2015年に経産省が要望した「互助会加入者保護機構」と「冠婚葬祭総合研究所」の関係を考える

ほんまに互助会の関係機構は漢字の画数が多いねぇ。タイトルに名称を並べるとゴチャゴチャしてます。すんません。でも、伝えたい事があるのでお許しください。あと、お役所用語も多いので難しい言葉ばかりで申し訳ありません。

この年は、互助会さんにとって重要な1年だったのかな?

この(株)冠婚葬祭研究所(以下、研究所)が2015年(平成27年)の6月に設立され、著名な客員研究員の諸先生方が研究活動をされているニュースは知っていましたが、三日坊主が葬送儀礼の文化継承に必要と考える組織形態とは少し違う、互助会中心の営業的な匂いを感じていたのでこれまで触れてこなかったのです。

そんな団体が、設立から2年が過ぎた今年の1月に、互助会保証(株)(以下、互助保)が建築した東京都港区西新橋にあるCOMS虎ノ門ビルに移って業務を行なっているニュースがあり、今回お引っ越し記念として一稿掘り込んでみようかと書いております。

ちなみに全国の冠婚葬祭互助会のほぼ8割が加盟する団体である、一般社団法人全日本冠婚葬祭互助協会 (以下、全互協)もこのビルの5階・6階に入ってます。

どんな風にまけてほしいのどすえ

この研究所設立の前年に、平成27年度予算案に向けてとある税制優遇処置の要望が経産省から提出されていました。

租税特別措置等に係る政策の事前評価書 – 経済産業省

制度名は「互助会加入者の権利保護の強化に係る所要の税制措置」で、平成27年度税制改正(租税特別措置)要望事項として、互助会さん と仲良しの を監督する省庁の経済産業省商務流通保安グループ商取引監督課より出されたものです。

趣旨は、破綻した互助会の会員を保護するために、新たに「互助会加入者保護機構(仮称)」を設立する上で、法人税・所得税・登録免許税・消費税・法人住民税・法人事業税・不動産取得税・住民税・地方消費税などを「まけておくれやす」という議案。

そして、その基金を拡充するために、互助会事業者が負担する負担金の損金算入を認める措置を講じてほしいとか、互助会が有する不動産(いわゆる葬儀会館等)や互助会が割販法上保全義務を課されている供託金を取得することが想定されるところ、これらの取得にかかる登録免許税の非課税措置をお願いしますって事なんですって。

その優遇される税額は約22億円。経産省は政策目的として次のよう定めています。

互助会とは、割販法に定める前払式特定取引に該当する、冠婚葬祭に係る役務等を提供する事業者であり、法に基づく許可事業者。加入者から60~120回程度に分けて、毎月3000円~5000円程度の前受金の支払いを受け、冠婚葬祭が必要になった際に、儀式に必要な役務物品の一部を提供(いわゆる「施行」)する。

はいこれ、経営に必要なお金を無利子で集める事業ケースです。解約時には会員募集経費として15~20%ほどの手数料も取ってきましたし、通常の資金調達のように利息を支払ったり、配当なんて事をする必要が全くない、安心・安全なお金の集め方なんです。

前述のとおり、役務の提供を受ける前に加入者から金銭の支払いを受けるため、割賦販売法において、支払いを受けた金銭の50%を保全する義務(法務局への現金等の供託又は指定受託機関(互助会保証株式会社及び銀行等)による供託委託契約による)が課されている。

互助会が破綻した場合、この保全された50%だけが返ってきます。いいですか、30万円の会員コースを割賦販売で購入した権利のうち、半分の15万円は返してくれるのです。よかった〜 でも、役所が指導するなら、これを100%保全しないさいって方が普通なような気がするのは私だけかな。

しかし、保全が50%にとどまることや保険や預金と異なり金銭を返還するより冠婚葬祭の施行を提供する方が加入者の意向に沿う場合もあることから、互助会からの負担金により基金を造成し、互助会の経営悪化時に加入者の権利保護を行う。

いやいや、自主的に加入(購入)した人もいるけど、そうじゃない人、いわゆる多重加入者(一人で複数の会員コースに加入している事)なんて、その使い道をよく理解していない人も多い。

それに掛け(支払い)途中で放置している幽霊会員(保留会員)なんて、自分が互助会に加入している事もわかっていない人もいます。そのような方の「意向」は考えていらっしゃるんでしょうか、経産省さん。

本当に会員保護のため? 経産省さん

そもそもお役所さんからすれば、単なる頼母子講程度と見くびっていた互助会がドンドンと会員を増やしてくるし、無許可のままに膨大なお金を集めだした。約束を守らない奴もいるし、このまま大きな破綻なんて事をやらかしちゃうと社会問題になってしまうじゃん。それらを危惧し、昭和47年の割賦販売法改正に伴って規制対象としたのでしょ。

それと、割賦販売法の下、社会的信用性を高める為に国の監督を受ける事で、逆に国に認められた冠婚葬祭の会社ってところを狙った、先代の互助会経営者の先見性が見事にハマった結果でしょう。

今回の優遇処置は会員保護のためって事でやってますが、基本的には肥大化した一族・同族会社の放漫経営を是正せずにやりたい放題やってきたツケを処理するため、監督庁である経産省が甘やかしているようにしか私には思えません。

