お葬式の費用を故人の銀行口座から引き出せる、この言葉から連想する独り言

大きな金庫
大きな金庫

不幸が起きた時、まず、資金の問題が出てくる。預貯金がある場合はそれほど心配する事もないが、これを引き出すのも法的には手順が必要な事でもある。あるも不便、ないも不便、そんなお金の問題と葬儀屋の思考回路を検証しました。

お金を出せる? それを色んな人が見ています

福島県の福島銀行では、全国に先駆けて、故人名義の普通口座から遺族が葬儀費用を引き出せるサービスを始めた。これまで富裕層向けに信託銀行では行っていたというけど、私のような貧乏な者にはあまり関係ない話のようにも聞こえる。が、葬儀の現場となると少し趣が違う。このニュースを聞いて、どのような人間が、何を考えるのかを考察してみました。

 福島銀行は12日、預金者らと生前に締結した契約に基づき、葬儀費用など早急に必要な資金のみを相続対象の預金口座から引き出すことができる新たな仕組みを導入する。信託銀行などが富裕層向けに行っていたサービスで、同行によると普通銀行では国内初の導入となる。

引用:福島民報より

【魚拓】預金者死亡時...口座から資金 福島銀行が新払戻サービス導入へ:福島民友ニュース:福島民友新聞社 みんゆうNet
- 2016年9月11日 12:40 - ウェブ魚拓

この記事を見て葬儀担当者のいやらしい部分を探り出してみようと思いました。多分、私がいやらしい部分をたくさん持っているので思いつくのかもしれませんが、こんな考え方もあるんだぐらいの気持ちでお読みください。

実際、このような思考回路を持った人間と仕事を一緒にした時期もありましたし、その彼はまだ現役でもいます。中には自分で葬儀屋をやっている人間もいます。ホームページやFBなどで爽やかに微笑みながら、「真心を込めてお世話に務めます」なんて言ってます。改心したかもしれないですが、全てが性善説に立ったものでもないと感じていただければと思います。

賛否両論はもちろんあります、文才がないので誤解も招きやすいかも

こんな不貞な話を書くと、「私の周りにはそんな人はいない」とか、「そんな担当者(話)なんて一部だ。全てがそう思われることに腹立たしい」なんて声がよく出てきます。お寺さんのお布施のバックを葬儀社が受け取っている記事でもそうでしたし、私が創作した絵空事のように捉える方もいます。もちろん、それも正しい。

でも、その方の見えない世界にも確かにその事実は存在します。私はフィクションを書いているわけでもないし、当たり障りのない書き方もしない。香典の包み方? お参りの仕方? お葬式の心得? 葬儀社選びのハウツー? そんなブログは他にたくさんあるので書く必要もないと思っています。

で、自己主張をしたい訳でもないし、アングラブログを書きたい訳でもない。ただ、見聞してきた事実だけを書いて、お葬儀を大切にしていただきたいと問題提起しているだけです。そんな観点から、今回の故人の銀行口座から預金を引き出すことが可能になる記事のポイントを考えてみるとどうなのか。そんなの一部でしょうという、その一部を探り出してみます。

天使?と悪魔?

人間の中に潜む、善悪二極性のどちらが強いかによって結果が変わるのであれば、当然、担当する方も、葬儀を依頼する方も人間です。モラルとしてやってはいけないとわかっていても、それを、立場という都合によって解釈が変わることもまた事実。気付かずにやっているかもしれない。また、正々堂々とやるかもしれないし、罪悪感を持ってやっているかもしれない。

「そんなん一部やで!」との意見をお持ちの方の式場や施設などでは、利用者が不注意で何かを壊しても報告もない。飲食の持ち込みマナーの問題。禁煙場所で吸い殻を捨てられたり、何かを焦がされたなんて事は全くない平和なところかもしれない。大型商店などで見かけますが、「トイレットペーパーを持ち帰らないでください」なんて、?と思える事はあるのです。

最近の葬儀業界では新卒者の採用も増えましたし、大学卒業者を積極的に採用しようとしているところもあります。平たく言えば、昔のヤクザ気質な連中とは違い、いい人材が多いかもしれないのですが、人材は良くても、ひょっとすると悪魔のような心を持った社長が、天使の微笑みで、彼らを天使の姿をしたショッカーに仕上げようとしているかもしれない。

もちろん、天使のような方(三日坊主はBlack Angelと名付けられていますが…)もいますが、アングラな世界の葬儀を担当する人間が生アングラだったり、素人さんの方がもっとタチが悪い経験もたくさんありました。このような両極端の人間を、葬儀業界で見てきた者としては一筋縄ではいかないところも、業界に限らず、この世には存在すると思っています。

