葬儀の生演奏から推測する! イオンはいつ紹介業から葬儀社に変わるのだろうか

ピアノを弾く赤ちゃん
ピアノを弾く赤ちゃん

流通小売業界でその名を知らない人はいないと思う、イオン。そのイオンが葬儀業界に参入して、早7年が過ぎようとしている。彼らはこのまま葬儀紹介業者として事業を進めていくのだろうか、それとも、自社施行へと舵を切り、業界のトップに躍り出るのだろうか。しばらく、イオンからは目が離せない。

まずは、生演奏の立場を考えてみよう

葬儀に生演奏が入るようになったのは、平成になってからでしょうか。冠婚での演奏機会が減るにつれ、その活動を葬儀の場にと移してきました。音源的にはCDでも何ら不自由はない時代。しかも、そんなに安くもない。それでも演奏者派遣会社の社長は、停滞する状況を打破するため積極的に葬儀社へアプローチをかけてきた。

ポツリ、ポツリと発注するところが増えてきて、本格的にピアノをやっている、いわゆるピアノの先生や音大生のアルバイトの子などが現場に入ってくるようになってくる。私は正直、その存在が面倒くさいなと感じていました。だって、式の流れとかを知らずにくるんですから、こっちが気を使って「はいっ、今!」みたいな事をやらないといけない。

まして、私だけかもしれませんが、クラシックなんて崇高な音楽に触れる機会がない人間が、その演奏者から「何を弾きましょうか?」なんて言われてもムリ。ベートーヴェンの交響曲第9番を年末の恒例行事の曲と思っている私が答えれる訳がない。ムリムリ。「テキトーにやって」としか言いようがない。

で、その子達はテキトーに弾きだすのですのですが、ま、音感が良い人は、場の空気を読む感も良いんでしょうね。なんとなくその場に合うような曲を演奏してくる。弔電を代読する時も、こう、グワ〜んと盛り上げてきたりする訳ですよ。なんか、こちらの意識としては、面倒くさいんだけどカラオケを生演奏で歌っているおっさんみたいになってくる。

メモリーで自動演奏できるんですよ、生演奏って

ある時の事、集会所で行われた葬儀の現場に電子ピアノが置いてある。こういう時に使用されていたのは、女子でも搬入ができそうなタイプで、設置する台は、キャンプの時のディレクターチェアーのように足を広げて、その上にポンと鍵盤を置く形式です。当然、外現場なので暑かったり、風が吹いたりする。当日は梅雨が明けたばかりの頃でかなり暑かった。

譜面が飛ぶからと扇風機も使わずに、さりげなく汗を拭き、進行に気遣いながら演奏してくれる彼女は健気でした。「暑いのに大変だね。しかも、座りっぱなしで」と、心の中で、音大生のアルバイトの子を気遣いながら式進行を進めていたその時、少し風が舞い、彼女が立てかけていた薄い楽譜ファイルが床に落ちたのです。さっきから見ながら演奏している楽譜が…

その時、彼女は慌てる様子もなく、鍵盤から両手を外しておもむろに楽譜を取り、元の位置にセットしていたのですが、それでも演奏は止まらない。「へっ?」少し離れた対面の場所からマイクを持っていた私は初めて知った。メモリーで自動演奏ちゅうやつですやん!と。

一般の焼香が始まって演者のそばに行き「それ、メモリー?」と言うと、申し訳なさそうに「はい…」と答える。定番のタイミングというか、開式前とかお別れの時なんかに、彼女たちがその場の雰囲気を考えて演奏してくれていると思っていたのですが、「それ、CDと何も変わらへんやんけ!それやったらCDみたいに、自分が椅子で回って音出す方が値打ちあるんとちゃうか」と、思いっきり突っ込み入れときました。

葬儀業界の緩さと浅はかさ

葬儀屋さんって、どこかでこんな事やってますなぁ、なんて話を聞くと取り入れたくなる。なんせ、費用は喪家に請求するんですから関係ない。生演奏を入れたら葬儀のグレードが上がるくらいにしか思っていない。「どうでっか、我社はこんな洒落た事やってまんねん」みたいに、会葬者に対して、人の金で自社の宣伝をやっているようなもんですよ。

