公益社、遺体取り違え問題について再考してみた

エラーを指摘するイラスト
エラーを指摘するイラスト

よくある話と、死にまつわる業界では聞くが

今回の公益社が遺体っを取り違えた問題だが、ニュース報道があってから以降、あまり声を聞かない。これは、身元不明者や身寄りのない方で起きた事件だからなのかと勘ぐってしまう。

警察庁生活安全局生活安全企画課が2015年6月に公開した、「平成26年中における行方不明者の状況」によると、平成26年中に行方不明者として届けを受理した総数では、81,193人。前年比-2,755人 (-3.3%)とある。

疾病関係での失踪者は16,498人(20.3%) で、そのうち認知症による失踪者は10,783人(13.3%)にあたる。

で、これら届出者のうち最終的に所在確認が取れた者は、

となり、1,924人しか行方不明のままなのか? 以外と少ないように見えます。しかし、所在確認が取れた方の結末をみると、

所在の確認が取れた中で、死亡確認が取れた人数4,115人と、1,924人の行方不明を合計した6,039人が死亡、または所在がわからない人となります。ただ、この全てが死亡後、身内などが身元引き取りに来ているかどうかは不明です。

届けを出されていない方もあります。また、地方より都心部へ、逆に都心部から地方へと人が流動し、結果的に出身地以外でひっそりと亡くなってしまった方の実数は見えない現状があります。

2010年にNHKで放送された「無縁社会 ~”無縁死” 3万2千人の衝撃~」でも、誰にも引き取られない死亡者が想像以上に増えており、現社会の問題点を探り出している様子を見ても、この実数が掴みきれていないのが推測されます。

時代背景が産み出した事件なのか

今回、公益社で起きた遺体取り違え事件は、こういった背景を持つ現代社会の問題が生み出した事件であるとも言えるが、しかし、取り違えの実態は実際どうだったんだろう。

このような身元不明者や、身寄りのない方が死亡するケースは、死亡前に体調を崩し、その時点で何らかの形で行政関係にキャッチされれば、医療福祉を受けて病院で治療、そして病院で死亡するケース。

この場合は、病院が役所と協力して親族関係をあたり、存在して連絡が取れる場合だと引き取りを要請するが、これも断られるケースが多いという。

引き取り手がない場合、施設長などが届出者となり、その地域の市町村が行旅死亡人として火葬を行う事になり、最終的に永代供養を行ってくれる寺院などへ遺骨を納める事になる。

もう一つは、死亡後に発見されるケースで、その場所は自宅、自宅以外にも分かれる。そして病死なのか自死なのか、もしくは事件性があるのかという事で、警察が介入し、その後、必要な検視案件として監察医の所見を元にそのまま警察に戻ってくるか、解剖に回されるかになる。

今回、公益社が引き取った遺体は、この警察からのケースで、当然、身寄りがない、またあったとしても引き取りに来ないケースで、火葬はひっそりと行われる。

では、なぜ間違えたのか?

警察の遺体安置所のほとんどは、それほど大きな施設を持たない。大抵、一体もしくは、よくても二体までが限界の所が多い。そのため、警察は葬儀社へ早く引き取りを要請する。次に戻ってくるであろう遺体を安置する場所がないのです。

警察から引き取った葬儀社は、霊安室、もしくは冷蔵施設などを持つ安置場所へと収納する。(今回の公益社の施設では、50人から60人ほどを預かっていたと報道されていた)
この際、納棺してから納めるケースがほとんどである。なぜか? 棺の分スペースを取るが、収納しやすいのです。

過去の話ですが、生花用の冷蔵庫に棺を積み上げ、片側に五体、もう片側に五体と保存していた葬儀社もいましたから、棺の方が”積み重ねやすい”のです。誰も見ていない、誰も身内がいないからって、こんな扱い方はどうかとも思うのですが… (補足で申し上げますが、公益社がこのような扱いをしているとの話ではありませんので、念のため)

