返礼品の背景でうごめく思惑と、群がるアリさんたち

群衆
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葬儀でお返しするお茶やコーヒー・タオル類などは、多くの方が「大したことはない品物」と感じています。大したことはないと言う事は、大して原価がかかっていない品を一般的なお返し価格で売りつけられている事だと、ご理解されてますよね…

お葬式の返礼品って、供養品って?

地域の風習などにより変わりますが、一般的にはお通夜に「通夜供養」、お葬式当日に「当日供養」として、香典の有る無しに関わらず、お参りして下さった事へのお礼として、また供養としてお渡しする慣わしがあります。

通夜供養にはよくお茶や砂糖菓子などを渡しますが、これは飲食のもてなしをできない方への方便として飲食に関連する商品が選ばれます。

当日の供養としては、主に繊維ものや陶器類などを選ぶ事が多いのですが、これは故人のお召し物を解いて紡ぎ直してハンカチやタオルに仕立て直した。また、遺骨はやがて土に還る事。その土から作った陶器という事で、いずれも形見分けの意味合いを持たせた方便があります。

関西全域でこのような形式は多いのですが、地域により用意する商品には違いがあります。

香典返しの移り変わり

粗供養とは別に、香典に対するお返しとして「香典返し」を用意します。最近でこそ「当日返し・即日返し」が慣例化してきましたが、これ以前は、満中陰を済ませてからお返しするというスタイルが普通で、当日に香典のお返しを渡すのは失礼だとの雰囲気がありました。

家族葬の流行と共に、徐々に参列者の数が減ってきて、そのうち香典を辞退するのが一つのスタイルとして定着してきます。お返しするという行為を負担に感じ、貰っても大した事がない商品というイメージがあるからです。

その対策として葬儀社は「香典返しを当日にお返しして、後からお返しする負担を減らしましょう」と、積極的に喪家に働きかけて「当日返し」という形で、香典に対する返礼品を受付の横に準備して渡すようになってきます。

お返しの目安

当日お返しする場合も、満中陰が明けてからのお渡しでも、お返しするおおよそ目安としては、一般の方の場合、香典に対していわゆる半額返しを目安にしてお返しします。

親族の場合は約三分の一ほどが目安になります。例えば3万円の方に対しては1万円ほどの商品。5万円以上の方には2万円くらいが目安になりますが、お返しに比重を置きすぎると原資が足らなくなりますから、トータルで収まるところが目安です。

出費を抑えるために四分の一以下でもいいのですが、あまりにも貧素なものをお渡しすると、親族の中には「これだけ出したのに、お返しはこんな品物(気持ち)か」と言う方もいない訳ではないので、「そこそこ」のところは押さえておく方が無難だと思います。

お返しの品が1万円、2万円とかかる物であっても、そこに販売業者の仕入れと売値がありますから、品物に売価なりの価値がついてこない事があり、見た目が安っぽく見えてしまうのです。そんな商品が届くと、軽く見られているような気持ちがより大きくなってしまいます。

香典辞退が増えての対策

この頃のお葬式の現場では、受付を手伝っても極力、お金に触りたくないという意識がありましたから、香典を開けずに金額だけを香典帳に記録する程度のお手伝いも増えてきました。

そんな中に当日返しを始めたんですから、そらぁもう大変でした。身内でするという受付をなんとか町会、ご近所、会社関係の方に出てもらい、流れを説明してシミュレーションします。

葬儀社の都合(売上確保)を押し付けている訳ですから、協力していただき無事に終わらせたい訳です。その場で全て完結するというのが売りですが、始めた当初は受付の方から「香典の金額を確認するの? 今?」とよくぼやかれましたね。で、一言…「ややこしいなぁ」と。

面倒ではないイメージで進まないと、その受付をされている方がご近所の町会さんだった場合、その方のお葬式の時には取り入れてもらえない訳です。やがてシステムが進化していき、比較的スムーズに受付からお渡しまでができるようになってきます。

これに伴い、葬儀社にはこれまでになかった「売上項目」が増えて、しかも単価と出る数がハンパないですから、この商品だけで100万円はゆうに超えてきます。受注するかしないかで担当者の売上評価にも大きな影響を与えるようになってきました。

個人情報を闇で購入するヤツ

平成に入る前ぐらいまでしたかねえ、葬儀を全て終えて自宅へ戻ると、玄関先に「満中陰志カタログ」などが置いてあったりとか、数日間に渡って、いろいろなところからこのようなカタログが次から次へと届いてくる事がありました。

今では考えられないですが、当時、個人情報に関する法律が無かった頃ですから、死亡届を提出した役所から、もしくは火葬場から情報を買っていた業者が確実に存在していまして、これらのギフト業者が届けてきます。

興味本位でビニールのカバーを破って中を見てそのままにしていると、宅送してきた業者からカタログ代を請求されるという事も頻繁に起きていました。自社で商品を発注してくれるなら数万円するカタログ代金は結構です。とくる訳です。

おおよそのところは、売価に対して内容が乏しい品揃えが多く、信用のおけるところならまだしも、中には、この商品をこの方にと依頼しても、届け先にはまったく違う商品を届ける不逞なヤツもいて問題になっていました。

返礼品の10個のうち1個、オーダーされた品物と違う在庫品を送りつけたとしても、ありがとうの返事をしないお悔やみの慣習ですから、喪家側も受け取る側もわからないのです。それをいい事に自店の売れ残り商品を紛れ込せます。(これ、今でもありますのでご注意を…)

葬儀屋さんの商品と百貨店商品、ブランドの違い

このような事もありますので、当日返しは、喪家が参列者の方に渡す商品を直接確認できますし、相手先に目に見えて「きちんと渡している」点はいいのですが、やはり安心して渡せる品物となると百貨店ブランドになるのでしょうか。

百貨店は高い、と思うそのイメージは値引きのない定価だからなんですが、包装紙が安心のブランドです。そもそもお返しする原資は香典なので、負担を心配される必要はあまりないと考えますし、葬儀屋さんやギフト屋さんに騙される方が高くつきます。

(どうも、葬儀屋さんの用意する商品は、「在庫が余っているから販売して」とか、「仕入値が安いから、同じ金額ならこの商品を勧めてくれ」と自社都合が多すぎると思いますので…)

で、多くの方が、値引きがない分を選択する商品単価を下げたりして調整しちゃいます。三千円のバスタオルを選択するところを二千円のバスタオルとかにするんですが、大した事がないと感じる品物を送る事になりますのでご注意ください。(結構な確率で金額はバレます)

香典が集まると、葬儀屋さんも、ギフト屋さんも、皆さん砂糖に群がるアリのようにやってきます。本当に熱心に、餌を運ぶように香典の中身を運んでいきます。なぜ? それは、それだけ「おいしい」部分だからで、百貨店(安心)ブランドに持っていかれたくないのです。

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