規格(市営)葬儀について改めて考えた

安価で安心をモットーに、行政と葬儀社が協力しあって生まれたこの規格葬儀。ガイドラインに沿って、設定した金額でその内容を遵守して施行を行ってくださいね、葬儀屋さん。って感じの物なのですが、ちょっと厄介な状況なので再度、記事にしました。

全国的には数少ない規格葬儀

大阪府及び隣接の地域では、大阪市豊中市堺市泉南市箕面市摂津市吹田市茨木市尼崎市神戸市枚方市伊丹市富田林市狭山市などに規格(市営)葬儀があるのですが、内容についてこれがわかりにくい。他にもありますがネット上で検索にかかるところをランダムに選出しました。ま、どこを選んでもそんなに大した事はないので気にしないでください。

いつの時代作ですか

で、内容がバラバラ。設定もバラバラ。金額もバラバラ。説明がわかりやすいところもあれば、規格葬儀の金額とコースを併記して内容は一切なし、で葬儀社に申し込んでくださいとある。

こんな状況で葬儀社に申し込んだら、してもらったサービス内容が規格通りなのかすらもわからない。業者の都合によっては、提供される商品やサービス内容に差が出る可能性もあります。しかも、行政側の施行チェック機能も全くない。

確かに各市町村によって行政のサービスにも差があるでしょうから致し方ないのかもしれませんが、これでは何のためにやっているのか意味がわからん。やっつけ仕事になってますよ〜。

堺市に至ってはこのネット時代にですね “パンフレットを市役所(本庁)・各区役所等に用意していますので、ご利用ください。” とありまして、確かにご高齢の方や、パソコン、携帯などで見れない方には親切だと思うのですが、ネット上の堺市のホームページですよ!

パソコンなりスマホなりを操作できるからホームページに辿り着いているのですから当然、そこにも資料を用意するべきだと思います。ご高齢の方やご事情がある方を配慮したのなら、配慮の意味を間違ってませんか?

一例として内容を見ていただきたいのですが、以下は大阪府泉南市の規格葬儀の内容についてです。

規格葬儀(仏式)の内容

門前飾り (1) 式場立札
(2) 黒水引幕(房付)1枚
(3) 鯨幕2枚
(4) 門前白張提灯
祭壇室飾り (1) 祭壇横・後幕3枚以内
(2) 白水引幕
(3) 布敷
(4) 鯨幕2枚
祭壇飾り等 (1) 祭壇3段6尺式
(2) 掛軸
(3) 白木連電写真台1台
(4) 白木2段火袋盛物台1対
(5) 白木立華立1対
(6) 白木蝋燭立1対
(7) 香炉(抹香入付)1組
(8) 白木龍燈籠・雪洞1対
(9) 寝棺台1対
(10) 棺巻1組
(11) 白木焼香具、焼香机
(12) 造花立華1対
(13) 白木位牌台
(14) 一般焼香具
受付・式進行設備 (1) 放送設備一式
(2) 受付テント1張
(3) 受付用机1卓・椅子4脚
(4) 貴名盆
(5) 式場案内立看板2枚
葬祭奉仕員 (1) 式場・受付設営・撤去
(2) 納棺・式打ち合わせ
(3) 司会進行(告別式のみ)
葬祭用品 (1) 経机上1卓
(2) 具足(3・5)
(3) ローソク1箱
(4) 遺影写真(額縁共)黒白
(5) 位牌
(6) 骨袋
(7) 寝棺(カバー付)
(8) 仏衣一揃
(9) 納棺用脱脂綿
(10) ドライアイス1回分
(11) 記録帳1セット
(12) 諸用紙
(13) 抹香(祭壇用)2個
(14) ローソク2本
(15) 線香1組
(16) 香炉火
(17) 筆記用具セット1セット
(18) 喪主、委員長リボン
(19) 写真立

これ、わかります? 文字の羅列がまず読む気を起こさせない。書いてある内容が品名からしてわからない。これを作ったのはおそらく葬儀屋さんだと思います。

商品名とか役務にしても業者しかわからない表記ですし、規格葬儀を始めた頃に提出してもらった施行内容明細を市もそのまま使い続けているのでしょうね。

これを作った方って昭和の初期かって思うのですが、そろそろ時代も変わってきているんですから作り直した方がいいんではないでしょうか。同様に文字だけですが、箕面市規格葬儀容の方がわかりやすいです。

正式な運用は出来てませんよ

これら規格葬儀に言えることは、始めた頃は所得が低い方でもそこそこ内容の整った、いわゆる「葬儀」という物を出すことができる環境が必要と考えたからでしょう。

地域の住民同士のつながりもある時代ですから、あまり無下なことはできない。文化住宅という言葉が流行した時代のように、人として最低限のことはできる環境作りが必要とされていた思いがあったからではないでしょうか。