クラシックや演奏者を軽く見る訳ではないのですが、葬儀に生演奏なんている?って、常々思っています。フルートやバイオリンなどのように、絶対、演奏しないと音が出ない楽器、演奏者の実力なりの音しか出ない楽器ならともかく、電子ピアノの自動演奏とお姉さまの甘い言葉には気をつけよう思っている私には、無駄な費用にしか思えない。

確かに音楽が持つ力は、セレモニーと相乗効果をもたらして感動する場面を作り出してくれるかもしれない。葬儀社の中にプロレベルとは言わないが、きちんとピアノを学んだ者が受付の横あたりに座って、BGM代わりに無料で演奏してくれているなら、それは葬儀社のやり方なんでどうぞって感じですが。(ま、これも要らんけど)

もともと、音楽に従事してきた方への演出や、お孫さんの演奏会を楽しみにしてよく行っていたおじいちゃん、おばあちゃんへの手向けとしてなら、献奏も派遣演奏者も理解はできます。遺族としてもしてあげたいと思うでしょう。でも、そんな環境になく演歌を熱唱してきたじっちゃんや、ばっちゃんが生演奏を聴いても「ありがたや、ありがたや」ってなるかなぁ。

一応、本物にもちょっと触れましたよとのプチ自慢

こんな私ですが、一応、本物に触れたこともありまして、20代の時、京都の四条河原町にある「シャンソンライブハウス巴里野郎」に初めて連れて行かれた時、シャンソンなんて全く聞いた事がない私は、カルチャーショックに近いものを受けました。

客席からそんなに距離がない、目の前でシャンソン歌手が歌っている。そのパワー、圧倒的な歌唱力に「スゲェー」としか言葉が出ず、感動しました。隣に座っていた、東京から来ている追っかけのおばさまが、目に涙をためてうっとりと聴いてらっしゃる姿と、聞こえてくるヒソヒソ話の中でのその歌手のヒストリー。うわ、この人、本物なんやと思った次第です。

1951年〜1990年まで東京銀座七丁目にあった日本初のシャンソン喫茶店「銀巴里」。これが閉店してからは、東京で出演していた方々が、関西ではこの巴里野郎で歌っていたそうで、私が初めてお店に行った時も、シャンソン界では有名な方のライブの日であったので、観客も多く、レベルも高い、「本物」を聞けたのもラッキーな事でした。

以上、プチ自慢と巴里野郎に一度行ってみていただきたいと思っての情報でした。あっ、京都へ行かれたら湯豆腐嵯峨野も併せてどうぞ。

シャンソンライブハウス巴里野郎KYOTO
湯豆腐 嵯峨野
京都 湯豆腐 嵯峨野へようこそ

特別必要とは思わない生演奏をイオンが販売する目的とは

キリスト教での葬儀のように、パイプオルガンやエレクトーンなどの演奏を必要とする場とか、音楽葬での演出としてはこのような生演奏はありだと思いますが、葬儀の多くは、仏式で行われる現状を見るとそんなに需要もないし、長いドレスのパーティーコンパニオンのお姉さまと同じく葬儀社の演出として利用されているだけではと感じます。

そんな中、葬儀紹介業者の「小さな」や「シンプルな」あたりでは、現状、販売していないようですが、イオンがこのサービスを提供しています。参入時の理念にあるように、これまでの葬儀業界自体を否定するなら、不要な商品、余計な負担がかかる商品は販売する必要はない。葬儀に必要とされるものに絞って、その単価を下げる努力だけでいいはずなのにナゼ?

しかし、この生演奏に限らず、現状の葬儀業界が売り込んでくる商品群が、葬儀サポート商品として名を連ねている。その意図はニーズに対応するためなのか、少しでも需要があれば、何でもかんでも売ろうという、小売業のなせるたくましい商魂なんでしょうか。

一部には販売を行い細かな利益をフォローしようとの意図もあるでしょうが、葬儀社を見習って意味もなく販売している訳ではないし、そこまで浅はかではないでしょう。私は色々と現場実証を積み重ねていると見ます。商品を投げかけてみてその反応や要否を探る、リサーチをしているのではと感じています。

これまでイオンは、葬儀紹介事業者として葬儀社の意見やノウハウを吸い上げてサイトを作り、システムを構築してきました。施行はしないが安心できる品質を提供する。そんな姿勢で葬儀業界に参入して7年です。

石の上にも三年、面壁九年とも言います。達磨大師が悟りを得るまでに要した時間まであと二年。参入から九年も経てば、そろそろ社内でも次の方向の事業案が出てくるでしょう。いや、もう既に決めているかもしれない。

いつやるの? そろそろでしょ!

