「地域密着の互助会はなぜ強いのか」それはね、みんなの生活を支えているからですよ

今回は、各地方都市で奮闘する互助会の中から、大阪を中心とした株式会社新大阪互助会、そして神戸阪神間を中心に営業を行なっている株式会社平安の二社をピックアップして比較し、親の時代から子の時代へ移り行く業界の今後を考えたいと思います。

己の牙城を守ってきた盾と矛の違い

この両社の事業エリア内は、業界最大手のベルコの本社もあり営業区域としており、他に互助会以外の葬儀社も乱立する激戦区でもあります。関西を代表する大阪と神戸を中心とした都市で、己の牙城を崩させない強みとは何かを考えてみたいと思います。

ご承知の通り、互助会という仕組みは会員がいないとまず話にならない。で、増えれば増えるほど資金も多額になり、将来の顧客となる客自らが毎月そのお金を支払ってくれるという、なんともありがたい商法なのです。

一軒ずつ集金に回る必要もない。株式のように配当を支払う必要もない。金融機関ではないから利息も支払わない。そして預り金のうち半額は使えるのですから、そりゃ強いです。

しかも、その預り金は言い方は失礼だけど人質みたいなもので、よほどの事情がない限り、絶対に忘れないほどの満期金額を預かっているので自分のところへ施行を依頼してくるという、鉄板級の保険になるのです。

なので、互助会創業当初から一番の目的は「会員を集める事」しかないのですが、三社の違いはその集める人員の雇用形態にあります。早くから業務委託契約で個人請負者が冠婚葬祭における会員獲得から施行までを行なってきたベルコと違い、二社は正社員として雇用してきた違いがあります。

結果が全ての請負では、そりゃ死に物狂いで獲得に走りますよ。成果が出れば出るほど潤うのですから。なので営業力としてはベルコに軍配が上がりましたが、失ったものは施行力であり、サービス力(人間力)でした。

正社員の強みは、その施行力・人間力を消費者に対してある一定以上のレベルで提供できる事です。そのために会社としては金銭的負担が大きいのですが、これを維持できたのも互助会の「前払い式割賦販売」による潤沢な資金にありました。

ベルコは盾を会員数に求め、矛に出来高制という無駄のないアイテムを開発しました。二社は盾に社員という人間力を用い、矛にも仕事と生活に関して、保証・安心・希望を備えました。この盾と矛の使い方の違いが会社規模としては差が出てはいますが、潰されない強さを与えたのも事実です。

歴史から見る攻防

まずは各社の違いを一覧にしてみました。公開されている情報は、各社のホームページを参照しております。なので、一部の数値には互助会員でない施行も含まれ、経済産業省へ提出する決算書とは若干内容が違うケースや、同年度の事業数値では無いものもありますので参考程度に判断ください。

また、大阪近隣の地域に強い、歴史ある互助会として名古屋市の愛知冠婚葬祭互助会(レクスト)と三重県の三重平安閣を参考データーに取り入れています。レクストは新大阪互助会が大阪祭典の時代の経営危機を助けた関係で現在もグループ会社として関連しており、それに挟まれ、ベルコとも競合する地域という事で三重平安閣を入れています。

  ベルコ 新大阪互助会 平安 レクスト 三重平安閣
創業  1969年 1968年 1970年 1956年 1958年
 昭和44年  昭和43年 昭和45年  昭和31年  昭和33年
葬祭売上   約565億円  約40億円  約92億円
葬儀件数  36,217  2,892  5,825 7,140   2,772
平均値 約156万円 約138万円 約157万円
(株)愛知冠婚葬祭互助会は(株)レクストに社名変更

互助会の団体である一般社団法人 全日本冠婚葬祭互助協会(全互協)によると、昭和23年に日本で初めての冠婚葬祭互助会である横須賀冠婚葬祭互助会が設立されたとあり、約12年後に現在、大手と言われる互助会の創業が始まっています。

ベルコの施行件数は全国各地の数値も入っているので横並びに比較はできませんが、売上を施行件数で割った平均値で見る限りそれほど大差なく、各都道府県でのシェア率はそれほど差がないと見て取れます。