ところがですね、業者としてはその時代イケイケですから、出来ればもっと高額な葬儀にしたい思惑が根底にあります。規格葬儀に追加料金を貰ってどんどん総額を上げていく。すると、一般に申し込んだ金額と何ら変わらないことになっていくのです。

ですが、現在、全国的にも葬儀の簡素化が進み、葬送儀礼を大切にできない状況になってきています。これが何を生むのか。

費用をかけない ≒ 業者としてはできる内容に限界がある ≒ 葬儀そのものを割り切る ≒ 直葬、いわゆる火葬のみを行うことを当たり前にして、それを葬儀と呼ぶようになってしまったのです。

骨肉の争い Part1

この背景には、会館を建設できない資本のない老舗業者などが、人の褌で相撲を取るような発想でホテル葬なるもの打ち出したり、大手のネットーワークに対抗するため小さな業者が寄り集まり、理想とする葬儀形態(独自の演出・音楽を提供販売など)を提唱したりして、高額な葬儀を維持しようと、それを誘導するワードを発信していました。

そういった思惑とはかけ離れていき、悲しいかな消費者は、一部の個人業者が互助会や大手業者に対抗するために打ち出してきた密葬や家族葬など、費用をかけない方向へのワードを受け入れ、少子高齢化と個の尊重という風潮とも合致し、いつしか業界全体がそれらを前面に取り扱わないと、受注もままならない状況に追い込まれていきます。

葬儀価格の低下に拍車がかかりと言われていた時代、意外と大手は前年対比を割り込むことはなく、その影響は一部の安売り業者に比べて数年のタイムラグがありました。確かに一件あたりの単価は減少傾向にありましたが、新たな葬具品目の開発、販売や商品構成を見直し、それまで見向きもしなかった施行にも触手を伸ばすことで、相対的な売上は減少どころか逆に伸ばしていました。施行件数が増加したのです。

骨肉の争い Part2

それに業を煮やしたのか、今度はNPO法人・一般社団法人など、何やら公共性を匂わせる、”非営利活動”なるワードで健全な業務を行っているかのような錯覚商法が流行り、終活という言葉を私が創作しました(言ったもん勝ちかい!)と、意味不明な発言を行う常識のない女史が、マスメディアを通じて葬儀についてのマナーを教える団体が出てきたりと、葬儀業界は乱世の時代に突入しています。

このように圧倒的な資金力を持つ互助会と、大手業者がシェア争いを戦っている足元で、小賢しい業者、それも大半がそれら互助会や大手業者を退職し、独立したような者が営んでいる葬儀屋がなりふり構わず足を引っ張っているような状況です。

これらの小さな業者同士がNPO法人を傘にして集ったり、その小さな業者を狙って真っ先にNPO法人をつくり、消費者からの施行を受注し、小業者に安く仕事を振り、中抜きで稼ぐ。

そんな状況を、IT産業に疎い葬儀屋がチマチマやっているのを見て「これ、いける! 儲かる!」と思った、頭のいい奴が始めた小さなお葬式はこの極みでしょう。

葬儀を否定する連中も、自分の事が最優先ですからこの国は

私には、現在までの葬儀業界の流れはこのようにしか見えません。そんな業者が設定する規格葬儀なんてろくなものはできない。行政が本腰をあげて取り組まない限り、この国の葬儀文化は衰退します。

死を尊厳を持って見ないという事は、生きることを大切にしないのと同じです。敬いや尊厳、他を尊重するなんてなく、自己中心な子供達が育っていく環境です。

消費者の味方を自負している終活講師の先生方や、既存の葬儀社に不満があり、「葬儀は不要だ」なんて息巻く著名な先生方も、自分の収入を得るためにマスコミで意味不明な事ばかり発言しないで欲しい。

そして行政も、今ある葬儀屋さんの思惑でいっぱいな規格葬儀は、一旦、廃棄してもっと住民のためになるようなアイデアを出して欲しい。

国も、各市町村に任せっきりにしないで、子供達の将来を懸念し、葬送文化を大切にする事の重要さを認識しないと、いつまでも市規格葬儀が積極的に販売する規格ではなく、葬儀屋の「信用・お墨付き」に利用されているだけです。そんな本末転倒な事態をいつまでほっておくんでしょうかねぇ。

それとも、諸先生方の飯の種として、今の業界をそのままにしとかないと何か具合でも悪いのかなぁ。 

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