病院でも患者の取り違え問題が起きて、その改善策として手首や足首にバンドをつける。診察前、精算・処方箋を受け取る前に、氏名をフルネールで確認し本人確認を行うなど、徹底するようになりました。

間違いを防ぐ、葬儀社の対応方法とは

では、葬儀社はどのようにして”取り違えないよう気をつけているのか”を考えてみると、遺体が、一体、一体と順番に搬送されてきて、その都度、納棺するまではセーフだと思うのです。
問題は、その納棺してからだと思うのです。棺に故人の氏名を記入する場所は無いので、何かを使って”この方は誰々さんですよ”とするはずなのです。

この手法が紙などの名札なのか、棺に直接、氏名を記入するのか… おそらく、何らかの名札でしょうね。❶何らかの事情でそれが入れ替わった。❷後から貼ろうと思って勘違いして間違えた。❸二つ以上の名札が剥がれてしまい、「え〜っと、こっちやったっけ?」と貼ってしまった。普通は、これぐらいしか原因は考えられないと思うのです。

身元不明者や身寄りのない方の葬儀では、納棺してしまえば身内が現れない限り、二度と蓋を開けることはありませんが、納棺した人間なら、故人とは面識はないけど、その特徴(身長、体型、顔色、顔つき、性別など)を、うっすらとでも記憶していると思うのです。

いざ、出棺するとなった時に、せめて棺の蓋についている顔窓を開けて確認しなかったのでしょうね。納棺した者と出棺を担当する者が一緒の場合、これで間違いを防げる可能性も高くはなります。

で、これをスルーしたとなると、納棺担当者、出棺担当者が違う可能性が高い。出棺担当者は、棺に貼られた名札を”素直に信用して”そのまま、顔も見ず(見ても確認は取れないが、男女の間違いは防げる)出棺して収骨したんでしょうね。

もう一つ疑問は、なぜ、間違った事に気付いたのか

どこを、どうすれば、後から間違った事に気づくのかがよくわからない。
そんな大事な事を後から気付くくらいなら、納棺して安置する、その後、出棺という流れの中で、もっと神経を使って、”ピリピリ”しながら葬儀を担当すると思うのです。

葬儀屋さんに勤めたことがある方なら判ると思うのですが、”間違えたら、アカン!”なんて、普通に感じていることだと思うのです。だから、慎重になる。自分を自分として弔ってもらえない事は最悪じゃないですか。いくら身寄りがなくても。

遺体の間違い事件でしたが、葬儀屋さんでよくある間違いが、故人の名前、喪主の名前を入れた挨拶礼状の間違い。式場入口に飾る名木などの芳名板。焼香順位などでの記載間違い、読み間違い。などなど、何十年もやっていて未だに無くならない間違いがあります。

うっかり、つい、あっ、なんて事を解消するためにマニュアルを制定し、その確認事項を遂行する、厳守する。なんてヒューマンエラーが発生するたびに”今後は十分に注意をします”なんて処理ではダメですよね。逆転の発想というか、問題を追及するのも一つの方法ですが、そのために、葬儀社は自分たちの視点から外れて考えることができない事が多いのです。

逆に考えて、やってみたらいいのに

初めて担当することになった葬儀会館で、ある時、控え室の貴重品を入れておく貸金庫の鍵を喪家さんが持って帰ってしまった。施錠された状態なので、次の方が使えない。その日は、次の通夜があり、スタッフが電話をして、担当者が喪家に確認してとバタバタしている。

聞くと、こういう事態が、あっち、こっちの会館で起きているとの事。通常の流れは、喪家が控え室を利用する→金庫の鍵を渡す→確認書に1回目の署名をもらう→葬儀終了後、鍵の返却を促す、確認する→確認書に2回目の署名→確認書を保管。と、こうなっているのです。

