これからの日本では安心して死ねない、その仕組みと問題点

たくさん並ぶ、白いお墓の写真
たくさん並ぶ、白いお墓の写真

現在、日本には市民が安価で安心して葬儀を行えるようにと、市営葬儀や市規格葬儀などがあります。この存在や内容をご存じない方が結構多いし、そもそも機能していないところに問題があるのです。

規格(市営)葬儀について改めて考えた
安価で安心をモットーに、行政と葬儀社が協力しあって生まれたこの規格葬儀。ガイドラインに沿って、設定した金額でその内容を遵守して施行を行っ...

だいたい、販売する気持ちがないですもん

そりゃそうですよ、この規格施行を担当するのは葬儀屋さんが主で、(市営葬儀の場合は、市の職員が行うケースもあります)その葬儀屋さんが販売する別のプランの方が料金は高い。じゃ、どちらを勧める?となると、自社プランが優先です。

一応、市町村も規格葬儀運用に関してガイドラインを定めていて、年間での取り扱い件数が少ない場合、その資格を取り消す事も定めているところもあります。なので、一部の業者はこれを危惧し、最初は規格葬儀で受注して様々なものを追加でとか、初めから規格葬儀と同等のプランを設定しておいて、通常の葬儀を規格葬儀として報告します。

こうする事によって年間取扱件数は維持できますし、規格葬儀といっても供花などは別料金ですから、その隙をついてそんな事をするんです。消費者は、元は規格葬儀なので安く済むと思っている。

しかも、行政の方からのチェック機能も無い訳ですから、業者のやりたい放題。規格葬儀が施行誘致の窓口になってしまい、それを取り扱っている事が信用・信頼になってしまってます。

(指定の取消し)
第8条 局長は、指定店が次の各号の1に該当するときは、委員会の審査を経て、その指定を取り消すことができる。
(1)規格葬儀の取扱いについて、種別及び価格に違反し又は葬家に対して不当に金品等を要求したとき
(2)規格葬儀の取扱実績が著しく不良で、葬儀取扱件数の1割に満たないとき
(3)年間葬儀取扱件数が、3年連続して30件に満たないとき
(4)本市施設の利用にあたり、本市からの指示、命令に違反し、本市の業務運営に支障を与えたとき
(5)第3条第2項の規定に該当したとき
(6)第11条の規定に違反したとき

この規格葬儀は、業者も積極的に販売する姿勢でもないし、行政の立場で言えば、安価に良い葬儀を提供しようという趣旨であっても、市役所でそんな告知を見かけることもない。なので、ほぼ機能していないのが実情です。

売る気のない、告知する気のない商品ってなんなのかな。利用者がそれを知っても、システムが正常に機能していないのも問題。しかも、内容表記は文字だけでわかりにくいし、古臭い設定で現在にそぐわない部分もあります。しかも、各市町村によって内容や金額はバラバラなので、これも問題です。

この国のおかしなところ

日本は平和ですが、世の中には紛争地域もあります。戦争をやってます。そんな国で災害や紛争に巻き込まれた方が帰国した際に、政府関係者が空港で花束を捧げたりする報道映像を皆さんも見た事があると思います。

海外で事件に巻き込まれた時、世界各地でテロリストにより誘拐された時、我が国は平民であっても国民を守ろうと、一応の努力はします。自国民を守るのが国の役目です。でも、国内で普通に死亡する事には無関心です。今、葬儀がどのように行われているか、なんて興味はありません。

生きている間、せっせとこの国のために(そう思ってなくても、納税があります)働いてきて、この国のGDPを支えています。国民が増える事は喜ばれ、出産育児一時金としてそれなりのお金も出ます。でも、うまくできていて、それだけで出産するのは結構厳しい。医療機関が大きな口を開けて待ってますから。

で、死亡したら葬祭費・埋葬費として5万円ほどが支給されるだけ。これでは葬儀も埋葬もできない。保育所はせっせと建設・設置しようと努力はしてくれるし、国会でも議題には上がる。しかし、国民がみすぼらしく葬儀を行っている現状を取り上げる議員は誰もいません。

戦後の闇市時代と変わらないこの国の現状

公営の火葬・葬祭場はあっても、国営の火葬・葬祭場なんてありません。まして、東京なんて民営の火葬場任せ。自治体は口出しも、環境整備もできないし、使用料金もコントロールできない。闇市の遺体処理場と同じですよ。また、民営斎場が遺体を火葬する行為を認めるのは、個人が処理して逮捕される遺体遺棄と何が違うのかな。