ブラックな思考回路

今回は、私になぞらえて、ちょっとブラックな見方をしてみたいと思います。この故人の銀行口座から預金が下ろせる場合ですが、これまで「信託銀行などが富裕層向けに行っていたサービスで」というところがポイントです。これに準ずるサービスを利用する方の口座資金は、「あると思います」と直感するのがブラックな思考回路だと思うのです。

病院へのお迎えの場合、寝台車に喪主を同乗させ、目的地までの時間を使って担当者の頭はフル回転しています。寝台専属運転手で、見積もりなどに関わらない人間なら、帰り先を聞いたら、あとはほぼ無言でしょう。時折、「長らく入院されていたんですか?」なんて、たわいのない話をやり取りし、自宅送りの場合、準備ができているかどうかを聞く程度でしょうか。

見積もり担当者が寝台車を運転している場合、なおかつ、この担当者の収入がその葬儀の施行金額によって、一部に加算されるのか、もっと比重が大きいのかによって、その対応には大きな違いがあります。仮に、目的地までの時間が短い場合を想定します。時間がない場合、まず、自社で葬儀を施行することが決定しているかどうかが前提にはあります。

私は葬儀に関わった当初、寝台営業から始まりましたので、まず、自社で施行をさせてもらうために一生懸命話をしました。寝台搬送だけで終わる事も多いのですが、互助会をひっくり返し、自治会で決まっている葬儀屋さんをひっくり返さないと仕事にならない訳です。なので、自社で施行が決まっていない場合、「うちでやらせてくださいよぉ〜」がメインになります。

言っちゃダメでしょ

自社施行が決定しているなら、死亡診断書の有無から始まってあれこれ探ります。これ保険などでも必要なのは皆さんご存知ですが、病院などで出される診断書で可能とも言えるし、指定の診断書に再度、記入してもらわないといけない事もある。郵便局のかんぽなどの場合、原本提出を言ってくるのですが、コピーで通用する事を伝えたりと、そんな情報をお伝えします。

親切そうに話してはいるけど、その実、死亡保険に加入しているのか、故人の預貯金は葬儀のために残されているのか、そんな事を知りたいだけです。ダイレクトに聞けないから、さりげなく関連する言葉を投げかけて、返ってくる言葉の中から確認作業を行っているだけです。何度も言っておきますが、あくまでも事実であり、ブラックな観点ですから。

そんな時、「お父さんの口座は、亡くなっても下ろせるサービスに加入している」なんて言葉を聞けば、それまで信託銀行が富裕層向けに行っていたものを、普通銀行で、わざわざ有料のサービスを申し込んでいる家族となれば、「うち、それなりにあるよ!」と言っているようなもんです。すると、急に態度が変わり、より一層、親切丁寧になるヤツもいます。

葬儀屋の「屋」の部分

歩合給として加算されるケースの場合、当然、売上は意識します。会社で販売を 強制 推進する商品もありますし、毎月、平均単価を集計され、 脅迫まがいなこと 叱咤激励を受けることもあります。その葬儀社の考え方によるのでしょうが、私の感覚としては、立派な葬儀社でも「社」ではなく、「屋」の体質は変わらないと見ています。

私の言う古い時代の「屋」は、仕事が発生すればお金が入る構図に群がる世界です。一回出ればいくらなんですから、人より出たい。他所に発注されるなら、自分のところに欲しい。そのためには、白を黒と言っても構わない。提灯ならいくらでもぶら下げまっせ〜、て、人間の集団形成が葬儀屋だったのです。その本質は変わっていないと思いますので。

経営者として、その会社が世に商品を提供する上で、相応の努力や資金を投じてスタッフを教育し、社会に貢献する理念を持ち、葬送儀礼の文化の継承を正面から見据えての売上ではなく、「今月、何件あった? 売上は? もう少し売上いるんだよね〜。次の葬儀は頑張って取ってきてよ」なんて、葬儀社経営を歪んで意識しているところも多いと思っています。

商売ですから! 会社ですから!

それを言うなら、もう少し意識も高く持って、自分が理想とする葬儀の在り方を追求して、喪家の資金状態に合わせながらも、形式は保つ努力をしないといけないと思うのです。たくさんお金を出したから、コレ。費用が安いから、コレ。では、バカでもできる仕事です。スマートに仕事をしろよとも言いたいし、もっと、人を「観ろ」とも言いたい。

葬儀屋は、あくまでも第三者ですよ。葬儀の中心じゃない。もともと、人夫出しや葬具貸し出し業者ですよ。何を仕切っているんですか。何が企業ですか。何が改革ですか。恐れたことを言うんじゃないよと思います。故人を送るお手伝いですよ、あくまで。

よく、葬儀の司会者なんて言うけど、基本スタンスから言えば、あくまでも進行係。そんな立ち位置すら理解していない人間がマニュアルなんて売ってるんじゃないよ。恥ずかしい。葬儀屋の「屋」言葉で言うなら、その方の葬儀のお陰で家族を養い、生活をさせていただいているんでしょう。なら、感謝というか、報恩しかないんじゃないかな。