どんなにモンスター級であっても、全国制覇とか地域独占はこの業界ではありえないのです。ティアさん聞こえてますか〜

と言うことはですね、やり方は違えどやろうと思えば、どの経営形態を選んでも可能ってことですよね。ここが会社の方向性と理念の違いであって、手堅く創業地を守って消費者に愛される会社になるか、全国制覇を目指すのかの違いが生み出す様々な結果というのは、次代に託されるということです。

先代の歩み

通常の葬儀社は施行が発生し、その集金を終える事で初めてお金を手にします。葬儀会館を建設するにしても、会社の運転資金にしても、バックアップしてくれる金融機関との良好な関係がない限り事業規模の拡大は見込めないのです。

方や互助会は、会員数が増える事によってより多くの資金が集まります。毎月、数千万、数億円単位で積み上がっていくその前受け金によって金融機関を必要としません。葬儀会館を建設するにしても現金で支払いが可能。なので建設金額の交渉にも大きな武器になります。他社で5億かかるものが3億で建設できる可能性もあるという事です。

今回、経産省への決算報告書を確認しましたが、短期借入も長期借入も「0円」なんて会社、なかなかないでしょう。

そして、会社の規模を大きくしていくのは、地道に積み上げてきた社会的信用を評価する金融機関などの審査基準ではなく、単に毎月数千円を支払ってくれる、社長とも経営者一族とも一切面識のない個人客が大きくしてくれているのが現実です。

もちろん、経営能力というものも必要ですが、これとて不足している全国の互助会も多い。自分の管理運用能力を超えた資金が舞い込み、想像以上の会社規模になったことでコントロール不能になり破綻すると言うのは、経営能力が無いと言う事。小さな葬儀屋のおっさん以上は無理だったと言う事です。(庶民が宝クジに当たったようなもんかな)

そこに生まれてくると言うのは大きな徳分があると言う事、でもそれをどう使うかはあなた次第

現実に現在生き残っている互助会は先代の能力によるところも大きい。ただ、問題はこの基盤を引き継ぐ方にどれほどの理念と能力があるかと言う事です。やり手の互助会の財務状況を見る限り、とんでもない方向に行ってもあなたの代は十分持ちます。

ただ、地域に根ざした事業を継続すると言う事は、地元地域の評価が全てです。繰り返し、繰り返し、過去に葬儀を行った家、今回葬儀を行った家、それらの親族や関係する方々に信用される仕事をやっていると言う事と、できる環境が会社にあると言う事です。

これを支えるのは社員であり、その社員を管理するのは現場から上がってきた管理職であり、社員に信頼される経営者の理念と方向性だと思います。そして地域に愛され事業を守るという事は、地元地域の経済を支え雇用を創出する責任も担っています。その信用と信頼の関係があるからこそ、消費者はその葬儀社を選択し、利用するのです。

多くの葬儀社が社員を抱え、スキルアップを目指し、他社との違いを施行力に見出したいとは思うけど、不定期な仕事ゆえ安定した資金繰りが難しい事業でもあります。互助会はそんな資金のリスクを除いてくれる打ち出の小槌なのですが、その資金の使い道を決めるのは経営者の問題。

これからの厳しい時代に、その資金をどのように使うのかが次世代の経営者に課せられたテーマではないかと、この二社の強みを見る限り考えさせられます。

誰か一人が幸せになる仕組みではなく、親方が絶対であるという古い葬儀屋の体質でもない。その葬儀社で働く事に誇りを持ち、自分や家族が幸せになれる。そして値段に流されず、死を厳粛に儀式として送ることができる互助会プランを作成できる会社が必要なんです。流行りモノや横文字を追っかけている場合ではないと言うことです。

これからの時代、その豊富な資金をもつ互助会の次代を担う方々の中から、葬儀業界の革命児が出てこないかなぁなんて、宝クジに当たるぐらいの確率で期待しながら待ってみますか。と、そんな会社で働く皆さんの声を代弁してみましたよ。

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