要は、経営努力の問題であって、それが叶わないなら破綻するしかないのが自由経済社会のルールじゃないのかな。

個人的に信用金庫を超える個人資産を持っていると自負する経営者の方もいらっしゃるんですから、おおよそ儲かっていないとする互助会の経営者でも、お家もでかいし、ご子息はええ車も乗ってはるし、貧しい暮らしをしているって聞いた事もないしね。(出張の飯も奢ってくれない、超ケチな二代目役員はいたけどネ…)

この要望書は、「よっしゃよっしゃ、なんとかしたるから潰すなよ。破綻するなよ。破綻したところが出たら嫌でも引き受けて、危ない状態を露呈しないよう努力せいよ」として優遇しているようにしか思えません。なにせ認可事業となってから、経産省OBが関係団体・会社の代表者に就任するなどの関係性が構築されてきた歴史がありますもんね。

葬儀研究所を設立

で、この税制優遇処置の要望の翌年、予算案が可決していれば適応するであろう年度の2015年(平成27年)に、葬儀を取り巻く厳しい環境変化に対応するため互助保が100%出資する形で研究所が設立されたのです。

流れ的に言うと、税制上の優遇処置を受けれるかもしれない。なので、私たち業界としてはお上に甘えていてはいかんのですよ。だから自分たちで今できる事。これからしないといけない事を模索しようじゃないか!

そこで、少子高齢化や核家族化など社会環境の変化により厳しい環境にある互助会経営を支援するためこの研究所を設立し、経営の健全化に勤め、破綻を防ぎ、加入会員への安心の提供と質の良い冠婚葬祭サービスの提供を目指すってところでしょうか。

互助保のアナウンスでは次のように説明しています。

  1. 消費者のニーズをとらえた新たなサービスを創出していく
  2. 互助会ビジネスモデルが今後も支持されていくための方策を検討する
  3. 冠婚葬祭事業の収益性が低下することが予測されるため、より高度で実効性のある経営支援の方策を練る必要がある

このような問題を解決するため、従来、互助会保証株式会社が行ってきた調査、研究、経営支援をより充実させ、冠婚葬祭を文化・法律・行政・経済など多くの観点から研究し、冠婚葬祭産業の発展に資するという目的の下に、平成27年6月に互助会保証株式会社の100%出資を受けて設立されました。

要は、経産省からの天下り社長の経営する保証会社では手に負えないから、新たに設立した法人で細かな分析と指導をやっていこうという感じでしょうか。

でも、その役割は現在やっている事と重複していない? ホームページ上でもそのような事を書いているし、アナウンスでも「従来、互助会保証株式会社が行ってきた調査、研究、経営支援をより充実させ」って自ら言ってますよね。

そうなると、これまで互助保って何の仕事をしてきたんだろう。COMS虎ノ門ビルなんてのを建築できるほどの財力もあるからって、わざわざ別法人を作らなくても「いち部署」として研究所を立ち上げれば済むような気がするんですけどね。

しかも、この新法人の代表取締役社長である寺坂 信昭氏も、資源エネルギー庁電力・ガス事業部部長、経済産業省大臣官房審議官(経済産業政策局担当)、原子力安全・保安院次長、経済産業省商務流通審議官、原子力安全・保安院院長(第5代)などを歴任した経産省の元官僚なんですよね。う〜〜ん、大人の世界って難しい。

どこを向いて仕事をしているのかな?

これまで破綻する互助会が出るたびに、近隣の互助会がそれを引き受けてきた。しかし、大手といえど、財務状況が悪い破綻互助会の引き受けを避けたい気持ちはあるのです。たとえ体力があったとしても、あえてババを引きたくないからです。引き受けると私も倒産しますよって言われてビビったのが経産省さんかな。

それが「互助会加入者保護機構(仮称)」を設立しようって目論見だったんでしょうが、機構設立の裏側には、ババ抜きのババを引いても負けないようなルール作りに躍起になる官民一体の政策のように感じます。それを消費者保護の観点といえば聞こえはいいけど、仲間内で勝手なルール作りをやっている場合じゃないですよ。

経産省さん。本当の意味で消費者を守るなら、破綻した互助会に対して公な場で互助会会社だけでなく、他の葬儀社も新規事業参入者も含めて、買い取る意思があるなら誰でも参加して競売で入札するべきです。それが公平と言うものだし、目に見える形で納得できるルールです。

落札した会社はきちんと税金も支払ってくれるし、経営改革に励んで黒字を目指すんですからいい事だらけじゃないですか。(星野リゾートさんあたりに任せてみたらスゲー儲かる冠婚葬祭会社を運営してくれそうですし)もう、時代は変わってきているんですよ。もっと大きな観点に立った決まり事を作るべきです。

そして消費者の権利保護って言うのなら、破綻した互助会会員からの申し出があれば、どこの互助会でも有無を言わさず移籍扱いとして引き受けなさいと指導するのが役所の仕事じゃないのかな。それに不足する原資(会員満期額)を捻出する団体として全互協が存在するんじゃないんですかね。

機構設立と研究所設立の中に、何やら様々な方の思惑を感じてしまう三日坊主から経産省さんへ一言。もう、本当にさ、椅子取りゲームに躍起になっていたら桜吹雪が泣きますよ。

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