今や葬儀の主たる事業として成り立っているように言われるけど、現在、販売している商品自体、昔の貸し出し業の立場で言うと、それほど料金を取れるようなものでもないと感じる。自分たちが主の立場と考えるから、葬送儀礼をコントロールしようとする。もっと謙虚に、お声をかけていただいてと、お陰様での陰の部分でどのような感謝の仕事をするかだと思います。

それはビジネスではなく理想だよって言う方もいます。三日坊主さん、あなたもその「屋」でやってきたんでしょ。汚い事にも触れてきたんでしょ。お寺さんのバックも給料として頂戴してきたでしょ。同じ穴の狢じゃんって、これも事実。だから、いい子でいようとは思わないから、自戒も込めてぶっちゃけ話しているんです。こんな葬儀屋さん、現在でもいますよって。

では、口座引き出しサービスはどうする

さて、葬儀屋さんの実情をお話ししてきたところで、この銀行口座サービスをどうすればいいかって問題ですが、これ、サービス利用には年間5000円(税別)が必要なので、そこそこ口座資金がないと契約をしても意味がないと思います。また、制約もありますので、口座資金1000万円以上の顧客をターゲットにしていそうな雰囲気ですね。

同行に口座を持つ預金者と引受人(配偶者や20歳以上の子ども)、同行が生前に3者契約を締結。預金者が亡くなった際、相続人全員の同意などがなくても葬儀費用など必要な資金のみを引き出せるようにする。対象は葬儀費用のほか、入院費や特養施設の入所費など。

預金残高の2分の1以内で500万円が上限。同行に年金や給与振り込みの指定口座を持つ満60歳以上の預金者が対象となる。

で、よく聞かれる「お父さんの口座からお金下ろせないの?」との言葉ですが、突然のご不幸以外の場合、例えば、病院などで入院治療中などのケースでは、時間的な余裕もありますので、定期などの固定預金を事前に普通口座に移しておくとかの方法が考えられます。急に亡くなった場合でも可能な方法ですが、厳密に言うと相続人の了承が必要な問題でもあります。

どちらにしても、相続人が複数存在する場合、法的にはお勧めできない方法です。死亡後に引き出す場合、基本は、相続の権利を有する方全員の了承を得て、印鑑証明の提出も必要な行為なのです。けど、これしかないので、あとは喪家に任せるしかありません。とりあえず、葬儀に必要と思われる金額を普通口座にストックしておくしかないのです。

私は、事前に資金の分散をする事をお勧めします。ご夫婦、もしくは子供さんも含めて、葬儀に必要な資金口座を作ってストックしておくことです。子供さんの名義で口座を作り、その印鑑とキャッシュカードは資金元(親)が管理する方法がなどで、無用なトラブルも避けれますし、引き出しも簡単です。残った資産の相続は、葬儀が終わってから落ち着いてすればいい。

そんなん言うけど、お金がない場合はどうするんよ!

なかなか、葬儀の貯金をするのも難しいですね。保険の準備などありきたりの事を論じるよりも、まず、死を意識する事だと思います。誰しも、必ず死にます。その現実を感じないから、日々の生活にも追われ、親も、自分もいつまでも存在するようにも思ってしまう。老いて、現実を実感した時には、死への資金より、その治療や介護に費用がかかってしまう。

かくいう私も死を実感しない。死ぬことへは恐怖も感じます。葬儀の現場をいくら経験してきても、人は死ぬという現実を見続けても、強がりは言えない。でも、自分の後始末を考える年代は、一歩一歩近づいてくる。いや、突然やってもくる。葬儀に関わる方以外で、肝の据わった方でも、死への現実はできれば避けたい項目といえる。

朝、目覚める事だけでも奇跡といえる感覚を大切にするのが宗教観かもしれないのですが、それすら、当たり前のように思ってしまうのが現実。これまで、葬儀屋さんの体質、思考回路、実態など、ブラックな視点で書いてきましたが、皆さんの周りを見渡した時、葬儀の世界だけでなく、自分の生活空間の周りにもこのような方は存在すると思います。

逆に、私も、あなたもそんな人間かもしれない。なら、一度、「こうあるべき」とか、「こうでなければ」という固定観念は、一旦、隅に置いておいて、子供の頃のような気持ちで単純に死んだ場合の時を考えてみませんか。

自分の周りにいる人、大切にしている関係、この世界に存在する自分の立ち位置、そんな事を考える機会を持つことによって自分の存在価値を認識し、これから自分がしなければいけない事が「観えて」くるかもしれません。終わりの目標を持つ事。そうすれば、このようなサービスを利用しなくとも、家庭円満で自分の葬儀を行えるんではないでしょうか。

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