どうしても、鍵を貸す、返してもらうという発想しかない。各会館の責任者誰もがそれが会社のやり方と疑いなく、改善もしない。で、鍵の返却を求める時は、喪家も自宅へ戻るときであり、親族も喪家宅には寄らず、会館から直接電車に乗る方もいる。バタバタしている中で、そんな小さな約束事なんて忘れてしまいますよ。で、次に使えない。これの繰り返し。

大阪弁でいうと”アホちゃうかぁ、おんなじことばっかりしてぇ”と思い、鍵を貸すのではなく、初めから鍵は金庫に挿しておいて、帰る際には、また鍵を挿して帰ってくださいとすればと提案し、金庫には「お帰りの際には、鍵を挿したままでお帰りください」と案内を貼りました。

金庫を利用する方は、貴重品などを入れて鍵を閉めます。当然、無くすと開けれないので、その方は鍵の所在に気を使います。用事があれば、鍵を挿して財布を出す。また、施錠する。最終的に会館を後にする場合、当然、貴重品を出すために鍵で開けます。で、そのままにしていただければ、いちいち確認書など貰わなくても済むし、鍵を持ち帰るケースはいたずら以外には無くなるはずです。

こんな事を5年間やっていたのです。この会館は。大した提案ではないですが、逆転の発想というか、お客様目線で物事を見ない葬儀屋さんが多いので、こんな”しょ〜むない”事ですら改善されないのですよ。

野球選手の賭博事件みたいに、後からまた出てきたは無しですよ

ヒューマンエラーを解消する術をご存知の方がいて、いくら改善に励もうが、末端の社員までに意思伝達ができなければ、その連絡、命令系統から見直さないといけないのではと思います。

”挨拶礼状のミスを今後はなくそう!”なんて、小さな部署での情報共有ならできるのですが、会社全体となるとできない。これこそ、会社としてのヒューマンエラーですよね。

おおよそ、葬儀社で起きそうなミス事案は、多くの葬儀社の方がご存知だと思うのです。
そのための改善方法を模索し、新たな手法で取り組む。何て事も、随分長くやっているはずなんです。それでも起きるんですね、ミスは。

今回のミスは葬儀業界でいつ起きてもおかしくない事案です。ただ、その処理として、その後の帳尻合わせに”もう一丁いっとこか!”ってところが最悪でした。

少なからず、上場企業の社員として、しかも業界で歴史ある公益社さんの社員(責任者)が、身寄りはなくとも、”弔う事の大切さ”を、ついうっかり忘れての後始末だったのでしょうか。

公益社さんて、昔は憧れだったんですよ。老舗で、社葬ばっかりやって、大阪の有名寺院での葬儀は全て阿波弥さんか、公益社さんでしたし。

前にも言いましたが、この当時、奠湯奠茶(てんとうてんちゃ)なんて儀式を知っている、いつもやっているなんて業者はいませんでしたから。そんな葬儀を担当したこともない三日坊主としては羨望の眼差しで見ていたんですが…

と、ここまで書いていてふっと思いました。

ま、ま、まさか、警察が取り違えていて、それをそのまま火葬したとかっていう都市伝説みたいな話ではないですよね… 

今後のお付き合いを考えて、そこら辺の事情を丸呑みしたみたいな…

いや、いや、いや、私の経験上でも、警察の方は「間違わんといてよ!」と、結構、厳しく言われますし、公務員である自分たちの責任をよく理解されているので、絶対に無いでしょう。

で、「間違いを防ぐ、葬儀社の対応方法とは」で書いた、❶何らかの事情でそれが入れ替わったという、勝手な推測ですが、この何らかは、意図的に行われたのではないでしょうね。
責任者の方が狙われたとか… 

間違えた事を、後から気づいたという理由がわからないので怖い… 

あ〜、船越さんに聞いてみないと… サスペンス劇場みたいな事ってないですよね。

大阪の公益社で遺体の取り違えが発生とな?!
公益社さんどうしたんですか? 燦ホールディングスの葬儀部門、公益社で遺体の取り違えが発生し、そのまま火葬された事件が起きた。朝日新聞デ...

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