なところを通りかかった時、「ひょ〜いいね。こんなところで結婚式を挙げれたら。」とは思うけど、もし、商品構成、売価設定、サービス内容が、古くから存在する結婚式場のバンケットを回す的な感覚だとしたら、魅力は半減すると思う。今や、商品企画力が勝負なのだから。

この事業展開も上手いと思うのですが

ラヴィ・ファクトリー事業部、小さな結婚式事業部、ブライダル美容事業部、メッセージ事業部、ブライダルカフェ事業部、貿易事業部、デザインアルバム事業部、、ファミリー葬事業部と、いろいろと事業部があるが、このどれもが既存の互助会がやっている事業内容と同じなのだが、演出が違う。どうも、おっさんが集まって作り出すモノと違うと感じるのである。

特に女性を意識した、女性を演出するイメージ作りがうまい。失礼な言い方だが、小さな互助会とは感じさせない、いや、互助会を感じさせない戦略が女性目線でもあり、センスも必要とされるところなのである。様々な互助会のサイトを見ていただければ感じると思うが、どこも、かしこも、「葬」、「葬」、「葬」なのとは違い、ブライダルを強く意識している。

葬儀施設は、基本的には家族葬をターゲットとした施設が多く、現在の葬儀の傾向を見抜いたところも感じます。三田市のけやきの森を少し高いところから拝見した時、このような会館建設をおっさんがやっても、金かけたのはわかるけど雰囲気が出ないモノができあがる。ま、昭和のいやらしい、趣味の悪い社長のコレクションみたいになってしまうんですよ。

さて、その理念は本物ですか?

さて、実際には施行力というか、その実力は全くわからないが、大事なのは、まずその会社の商品に魅力があるかないかではないだろうか。近隣の方が利用したくなる、そこで葬儀をしたいなんて気持ちを誘発させるような世界観を醸し出す、そういったイメージを先行させる中で、値段も大切なポイントでもある。

レックでは、一応、冠婚葬祭を安く提供できるシステムを目指していると提唱するが、その理想と現実が真実ならば、今後、注目すべき事業モデルの一つではないだろうか。そこに発想力が存在し、安くていいものを提供できる施行力が伴うのならば、面白いのではないか。

現在、日本の各都心部に出店している小さな結婚式ポイントが、結婚式を行いながら、アンテナショップの役目も兼ね、ニーズのリサーチ機能を果たし、その蓄積されたものが葬儀で展開された時、ひょっとすると、大化けする可能性があるかもしれない。

その時には、葬送儀礼をおざなりにはしないでいただきたいと願います。年商100億を超えて、事業として回るなら、お金だけではない、子供達の未来に残せる文化を大切にしていただければとも思います。そんな夢をつなぐ商品を売り出し、世の中に命の尊厳を訴えていただきたいですね。

やってくださるような雰囲気は感じているのですが…

先ほども申し上げたが、互助会、葬儀屋の発想力は正直、乏しい。CI(Corporate Identity)一つ見ても、垢抜けてもいない。粗供養を入れる袋にしてもそう。以外と、女子はお弁当やちょっとした上着などを入れていくのに丁度いい大きさなのに、デザインがダサいと持ち歩いてくれない。これ一つでも、そのデザイン性が話題になる葬儀屋は聞いたことがない。

結婚式が廃れる中、盛り上げてきた実力で、葬儀をデザインできる力、これを盛り返せる力が会社の企画力にあるならば、葬儀の簡略化に歯止めをかける事ができる可能性があるという事。安易に、高級化路線、低価格化路線だけを追い求め、文化や風習をおざなりにしてしまう互助会、葬儀社では、世間の思惑に流されていくだけではないだろうか。

多勢に無勢かもしれないが、できる可能性があるのではと思うので、簡素化する葬儀の底上げを果していただきたいと願います。安くても、いい冠婚葬祭を提供するのが、互助会の始まりということを心にそっとしまいながら、難しいかもしれないが、実現を目指していただきたいと願っております。

それを実現できれば、最低限の、人間としての尊厳を持った葬儀に、責任を持てる国になるんじゃないかな。その意識が、出産育児一時金と同様、葬儀にも充実した葬儀補助を考えるきっかけにもなるかもしれない。命が生まれる事も、命を終える事も同様に大切な事だという意識を、国民だけでなく、国がそう思わなければダメと感じるのです。

一人一人が安心して命を終える事ができる国にならないと、直葬なんて売り出す葬儀屋ばっかりでは、葬送儀礼は廃れ、人を、命を祀るのではなく、遺体を物的処理するだけの商売になってしまいますから。

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