そういう観点から見れば、イオンさんは葬儀をしない葬儀屋さんではなく、事業内容は立派な葬儀屋さんです。今は紹介事業者各社とも、横一線に並んで仲良くやっていますが、やはり全国に店舗を持ち、ネームバリューの高さ、機動力、人員、資金力、そのどれを取っても、農協さんや生協さんなんかは足元に及ばないと思うイオンさんが一歩抜きん出てますよね。

現状、リスクを避けて葬儀紹介業に徹していますが、イオンに加盟する葬儀会館を持つ葬儀社が潰れたら、イオンは速攻買い取り、自社施行のモデルケースとして、自社の人間を教育するトレーニングセンターとして活用するでしょうね。その後、全国のイオン関連の駐車場にでも葬儀会館を建設すればあっという間に全国一位じゃないですか。

自社施行に変わって、「おっ、結構儲かるじゃん。どんどんいけ〜。新しい商品を開発しろ〜」なんて、葬儀を金儲けの手段にしてしまいそうになっても、上場企業として良識ある役員の誰かが止めてくれそうだし、葬儀に必要な物を隣り合わせで提供できるんですよ。香典袋を忘れたら店内で購入できるし、仕上げの料理だって店内調理ですぐ提供できるんですよ。

これまで紹介業者として葬儀に関するノウハウを蓄積してきたモノを活用すれば、業界で1位2位を争う葬儀社に変貌するのは容易いことでしょうね、本業が順調なうちはそこまで面倒くさいことはしないかもしれないですけど、背に腹を変えれない状況が発生した時、まさに業界の黒船のように乗り込んでくるでしょう。

同じように業界を改革してやるぜ!と参入されたティアさんとの違いがこれですよ。太いスポンサーとして見つけてきた南海電鉄さんの力を借りても、大阪から和歌山までが精一杯です。そこしか走ってませんから。イオンはもう既に全国にありますから、JRの協力を得て、日本全国の高架下で会館でも作ってもらわない限り、全国制覇なんて無理だと思うんです… ま、安全優先を捨ててまでJRさんは別事業に力を入れるとは思えないんですが…

うさぎとかめの物語、最後に勝ったのは?

そんな事も考えず、目先の仕事が増えればいいやなんて気楽に考えて、せっせとノウハウを提供し続け、下請けとなって受注に勤しむ葬儀社さん、互助会さん大丈夫ですか。イオンさんが自社施行へと舵を切れば、主導権は皆さんの手から離れてトップを取られるんですよ。(紹介を受けている時点で主導権を奪われてますケド…)

老舗だから、上場企業だから安心していたり、いや、また面倒くさくなったら買い取ってやればいい。何て、どこかのドンみたいに思っていれば、足元すくわれますよ。情報提供力の差はハンパないんですよ。関連する下請け業者の数も勝てないんですよ。しかも、下請けさんは、どこかと違い、儲けさせてもらっているかもしれないんですよ。ならば皆協力するでしょう。

日本の流通小売産業を支えて成熟してきたビジネスと、いたずらに年月を重ねてきただけで全く成熟していない業界。やはり高度な教育を受けて日本を代表する企業に勤める方々、その役員の皆さんは、葬儀屋の二代目、三代目の お気楽 社長とは資質が違いますなぁと感じますし、始まる前に勝負はついているようにも思いますね。

それだけ影響力のある存在になってしまった、いや、業界が何の手も打たず、させてしまったイオンさんが自社施行をするようになれば、業界の改革にはもってこいですけど、その発展先が、葬送儀礼を大切にしてくれるのか、それとも、既存の葬儀業界を批判しながら、自らが同じ轍を踏んでいくのか。その行く先がスゲー心配なんすけど。

お願いですイオンさん。昔どこかの誰かが言っていたように、「互助会、葬儀社のことは嫌いになっても、葬送儀礼だけは嫌いにならないでくだ※◎△$♪×¥●&%#?!」って気持ちと、参入時の理念を忘れないで欲しいんです。

お金儲けのためにだけ自社施行に走るなら、そのまま、葬儀紹介業者のトップを目指してくれる方がマシかな… そのためなら約束します。お買い物は絶対イオンでしますから。

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