現に故人を取り違えて火葬してしまった。なんて事件(事件にはなっていないけど)が、大阪(公営火葬場)ではありましたが、その遺体が本人だとする唯一の証明は、行政が発行する火葬埋葬許可書しかないのですよ。これ、偽造されたらどうするんだろう。

そして、荼毘に付され、遺族の目の前に出てきた遺骨は本当にその人のものなのですか。それを正しいと言っているのは、あくまでも民間業者の一個人の意見ですよ。その人がわけわからない人だったら… こんなの裁判では証拠にもならないレベルですよ。なんて、思っちゃいます。

この国のセーフティネット

生活に困窮し、福祉手当を受給していた方が亡くなった場合、葬祭扶助が支給されます。これで最低限の葬儀はできます。でも、その形式は葬儀とは言えない。焼くだけ。表現が悪くてごめんなさい。でも、そんな低俗な言葉が当てはまるほどの内容です。

しかし、本来はそうじゃないと思うのです。処理費用として使用するものではないし、国民の生きる権利のために使うお金です。名も知れなくとも、この国のために生きてきた方です。その最後を看取る方がいないからって、葬儀屋任せでいいのかな。

国営の火葬場を設けて、その運営管理に専門の省庁を創設してなんてぐらい、一人の国民が亡くなる事に重きを置くべきじゃないのかな。身寄りがなければ、その職員が国を代表して葬儀を行えばとも思います。福祉葬として誰もいない暗い霊安室に安置され、葬儀屋の担当者と火葬場の職員とで荼毘に付される。なんて寂しい事はなくなるのです。

そして、誰もその人が亡くなった事は知らない。でも、この世に生まれたのは親がいたから。ひょっとすると子供もいるかも知れない。誰が、いつ亡くなったという、国民のデータベースでも作ってくれたら、行方不明になった方を探している家族の手助けにもなるのですけどね。この国にあるのは死亡統計の数字だけで、人格が数字になって終わり。

もっと真剣に国民が死ぬって事を、政治家が、首相が、政府が考えないといけないんじゃないですかね。靖国神社へは足繁く通うけど、その御霊と国民の御霊はどう違うのかな。選挙前にはやたら参列にくるけど、それは目的が違うしね。

こんな事を真剣に考えてます

健康保険制度・年金制度の充実によって、もっと具体的な金額の葬祭費・埋葬費が支給できるようにするべきですよ。

毎月、徴収される金額が500円増えても、介護保険料(税!)に比べたら安いもんでしょう。(というか、運用制度自体の方が大きな問題はありますが、今日はそれを置いておいて)1年間で6000円。50年で30万円。年金の方でも500円徴収し、これも50年で30万円。これは、生きるための年金ではなく、弔慰金。

で、30万円でできる”きちんとした葬儀”と、30万円でできる”直会(供養)”ができれば、あとは香典でお寺様(宗教者)をお願いできます。政教分離の原則にも触れない。宗教者に依頼するかどうかは遺族の自由で、自費でお願いすればいい事ですから。

仮にその費用から支出したところで、日本人は神道でしなさいとか、仏教ならこのお寺さんに依頼しなさいなんて言わなければ問題なんてないでしょう。何も国が、Amazonみんれびみたいな事をする必要もないし。まして、国民の葬儀として行うならば、宗教者へのお礼やお布施も定額コミコミで10万円でもいいんじゃないかな。ご奉仕ですし。

そして、国営の火葬場なら利益を追求する必要もないし、ここだけ共産国みたいに、国の定価でいいんじゃないかなとも思います。民間のようにビール1本で600円も700円も取る必要がない。精進料理も国がすればいい。給食みたいにね。

葬儀の内容も専門家によって「我が国の葬送儀礼はどうあるべきか」を真剣に考えて具体化し、ガイドラインに沿って厳しく運用するべきです。ルールを破る業者には認定を停止し、数年間は再登録できないようにして、そのチェックを市町村の自治体職員がすればいいと思う。

積極的に取り組む業者には、法人税・事業税免除項目を検討すれば、売り上げは減っても利益は増えますから、業者も安心です。そして、自治体を通じて葬儀を申し込み、自治体にお金を支払えばいいんですよ。そうすれば、ずるい葬儀屋は悪い事をできない。

規格葬儀以上の事をしたい方は、足らない分を自分のお金で出して、やりたい事をやりたいだけすればいいんですよ。葬儀屋さんはここで儲ければいい。

国民のための葬儀… 国民葬と呼べるような仕組み。そんな事を、せめて考えようって国にならないでしょうかね。子供達の未来のために。

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